いかがおすごしでしたか ほんと おひさしぶりですね あなたのことを
得体のしれないエネルギーだという人の話を ほんと何度もききましたよ
人々はあなたに出会うと ほんらいの姿を取り戻すだの心洗われる ....
母なる暖気

父なる寒気


そのはざ間で生まれる


梅雨前線


まるで

僕のようだ



やさしくて

あたたかい母


厳しくて

つめたい父 ....
爪を切る 紙の上に そして
私の指の折れ具合を見る

指を見て
いろいろを忘れる

髪を切る少し前 私は 襟足を
気にした

お前に渡したうす茶色い紙を
忘れた あの 例のペーパー ....
ばしゃあ ばしゃ ばしゃあ

そのシャッターはまるで、曇天の最中行われた花火の爆音に警鐘を鳴らす、鳥のわななきの様であった。さしずめ私を刺すフラッシュは、小鳥が花火を怯え、何者かかと照らす行為に等 ....
膕の少し下
要するに
左の膝の後ろ側、ど真ん中の窪んだところの下側に
青痣ができていた
直径二.五センチはあろうかと思われる
ほぼ円形の黒ずんだ痣がそこにあった
薬指の腹で押してみても痛み ....
よみちゃんの従姉妹のみよちゃんの盗撮がはまちん先生の愛のムチを蛇に変えて理科室に追いやった放課後

体育道具をかたづけてるぼくとよみちゃんだけのグラウンドに大人びた喘ぎ声が響き渡って油蝉とツクツク ....
ほら、あの窓から記憶を
覗いてごらんなさい。
風が吹いてカーテンが
まだ、朝早すぎてだれにもふれられていない ひかり を孕んで揺れている。

そこにはかつてあなたの( )があった、と、重たく ....
うつろう時
黙りこむ
こころ
生まれない
詩たち

言葉にならない
こころの襞
たしかめ
たぐり寄せ
結びつけ
ひも解き
書きうつす

風がはこぶ
花のかおり
乙女のま ....
十数キロ走ると県境となる
トンネルの中心を境に、向こう側にいけるのだった
県境は六十里と呼ばれ、霧があたりを覆いつくしていた
前線に覆われた列島だったが、ここ数日は安定しているという
登山口に ....
わたしの大事な人形は
美人と言われた器量よし
ぬばたまの夜に家出して
レールに身を投げ轢死した
バカな恨みに身をやつし
身近な優しさ見失い
乙女の時を棒に振り
憂さを晴らしに酒浸り
昨 ....
断首されたばかりの蛇のようにのたうちながら俺を封じ込めようとそいつは現れた、俺は逃れる隙があるかどうか見極めるためにそいつから目を逸らさないままで立ち尽くしていた、そんな風に対峙してからどれくらい .... 降り続く雨に
赤い薔薇は薮の中
凛と咲き誇り昔日の
君の面影、呼び起こす

 *

この雨のなか
はしゃぐ子らの声上がる
病棟の窓辺のやるせなさ

 *

一雨毎に色深める
 ....
  光に眩む草刈りの
  発動機の音
  青々とした虚無に吸われて
  日めくり捲る孫の手中
  また皆殺しの夏が来る


「頭のいい憂鬱はよろしくない 理屈っぽいのは特に
「そんなや ....
静かな雨の降る
6月の昼下がりに
僕は
刈り入れの終わった麦畑を眺めている

憤怒と月光を
まき散らした昨夜の嵐が
懺悔に滴らせる涙のような
そんな雨だ
その滴を受けとめ濡れた
や ....
地図から欠けているくらい

小さな島の話で 反対っかわまで行っても

さして変わり事もなく あお満面だし

画家には一人の上客が居て、全てはそれで十分だった


さくばん夜な ....
カエルばかり鳴く夜にみた夢のこと
口から泡をふきながら
肝心の言葉が出てこない
夢日記のページは埋まっても
あとで見返せば
何が書いてあるのかわからない
単語と単語の間を繋ぐ接着剤はピンク ....
背のびしても
とどかなくなった月は
親指と
人指し指のあいだで
沙になって
さらさらと風にのる
くらい、脆い

雨の
こぼれたすきまから
青く
ふる光を
織るようにしてなびく
 ....
濡れた髑髏が歯の奥で嗤うような声が頭の片隅にいつも聞こえている、それは湿度を伴うものであり、受信後に生じる感情には生憎と名前が付け難い…蛇の這いずる音を集音装置で拾ったものをある程度の音量で聞いて .... 天気予報は雨でした
なめられっぱなしのなめくじが繁華街へ向かう

あなたの名前は何ですか
えっ 名前 何だろう
名前のない なめくじ
かたつむりのように背負うものもない なめくじ

ガ ....
暑い
むしむしと暑い
〈病院の冷房は皆さんの健康のため26度設定です〉
自律神経失調症の僕は
ぼうっとしてしまう
ぼうっと遠い海を思う
青く涼やかな海原が
静かにたゆまず波打って
潮の ....
園芸すきな
こてんはあげん先生
満点くれへんかった

こたえのない問やから
空欄のまましとったら
そんでは点やれんのやと

ほんならまともなこたえて
そん花壇に
さいてたんかいの
 ....
しゃがみ込み透明な水を掬いあげる

これくらいの仲がちょうどいい
と思える、この場所にながくいすぎた
不純物がひとみの中に入った
ズルい人になりそう

心の空を飛んでいる人たちで
いっ ....
やまどりの
朗読するように
心涼やかに
鳴く声を
聴く

山頂の展望台好きな
ヤマノムスメは
深い谷川に
落とされて
沈められ

あられもなく
ただ死にゆく
そんなさだ ....
パーテーの席で、主役のスピーチ中にとんでもなく臭いすかしっ屁をしちゃったんだ

放出したときの
胃の残留物
我慢時間
熱量
速度
無音
どれを取ってもとんでもない臭さであることは明白で ....
          l'impromptu, révisé un peu


本日の紅茶が美味くない訳は

議論がつまずいた為である

ぼくたちは相変わらず

オトナになれない

 ....
夕焼けの公園で
見えるものすべてが
影絵になって
私は千切れそうな人形
鳥が巣から見下ろし
虫達が葉の下で見上げる

風が髪をかき上げて
踊れと言うけれど
はぐれた妖精のように
 ....
照明の脆い洋食屋

「鮪のスペアリブと海老のステーキを……あとジントニックを」
「かしこまりました」

それで、わたしは待ちました

待っている間、色々なことを考えました
仕事を辞めて ....
じー と
じー まるで じーっ
外をみているかのように佇むオレは
じー と じっとしている
まだまだ むげん えいえん その他 かみしめる
あ ぁあー ここはどこか
なんてきかれたら そり ....
てのひらをみつめている時間が増えたような気がします、世間には床ずれなどということばがありますけども、ずれずれにずれた衣擦れの音は耳のおくふかくまで擦るようで、それはもう澄みきったいずみに落ちた .... 梅雨おちて  紫陽花飾り  電池切れ



咲きほこる  護摩堂山に  陽も覗く



梅雨時に   姿現わす   紫陽花図



朝おきて   めぐる紫陽花   夢にまで
 ....
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