嘘みたいに、雨が降って
天気予報は、当たったのに
それだから、だれも喜ばない
嘘みたいに、雨が降ったから
嘘みたいに降った
雨を
傘で防げきれないように
嘘みたいな彼にもらった
希 ....
空の手が降りて
僕を
私たちを包み
舞いあがる
遥か昔から変わらない
かすかな風
に含まれる潮騒
意味なんてなにもない
ただそこにあるものを
受け入れて
そのまま受け流す
そ ....
最初の子供は死産だった
最初の嫁も死んだ
二番目の嫁は五人の子供を産んだ
一番目の子供はおんなで二番目はおとこ
三番目と四番目は年子でふたりは共におんなだった
五番目はおとこでそれで〆に ....
何処にも届かなくていい
誰にも関わらなくて
何の問いもないが
ただ在ることを想う
ダーウィニズムがもたらした
革命にしたがおうとおもう
忙しい自分は本当なのだろうか
ぼくはい ....
ぼくが一番きれいにみえる
秋がきたよ
と月が夜に胸をはる
中秋の名月というけど
ぼくには迷惑だ
と夜が月に
言いがかりをつける
まあまあ
....
形の整った
トートロジーを枕に
おまえはねむっていた
安普請の 階段をのぼる
ハラハラと、曙光が、火山灰のように
壁に留まる 蛾を擦って……消える
....
君のそばには、いつもきれいな空気があふれている。
ひょっとしたら君は、植物なのかもしれない。花なのかもしれない。
君のそばにいると、あたたかい気持ちになる。
ひょっとしたら君は、陽だまりなの ....
人と話すことを覚えた
寄り道を覚えた
変わることを覚えた
帰ってしまった貴方の影が
月光射し込む路地にいる気がします
わたしを見ていてくれているのでしょうか
添えない怨みを貼り付けて
悲しい眼をしたわたしの顔を
じっと見ていてくれていま ....
この左回りの地球によく似た星には
4つの大陸しかない
それぞれの大陸に国があって
それぞれの国に4億人の僕や私が住んでいる
もちろん海もあるが塩辛くない
目を開けて泳いでご覧ください ....
秋というだけで 物悲しい
青空というだけで 晴れ晴れとしてくる
恋人というだけで なつかしい
愛というだけで 燃えてくる
秋の夜長の 想いの庭に
いとしい言葉たちを
....
家から見える瀬戸内海
時間、時間で変わる
その景色を見て育った
瀬戸内海の周りだけが
その場所特有の時間の流れがある
潮風の香りを感じると
何故か思い出が浮かび上がる
子供の ....
100年後の日本より大事なこと
それはLGBTの方たちの人権
この国の行く末なんかより
人権のほうがずっと大事なのだ
100年後の大相撲より
獣医学部新設より
....
うっとりと金木犀の秋日かな
込み上げる郷愁の念空高し
群れをなす曼珠沙華と青空と
電気ケトルと時計の間に住む老婆が教えてくれた。「お前が眠っている間に夜中の雲から女の腕が伸びてきて、窓をすり抜けてお前の顔に透明な手形をつけていったよ。その手形は洗っても落ちないだろう。もう逃げられな ....
私は地球の人になる
道路標識はよく見て
交通ルールをしっかり守る
ご贔屓のチームがあって
試合結果に一喜一憂
ほどほどに勤勉で
ほどほどに憤り
ほどほどにやさしく
ほどほどにやらしく
....
君は視力が悪かったとしても
人よりたくさんの星を見て来た
ショルダーバッグの
マタニティマークが目に映るから
席を譲ったりできるのだろう
優しさは心に余裕がないと
分けられずに千切 ....
僕らは、揺れているだろう
冷めた血を滴らせながら
僕らは揺れているだろう
なにも見えない世界や
なにも聞こえない世界
そんな世界のことを
恐れ、そしてどこかで憧れもしながら
....
残酷に思える詩と、優しさを感じる詩が、僕にはあって、
僕は優しい詩が好きだ。
戦闘機より、パンケーキが出てくる詩を読んで、楽しい気持ちになりたい。
怒りや悲しみを、表現しないと駄目なときがあ ....
白いクルマに乗って
知らない町に着いた
知らない人に会って
知らないうたを歌った
そのまますべて流れて
暗くなったら波音
ああ
知らない人になりたい
天井にふくしが貼りついている
頼りなく「ふ」の字が剥がれかけている
重力に耐えかねている
見えないおもいに耐えかねている
布団の上で僕はそれを眺めている
貼り直す気が起きないことに
僕 ....
その人は
一生の間に六匹の猫に出会うのだという
わたしが知っているのは
九回生まれ変わるという言い伝え
あなたに会いたくて
も一度生まれてきたんだろうか?
昔死んだしろちゃんに
....
駆けていく星が流星というなら
命のきらめきも同じだけ流星といえるんだ
わたしの星のはなしをしよう
夜明けが見えない遠くの星月
ここから先、指じゃないよ、あれを見て
暗闇を切り続ける君の粒子が ....
田んぼと田んぼの間の細い道。その道端に夏草が生い茂っていた。
道の上に陽炎が立って揺れていた。
普通の人は誰もが忌み嫌う蛇がくさむらのなかに潜んでいた。
少女は夢のなかに現れた
少年は夢を ....
<枯葉はシャベルで集められる
思い出も未練もおなじこと
そして北風はそれらを運び去る
忘却の冷たい夜のなかへと>
(「枯葉」 ジャック・プレヴェール 高畑勲訳 ....
ひたすら憧れて
螺旋階段を昇っていく降りていく
根無し草の宙吊りで
呼ばれるように拒まれるように
(何一つ叶えられることはないのだと)
遠い遠い鐘の音を追いかけながら
ただひたすら憧れて
落日の量る太陽の重みを
その身の上に遊ばせて
女は隠れた感情に名付け始める
喜びも悲しみも薄く展開していき
愛は少しずつ輪郭を明らかにする
女は陽射しのパンを食べ
風の美酒を飲み干 ....
巨峰よりも
マスカットが好きだ
好きで好きでたまらない
一年に一度だけの
食べる恋人
なんといっても ぶどう狩りで
ぶどう園へ行き
熟したてのマ ....
乾いて荒れた
まぶたが開いて
かすれた小さな
産声が午前を揺らす
きみは何度目かの
救済と絶望のなかで
目に見える世界は
たしかなものではないと知る
クロー ....
ステージが替わると
アルファベットはカタカナになり
午前5時は夜から朝になり
妥協点と思っていたすべてが沸点になる
かつて愛した爆音
こんにちは安心安全
無限はイオンモールに散らばっていた ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38