駆けていく星が流星というなら
命のきらめきも同じだけ流星といえるんだ
わたしの星のはなしをしよう
夜明けが見えない遠くの星月
ここから先、指じゃないよ、あれを見て
暗闇を切り続ける君の粒子が ....
田んぼと田んぼの間の細い道。その道端に夏草が生い茂っていた。
道の上に陽炎が立って揺れていた。
普通の人は誰もが忌み嫌う蛇がくさむらのなかに潜んでいた。
少女は夢のなかに現れた
少年は夢を ....
<枯葉はシャベルで集められる
思い出も未練もおなじこと
そして北風はそれらを運び去る
忘却の冷たい夜のなかへと>
(「枯葉」 ジャック・プレヴェール 高畑勲訳 ....
ひたすら憧れて
螺旋階段を昇っていく降りていく
根無し草の宙吊りで
呼ばれるように拒まれるように
(何一つ叶えられることはないのだと)
遠い遠い鐘の音を追いかけながら
ただひたすら憧れて
落日の量る太陽の重みを
その身の上に遊ばせて
女は隠れた感情に名付け始める
喜びも悲しみも薄く展開していき
愛は少しずつ輪郭を明らかにする
女は陽射しのパンを食べ
風の美酒を飲み干 ....
巨峰よりも
マスカットが好きだ
好きで好きでたまらない
一年に一度だけの
食べる恋人
なんといっても ぶどう狩りで
ぶどう園へ行き
熟したてのマ ....
乾いて荒れた
まぶたが開いて
かすれた小さな
産声が午前を揺らす
きみは何度目かの
救済と絶望のなかで
目に見える世界は
たしかなものではないと知る
クロー ....
ステージが替わると
アルファベットはカタカナになり
午前5時は夜から朝になり
妥協点と思っていたすべてが沸点になる
かつて愛した爆音
こんにちは安心安全
無限はイオンモールに散らばっていた ....
化石した
遠い遠い
昼下がり
わたしは
人を離れ
故郷を離れ
海へ向かった
知らなかった
心さえ向けば
海とわたしとは
一本道なのだ
そんなことすら
知らないほど
....
人魚姫は逃げた
愚かな人の子狩人を
眩ますため
水浴みしていた
砂に埋もれそうな
砂漠に埋もれかけた
小さな小さな泉を
碧の湖に変えて
そうして2度とは
現れなかった
オア ....
信号を抜けると駅が小さな口を開け
その口の中にざぶざぶと雨が流れる
その口の中をしきりと鴉が覗き込み
鴉が入っては抜け 入っては抜けして
鋭利な風が立つ
風の中
おんなが頭を垂れて
....
夕べのそらの木の下で
かぜふくしげみにひざをかかえた
おれの顔のちいさい一人がすわっている
きまじめな面つきの
むかしのテレビドラマのような
ひどく地味なふうていで
(なあに 貧しいだけさ ....
健康なゾンビがダンス
ぼくをつくりだして苦悩している
少女は少女がつくりだしたぼくだ
だからかっこいいのだ
潮と砂糖のにおいなんて捨てるよ
秋夜のくもが月のひかりにわ ....
右腕の痺れと乱視と空腹と眩しさと
カイロウドウケツの中で一生を
眠っているうちに過ごした気分だ
ゆるく握った手の中に
かなしみの感情だけを残して
早朝に目が覚めてしまった
歪む顔を隠すよう ....
優しさの、
止まらない疾走に
目が回る
こころの上で掬い取られた
優しさはまるで
枯れ果てて茶色の種をバラまくまえの
向日葵の花びらを枯らした姿で
花としては終わり果ててい ....
月にむかって
すこしだけ、声をかけている
さっきまでいっしょだった彼のこと
すこしだけ、尋ねてみてもいい?
いまの彼って、どんな顔してる?
私みたいな幸せを
噛みしめた顔してい ....
北欧の地の寒空にカモメが何羽も飛んで行く。
機嫌を損ねた海原に彼女の顔を重ね見る。
愛は飛んで行った。
この悲しみはなんだ。
共に過ごした年月に期限などないと思っていた。
....
日本の庭に金木星が匂い立つ。
鼻腔への刺激に私の心は宙に浮く。
ほんの少しの優しさを取り戻すと、
明日への希望が胸を透く。
一人の友人が去ってゆくと、
二人の友人が現れる ....
「神はどこ?」と少女の声燃える街煤色の空照らす三日月
おとなになりたくない
子供のつくりかたなんか知りたくない
みんなつつましやかに戦争でもしておいたらいい
身のまわりでダイナミックなことなんかしてほしくない
観葉植物のよこで ....
潮目
県庁跡の建物の中で期待もなく調べ物にと
りかかり、時間を待って香林坊に出る。そこ
はほんのひとにぎりの銀座で、渋谷で、新宿
でもあり、池袋の匂いを探して片町に流れる。
スクラ ....
育てているのは言葉の木
晴れている日も
そうでない日も
知らない鳥が
ひとやすみしていく
言えないことが
枝や葉を伸長させる
朝だけでなく
真夜中も
ペンと紙きれ ....
黒板に書かれたチョークの傘を
否定もできずに粉を浴びた日
君と僕の名前を消しながら
ためらう心は嘘じゃなかった
楽園だと思って飛び込んだ胸には
とっくに誰かが住み着いていて
これが ....
秋の
夕べ
芝生
虫の
ねいろ
隠す
笑い
声の
渦に
とまる
赤蜻蛉に
かぜ
虹の
噴水
ながめ
公園の ....
自覚がないというのは空恐ろしく
左の足を引き摺っていることも
左の目から流血していることも
認識していないと声高に謳う君の
声がボクに届くことはない
その右の小指は後もう少しで
天の縁に届 ....
雲の声を聴こう
生誕40分の
白さしか知らない真っ平らな愛情のような
幼なさをかたちにした
雲の声が聴こえる
はずもないのに
いつのまにか助けてくださいと言いたかった
約束の時間 ....
海にしずむ夕日が見たいと
思いつくままの終着
さびれた干潟の防波堤に
ぶら下がった
足と あし
秋の薄い日なたに
両手をついたコンクリートは温む
(私のつま先は冷たく)
....
漆黒の羽を広げ
詳しく私の望まれない欲を
聞かせてよ
『バサバサ』と
言いたかったのでしょう?
曇りの空からは
希望のひとかけらも作られないから
誰にも抱きしめられず ....
春は花で彩られ
夏は太陽で焼けつき
秋が九月の雨ではじまる
酷暑で疲れた体に
適度な気温と湿り気が
気持ちよい
夏の暑さで狂った自律神経が
正常に戻っ ....
おびとけでらのかえりみち
やまのべぼんちさつきばれ
すいでんわかほわたるかぜ
あぜのはなつみかえりみち
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