すべてのおすすめ
嘔吐、のようになまぬるい夜を落ちていくそれに、名前をつける気などあるものか、おれはとうの昔におれ自身ではなくなってしまった、いや、忘れてしまっただけかもしれない、けれど、それはいま語るのに必要な言 ....
波を押し返そうとするみたいに冷たい風がひっきりなしに吹き付ける二月の海岸には僕ら以外人っ子ひとり居なくて、そのせいで僕たちは足跡ひとつついていない砂の上を多少の引け目を感じながらずっと、アイロニカ ....
おれの首筋に手を伸ばしてくるやつら
おれの息の根を止めようとしてんのさ
「そら、こちらの指はここにある、少し力を込めるだけでいい」
そんなふうに撫でてみせるんだ
おれは気付かないふりで、そ ....
苦しみの記憶のように手のひらは赤く血走っている、毛細血管のなかを歪みが駆け巡っている、おれは繭のようになにかを抱えようとした姿勢で横たわっている、脳裏には真っ白い壁を放射状に散らばっていく亀裂のイ ....
オーヴァードーズで死んだ海外の俳優のニュースでワイドショーはもちきりだった、俺は適当に皮を剥いた林檎を丸一個たいらげて顔を洗った、そいつの映画は一本も観たことはないが名前くらいは知っていた、世界的 ....
いささか崩れた螺旋の軌道を半睡の水晶体の転がりで追いかけながら、その夜に貪り倒す空虚の後味は渇望の挙句の死体みたいで、仰向けの俺は小さなライトの光を世界の真理のように見つめている、ヘヴィ・メタルは ....
断首されたばかりの蛇のようにのたうちながら俺を封じ込めようとそいつは現れた、俺は逃れる隙があるかどうか見極めるためにそいつから目を逸らさないままで立ち尽くしていた、そんな風に対峙してからどれくらい ....
濡れた髑髏が歯の奥で嗤うような声が頭の片隅にいつも聞こえている、それは湿度を伴うものであり、受信後に生じる感情には生憎と名前が付け難い…蛇の這いずる音を集音装置で拾ったものをある程度の音量で聞いて ....
思考が樹氷になるのではないかと危ぶまれてしまうほどの凍てついた夜の記憶が、どっちつかずの六月の夜に蘇るパラドクス、同じころに叩き潰したしたり顔の羽虫の死体は気付かぬうちにカラカラに渇いていた、艶加工さ ....
昨夜の酷い雨が連れてきたボロボロの木の枝が、川の分岐に設えられた水門の脇でおざなりな寝床のように積み上げられている、そこで眠っているのは生まれたばかりの数匹の子猫の死体だった、明けたばかりの木曜は ....
白木の、長く伸びた廊下、そこに初夏の日差しを四等分して落としている窓は古い木枠作りで、ねじ込み式の真鍮の鍵でしっかりと止められていた、その光景は、ノスタルジーとはまるで違う種類の、記憶の生き方とで ....
古めかしい上着はもともとはそこそこに値の張るものだったらしいが、今ではあちこち擦り切れてしまって、ジョージ・A・ロメロ映画のエキストラが衣装のままで歩いているのかといった有様で、凍死しないでいるのが精 ....
斑模様、太陽の光の中を泳いで、やがて反射に隠れて見えなくなる、アスファルトからの熱と昨日の雨が化ける湿度で、俺たちは蒸されてまともな感覚を失くしている、夏には夏の、冬には冬の狂気がある、人は誰もそ ....
メノウ色の小瓶がたったひとつ、初めて立ち上がろうとする動物の子のように、リノリウムの床で転がって、鈍い非常灯の光を微かに反射していた、わたしはなにか他のことをしにその部屋に訪れたのだが、そのせいで ....
狂った夏の中に君はいた
汗はとめどなく流れて
叫びは果てしなく溢れた
太陽は執拗なほどの
光と熱を地上に浴びせ続けて
あるものは犯罪者になり
あるものは自殺者になった
....
ハーレー・ダビッドソンに跨った売女が陽の当たる大通りで存分にハンドルを振り回しているころ、西のほうの古いアーケードじゃ昨日そこでショットガンを撃ちまくって逃げている少年のニュースでもちきりだった、 ....
さあ、とくと御覧あれ、なに、遠慮は無用だ、その辺の連中よりも、俺は見られることにはずいぶんと慣れている、もしもそういうことを気にしているのなら、君、本当に、少しも気など使う必要はないんだよ、特に関 ....
行方不明者の残した手紙は
どんな気持ちで読めばいいのかわからない
閉じ込めた引き出しは空っとぼけている
ソプラノのリコーダー、その割れた吹き口の残骸、観賞用のナイフみたいな役立たずの ....
狂気こそが真実を知る、あらゆるものが散乱したテーブルの上には、デフラグされた混沌の形跡がある、指先が本当に触れたいのはキーボードではない、その先にある脳味噌の最深部だ、聞け、正常にこだわるのは愚か ....
雨の日の土は重たいけれど掘るには適している。三年前にホームセンターで購入したプランタースコップで、その日もわたしは裏庭に穴を掘っていた。大した穴ではない。人間の頭蓋骨がすべて埋まるぐらいの、小さな ....
ガラス窓の表面にはいつからともつかない埃が付着し、それにどこにも逃げていかない湿気が浸透して、古い糊のようになって不愉快なまだら模様を作り出していて、こんな小雨の降る夕刻にはなおのこと気分を暗くさ ....
真夜中を疾走する無軌道は自意識は所詮、夜明けとともに失われる時代遅れのノスフェラトゥだ、陽のあるうち連中はどこに潜んでるのかまるでわからない、お互いの顔すら見分けがつかないほど暗くなるまでは怖くて ....
滑落した真夜中の亀裂の底辺に横たわり
衝撃の中で朧げな幻想を見ていた
ままならない肉体のどこか入り組んだ場所で
仕切り直しよりもシャットダウンが要求されていた
そこは氷山の中心のように ....
駱駝の玩具の背に本物のナイフ、飾り柄にいつかの血の記憶、縁の欠けたマグカップの中にはつがいの蝿の死体、それはあまりにも語れない、形を残す時間が短過ぎて…手を取って、ここから離れてゆくすべてのも ....
歪んだ頭蓋骨は陳列され、天井のひと隅から滴る雨水は床に暗示的な不協和音を作り出す、お前の罪の名をその情景に添えよう、次に来た誰かが腐肉の臭いを飲み込まずに済むように…黒猫がひとつ、自分の毛並み ....
午後を通り過ぎた影、踏みしだかれた詩文、血溜りのなかの指先、白紙のままの便箋、風が息継ぎをするときに聞こえる嗚咽は誰のものだったのか、忘れたことにした記憶が膿んだ傷のようにじくじくと抉り続ける理由 ....
そうしてお前は海藻のような俺の臓物を引き摺り出す、喪失の感触はあまりにもヘドロを思わせる、トッカータが聞こえる、それはあまりにもマッチしている、俺は呆然と虚空を眺めている、目に映る風景はとっくに意味を ....
枯れたバラ園のそばで
鮮やかな過去に埋もれて
もう聴こえないヴァイオリン・ソナタの
朧げな旋律を追いかける
厳しく美しい冬
風は心の奥まで
凍らせようと目論んでいる
死んだ土をす ....
サウジアラビアの油田火災のニュースが流れる電化店のフロアーを
ローリング・ストーンズのシャツを着た若い女がナイフを持って歩いている
彼女の敵意は自分にだけ向いているようで
右腕は指先から肘の ....
殴り続けた傷口は紫色に膿んで
吐き捨てた唾には汚れた血が混じっていた
敵など居なかった
敵など居なかった、どこにも
おれはただひとりで挑んでいただけだった
アルコールランプのよう ....
石村さんのホロウ・シカエルボクさんおすすめリスト
(39)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
独白は灯りの真下を避けて
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ホロウ・ ...
自由詩
1*
20-6-22
あの娘は灰色の中に消えた
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
20-2-13
プラットホームなんかたいした問題じゃない(どちらかの手に切符 ...
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
20-2-9
陽炎のような真実の重さを
-
ホロウ・ ...
自由詩
3+*
19-12-29
その時刻のことはどうしても思い出せない
-
ホロウ・ ...
自由詩
1*
19-7-11
本能と理性の境界のあいまいな場所から
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-7-7
ケモノの夜
-
ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-6-30
ばらばらに固まり、渦巻いて飛び散っていく
-
ホロウ・ ...
自由詩
1*
19-6-28
ケロイドのような思春期を纏って
-
ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-6-24
饒舌なハレーションの朝
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-6-20
鳥たちはレクイエムを知らない
-
ホロウ・ ...
自由詩
1*
19-6-9
不自然な迷子に関しての思惑について
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ホロウ・ ...
自由詩
4*
19-6-6
水面、ってテも、なくはないし。
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-6-3
真夜中、旋律のない第一楽章
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-5-28
焼身自殺のニュースの記憶とテレビジョンの彼方の洗濯物の状態に ...
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-5-23
知らない道で親し気に話しかけてきた男
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-5-19
バッド・アティチュード
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-5-13
九分九厘、最終出口
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-5-3
欲望は漆黒のような深紅
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-4-23
I_Know_I`m_Losing_You
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ホロウ・ ...
自由詩
5*
19-4-14
棺の部屋
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-4-11
吠える犬は繋がれるか処分されるものなのに
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
19-4-4
冷たい七面鳥
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ホロウ・ ...
自由詩
5*
19-3-25
生き続けろ、ひとつの言葉がひとつのことだけを語っているわけじ ...
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-3-17
オルタネイト・ピッキングの幻想
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ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-3-8
ただ赤く塗り潰して
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ホロウ・ ...
自由詩
5*
19-1-1
肉体のサイレン
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ホロウ・ ...
自由詩
2*
18-12-23
あなたの居なくなった世界に
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ホロウ・ ...
自由詩
5*
18-12-20
スラップスティック・メルヘン
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ホロウ・ ...
自由詩
4*
18-12-16
また会える?と彼女は聞いた
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ホロウ・ ...
自由詩
5*
18-12-14
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2
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