あの日
骨ごと断つ勢いで斬りつけた左手首に
病院のベッドの上であなたは
切り取った雲一つない青空を
私の傷口に深く埋めてくれた

重い曇天に覆われてる毎日の
奇跡的に雲が途切れた瞬間の
 ....
長い顔の
詩人を葬り去って
冬が来る

言葉は短くていい

最終列車の
ガタんゴトん

詩人の
カクカクしかじか

お前は
いつから哲学者になったのか

反省して家に帰る ....
縄文人は思った
舗装した道路で
なぜ靴が必要なんだ

弥生人は思った
食べきれない量を作って
捨てる意味がわからない

侍は思った
携帯電話は武器なのに
なぜ訓練しないんだ

 ....
サウジアラビアの油田火災のニュースが流れる電化店のフロアーを
ローリング・ストーンズのシャツを着た若い女がナイフを持って歩いている
彼女の敵意は自分にだけ向いているようで
右腕は指先から肘の ....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく

やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら

降りていく
宇宙の底 ....
小夜時雨

雨がしとしとおしゃべりしてるよ。ぼくたちが忘れてしまった言葉で歌っているね。ぼくら魚だったころあんな風に泳いでいたのさ。雨粒は小さな海だからひと粒、ひと粒に、ほらだれか泳いでいるよ、な ....
うじゃうじゃと
うじゃうじゃと
ことば湧く
わくわくと沸く
湧く沸くとわく
湧く沸く湧く沸く
ワクワク ト 鳴って!


くねってみようひねってみよう
やはらかに しなやかに
こ ....
長い年月の間にすっかり干上がってしまった井戸からは、水は匂いさえしなくなっていた。
地下水に頼る生活はもうできない。水を汲み上げる手動ポンプは役に立たなくなってしまった。

やむを得ず家に自治体 ....
段々と暗くなると
高層ビルの窓は
オセロのような欲望の明かりが灯り
ピンクのネオンサインが溢れ
歩道は一面の雪の様に白くなり
それに集まる無数の黒蟻

移された木々は異様で
 ....
無音の現に
頭突っ込む
頭呑まれて
言葉を捨てる
要らないんだ
要らないんだ
伝達言語、要りません
白壁囲う白い部屋に
伝達言語、要りません


壁を叩く
沈黙の壁叩く
壁な ....
冬のしゃぼん玉たち

雪にはじめまして やぁ、はじめまして
それからさよなら ふれたら消える友だち
めくばせしながら ふるりふるり

のぞきこんでごらん ほら うつるよ ....
あめがふるとこころが暗くなりますなにをどうするつもりあかるくるなりたいのでしょうそれはたしかにそうなのですよたまゆら笑いかけてくれる星がみえるから晴れたひにはこころがおどりますあめがすきっ .... ちぃたかた

今朝発見された
言葉もない頃の手向けの花は
やがてその形も無くしてしまう
のかもしれないけれど
それが僕らの世界のはじまり




フランケンムース

年中クリ ....
宇宙は雪降り
街は冬晴れ
燦々と照る
太陽渦巻き
宇宙の渦巻き
俺は聴く
銀河が
旋回
する
音を

タタタタタッ
走る走る
芭蕉の奥の細道を
走る走る
タタタタタッ
 ....
人に言えない病を抱え
ぐっと歯を食いしばる
漢方薬は美味しい訳も
当然ない、当然ないにも関わらず
幸福感で満たされた
白昼夢のあなたのように
嘘をついていくのです

あれからいくらか時 ....
釣り合った天秤のように厳正

呼吸の仕方を忘れてしまいそうであっても
不意に竜巻の怪盗が訪れようとも
プラネタリウムは終わらない

ここで百年、待っていようとも

追憶はあいも変わらず ....
降り始めた雪が
肩先に触れるとき
人々は誰かに愛を告げ
別れを告げる
手のひらで溶ける冬
生きることからも
死ぬことからも逃げられない
吐く息がもう白い
ひらひらと落ちる結晶を
 ....
餌をつけた針をゆらり
次の瞬間に竿はしなり針は
川面に静かに滑り込む

じいちゃんのとなりに座ってぼくはみていた
それから黙って手渡された竿を手に川面を
じっ、とみつめ ....
指先から春になった、わたしは大好きな歌を口ずさみながら、
誰もいなくなった地球を歩いている。
夜なんてものが本当にあるとしたら、きっとこんな表情をしているんだろう。
つま先まで春になった、だけど ....
星を見たり、草を触ったり、花を愛でたり、季節を感じたり、光を浴びたりできるのに、私の心はなんで満たされないんだろう。
今日も私は歩いていて、歩くこと以外なにも知らないから歩いていて、景色を眺めた ....
滅んだ星の美しさに、涙を流すから物語は続くんだね。
どこにも行けなくなった天体。強く正しい力はすべてを置き去りにして、
雲の上の天使たちがきみの叫び声を気にせず今日も笑っている。
光のなかに ....
殴り続けた傷口は紫色に膿んで
吐き捨てた唾には汚れた血が混じっていた
敵など居なかった
敵など居なかった、どこにも
おれはただひとりで挑んでいただけだった


アルコールランプのよう ....
実り豊かな太陽の甲に暖められて
生まれた

あなたは はねずいろ

ひんやりと夜の谷間に命

ひとつの為に皆が慈愛を引いた
その手をさらさらと泳がせそよぐ大地の水が
瞬きになる 星の ....
こつン…… パ タ たタ ……

硝子戸がたたかれ
暗い部屋で生き返る
耳鳴りがあふれだして

からの一輪挿しは
からのままだ

幼い頃 祖父が置いて ....
書く、
打つ、
叩く 言葉
ひたすら 
書く、
打つ、
叩く 言葉

朝方
酷くうなされ
幻のなか
さ迷い出た
便所に行っても
幻に包囲され
恐 
の文字、
踊った
 ....
白樺が銀の葉をギラギラ揺するから、
どこか浮わついていたのだろう、
まっさらな、日記帳を汚してしまった。
湿っぽい土のにじむ、
その先、
桃の木は裏表紙に根付くだろうか、
それとも更に次の ....
世界、割れる
割れる世界の
音、ヒタヒタと迫り来て


今日は曇天冬模様
と打った ら
冬も酔う
と 出た!
冬も酔う冬模様
冬模様冬も酔う 冬冬冬、終、
糸、冬 糸冬 
いと ....
1.

寄せては帰る波の音

寄せては帰る波の音

寄せては帰る波の音

寄せては帰る波の音

寄せては帰る波の音

寄せては帰る波の音

寄せては帰る波の音

寄せて ....
内にある暴力的なものに屈して
もう自分の味方ではいられなくなって
人生を投げようと
ただ思っただけであった
自分には甘い
気休めの漢方薬とインターネット
腑抜けた鏡像
怒りの拳を振り上げ ....
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな接続詞を
あてがい 続ける

たくさんの繊細な 傷を
指でなぞり 再生して
 ....
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