表に出る
冷たい風を受けて
少し歩を進め
暖かさを覚える
手袋を外し
マフラーをほどき
コートの前を開く
玉響に春の訪れを
この身に受けてみる
気分が晴れはしないけれ ....
騒乱騒乱、
光の洪水だ
爆発的な消尽、
圧倒的な光の洪水だ
浴びる、浴びる、浴びる
(白い巨鳥が空を行く)
ひたすらに進み
ひたすらに跪き
今、生きる
この渦巻く真昼の界
....
いとしくていとしくて
星空を仰いだその
裸の心
ではなく
裸の体
を
そこにみつけたい
ずっと伝えたかった
生まれ育った田舎の田んぼのあぜ道
泥まみれになって駆け抜けてたあの ....
家族が崩壊しかねない危機的な状況におちいっても
あらためて会議なんてしなかった
そんな日がそんな時が
来たんだよな
前触れもなく突然に
上の娘が下の娘も連れて家を出て
アパートで暮 ....
しぶとく生きようぜ
たとえその生きざまがどんなにぶざまで惨めったらしくても
怯む事などない
しぶとく生きようぜ
しぶとく生きようぜ
たとえペンが剣より強くても
インクが切れたら役にたた ....
さあ悟れずに生きていく
線路に財布を落とすようなとき
駅員がひとりもいないようなとき
ホームから降りて財布をとるようなとき
だれかが非常停止ボタン押して大騒ぎ
平成は昭和 ....
来たので、
わたしは
行きます
黒ずんだ窓の向こう側
鳥たちが飛ぶその上を
沸きあがるようにして
来たので
窮屈な靴ばかり履いていた
厚ぼったい肌をしてがたがたふるえて ....
めざめ また往ぬ
途上の椅子 ひとり
とほきこころ とほきねむり
ふと おぼえたる
すわるしぐさ
だれとふけはいなき
思ひ出の ....
死にゆく蛍がかじった、かもがやの隙間の細い風
すっかり軽くなった腹を抱え
夜霧の中をしっとり歩いている
大きな風に
人の声が洗われて、草木の本当の
美しさを見る日を待ちわびていた
....
特効薬はないか?
「特攻服ならありますぜ、旦那、」
玉手箱だな。
玉手箱を開けよう。
白い粉よ吹け。そして狼煙をあげろ。
さあ、特攻服に着替えよう。
強くなれる。
世間体など糞喰らえ ....
暗雲とした月のない暗い夜だった。
わたしは人影もない橋の歩道を行ったり来たりしていた。
もうこれ以上先へは進めない。
光る眼をじっと見据えた、黒い鳥が待ち伏せているからだ。
冷たい欄干の上 ....
うつろな白い金魚が
一瞬こちらを見た
わたしはもうずっと、この命を誰かにもっていってほしかったから
誘われるまま飛び込んだ
ザボン
それから息を吐き切ってブクブク……
9%のチ ....
(どこでどんな具合に産まれたかなんて話は、この際どうでも良くないか)
おれ、JKのパンツがチラッと見えそうだったので
全力でもって前のめろうとして、寸でのところで自制心が勝る
今日が終わ ....
手竿 手を引く夏の夜
蝉も戻りウクレレ
云われて ヒラメ ボラ
齒の奧の店を 波を 否定
明日の名の
半端なしこり
大樣なゴムのスプーン賣り
無我の世のラ ....
ただきみが死んでしまうということが僕にとっての救いだったはずなんだけど
終わりがあるならすべてが美しい思い出になるしゲロ吐いたことにも意味があるし
心臓をすり潰してつくった色とりどりの造花を花束に ....
不幸とはある日突然やってくるものでもない。
わずかな年金生活で独り暮らしをしていた老人がとうとう動かなくなった。
そして私に「メール」を送ってきた。
「生きる価値もないのなら死ぬ価値もな ....
ピンクが似合わない
この体にも
桜は舞い降り
憩う時がある
腕のざわめく
動きに合わせて
花びらのトンネルが
開通する
まるでカーディガンを
羽織る姿は
春しか着ない
....
翌日。
妻は薬局で妊娠検査薬を買ってきて試した。
陽性だったと妻はそれを俺に見せた。
俺たち夫婦は子供を授かった。勿論その事実を確かめる為に俺は会社から休みを貰い妻を産婦人科に連れて行った。
....
天変も大地の異変も起こる事なく。
一見、平和に穏やかに過ぎていく日々。
リモコンのスイッチをonにすれば、映像と音声が垂れ流される。television。
垂れ流されているけれど、眼も耳もほ ....
燦々と
陽は降り注いで芽は弾け
花は開いて誰か居ぬ
誰かいたか?誰がいた?
記憶にうっすら響く余韻
懐かしく憧れた
娘の顔が
逆光に浮かぶ
)きっとまた会えるから
)き ....
自転車で世界へ。
厚い雲がのしかかる
雨の夕暮れ
冬の雨は
青灰色になることが多いのに
今日はセピア色をしている
子供のころに
お化け色と言って
妖怪がいると信じた色
不思議だ
ベラン ....
迎えに来てください
{ルビ鴇=とき}色の雨が降る春先に
私は待っているのです
私の胸にはその約束が
したためられていますから
鴇色の雨がふる春先に
迎えに行きますと
いつ 誰がし ....
一雨毎に深まりゆく
この春日に佇んで
私は浅く息を継ぐ
虚脱の朝に不安な昼に
剥ぎ取られてしまった色を探し
記憶の奥の入学式
通り過ぎてく畑の野草
お母様と手を繋ぎ
降っていた降っ ....
真夜中の真ん中あたり
帰宅した千鳥足に
コツンとぶつかった
ものがある
jorro
やあ久しぶり
すっかり忘れていたよ
世界にそういうものが
あるなんていうこ ....
市ヶ谷から四ッ谷のあいだに夕陽をみつけた
そのまわりが虹でぐるぐるいってた
あなたに電話したのだがでたのは子供だった
いっしょにパトカー乗ろうね
ピーポーピーポーピーポーピ ....
なにに触れたい
どんな言葉にして告げたい
その言葉に夕日は驚くほど
ウブなふりをするのでしょうか?
すっかりと
夕日は街を歩く人の影を
針の線にし
けれどようやく生き返った人はみな
....
歪んだ頭蓋骨は陳列され、天井のひと隅から滴る雨水は床に暗示的な不協和音を作り出す、お前の罪の名をその情景に添えよう、次に来た誰かが腐肉の臭いを飲み込まずに済むように…黒猫がひとつ、自分の毛並み ....
今日の平板を飼い慣らし
明日への傾斜を生きる私は
もう何十年もの間口を開いたことがない
者であるかのようだ
赤く燃える早春の夜空
ゴオゴオと鳴る遠い街並み
いったい出口は常に入口だ ....
ドーナツの穴に
魅せられた男がいる
さまざまな方面から
その穴について研究した
ドーナツの穴の経済的効果
ドーナツの穴の審美的価値
ドーナツの穴の歴史的変遷
ドーナツの穴の道義的 ....
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