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{引用=これは一種の実験的な作品です。筒井康隆の小説『残像に口紅を』をヒントに、章を追うごとに次第に言葉が消えてゆくような書き方をしました。まずルールとして、?消えた言葉(音)は以降の章では使用しない ....
瞳の中でしか広がれない青空は
手を差し伸べてもらえないその悲しさを
今日も涙にしてしまった
はだかだと つい
においを かいで
おもわず からみあい
いっしんどうたいで
おれまがったりします
日記は忘れています
かつて
誰かの小鳥であったことを
目を瞑ると
まぶたの中で風景が裏返る
人は皆
空の切れ端でした
良き友よ
お前の肩を
叩かせてくれないか
軽く 一度だけ
そして
良き友よ
おれの肩を
叩いてはくれないか
軽く 一度だけ
渾身の力を注がない分だけ
渾身の ....
干乾びたのだろうか 私は静かに干乾びていくのだろうか
風の強い静かな午後 ほら、耳の裏側で
ガラスの器 丸く並ぶ石粒 揺れる水
指を離す ゆびをはなす 知っているのに・・・
鳴る音は飛沫 ....
猫の手も借りたいくらい
忙しかったりしてる時も
日溜りで遊んでいる
となりの猫を掴まえて
手をとってバンザイさせてみたり
ぷにぷにの肉球を瞼に押し当てて
和んでみたり
そんな時間はあ ....
宝の地図を頼りに
ひた歩く森の緑の匂い
素足に刺さる茨の棘も癒されて
掌にこもれ陽を受けながら
小さな影を追いかける
悲しみなら深く
悦びなら永久に
真昼の森は爽やかな喧騒
小 ....
誰も知らないどこかの
小さな部屋で
歌わなくなったピアノに
ほこりが積もっています
鍵盤を叩けばまだ鳴るのに
音符はまだカエルになってないのに
歌を忘れてしまったのは
きっとわた ....
いちわ
いちわ
はだけられた
よい の くち
ちぢこまって
のがれられない
ひざし に
いぬかれる なら
もう みえない
だきしめて
あたためてい ....
降り立った駅のホームには
潮の匂いの風が吹いていた
タクシー乗り場では
タオルを首に巻いた運転手が
ワイシャツには不釣り合いなほど
日焼けした顔で機嫌よくドアを開けた
エア ....
夏の暑さがまっすぐに降り注いでくる。この
暑苦しさの中ですべてを腐敗させて、振り返
ることのない心を育ててゆく。流れる汗の臭
いとともに、空気が汚れてゆく。この世の混
沌を測るものがないのなら ....
わたしは
命ではないものの声を聴く
わたしをここに
わたしをここに置いてゆけ と
横倒しになったわたしの心
たったひとつの言葉に浮かび
たったひとつの言葉に沈む
横倒しの ....
笑うことが苦手でした
泣くことはもっと下手くそでした
顔の端と端とがこんがらがって
笑っているのか泣いているのか
自分でもわからなくなる
そんな時は大抵怒っているのだ
と上手に笑う ....
名前のない鉢植えを買って
如雨露で水をやっていたら
ある日 みぎとひだりの
ひとさしゆびの さきっぽを
あわせたような虹が咲きました
月が白く染まるころに 君に会いに行こう
月が白く染まるころに 君に約束の電話をしよう
受話器をとって ダイヤルを回して 呼び出し音に息を潜めて
君を待つ
「なぁに?」
白く染 ....
レジの上に置かれた写真立ての中で
歩き始めたマスターの子供が
両手を握り {ルビ膝=ひざ}をかがめ
階段から飛び跳ねようとしている
怖れを越えた先にある
未来の着地点を
澄んだ瞳で{ル ....
それ を知っているから それ を許せる
それ を知らなければ それ を許せないままもっと子供の様に無邪気に残酷に
髪の乱れを気になさるな。
血濡れた衣も気になさるな。
そなたは美しゅうござります。
この身はすでに腐り果て
ところどころに穴ひらき
覗く腐肉に蛆が這い。
しかあれど
まなこはかっと見 ....
かがやく小さな雲の群れが
夜の白をすぎてゆく
河口に 入江に
小さな舟がひしめきあい
薄いむらさきのなかで揺れている
雨を照らす手のひら
雨に照らされる手のひら
....
スペースシャトルの打ち上げが映っていた
アトムや鉄人28号の時代から ずいぶん経っているのに
いまどきロケット噴射とは なんて野蛮なイメージだろう
ぼくは未来からきた人のように かんがいぶかく
....
君のいた夏が終わる
故郷を知らないという君が
旅先で描きためた風景画、
古びたスケッチブック
迫る山並み
水田に映る空
夕暮れの稜線
風に ....
教室の窓際の席で
空に浮かんだ雲を眺めて
先生の話はうわの空
君にはきっと
いつまでも見つからない
「探し物」がある
机の下に隠した携帯電話が
{ルビ理由=わけ}も ....
ひび割れた岩の目が
波に降る花を見つめている
鳥の翼の生えた草を
銀の署名とともにつかむ手
燃えつきることなく火のなかにある
明かりの下で器をかたむけ
草を焼いた粉を見つめ ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
雨が止み
もの皆かがやき
手のひらが痛む
ゆらめくいのち
その名とともに
世界となるもの
ふたつの惑星が
三番めの惑星に落とす影
午後と夜の間の ....
知っている曲が 途切れて
知らない歌が とぎれとぎれに
髪の先 さわり ふれる
冷蔵庫にジュース
飲みたい けど
動きたくない
どうやってたんだっけ
時間て
なんて
数えるん ....
な をよぶ
とき が隔てた
かぜ の かいろう
打ち
うまれた のろい
すくう ゆめ
わ 火焔
走 破
白き 鼓動
水 と 灯る
2003 4 20
電車を待つ人々が
いっせいに
携帯を開く
今日の株価を確認する
プロ野球の結果を確認する
誰かとの 距離
同胞メール
という
機能が嫌い
いっせいに
私の孤独を送信する ....
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