すべてのおすすめ
折れた枯れ枝に添ったまま
消えていく水時計を持つ土色の葉
陽射しを後にした地の床への風くぐり
通りの方から聴こえる小声
渓谷は乾き こぼれた石
切れた羽に 埋め込まれ
飛ぶ ....
喉が渇いたので
駅のホームのキオスクで買った
「苺ミルク」の蓋にストローを差し
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると
隣に座る
野球帽にジャージ姿のおじさんが
じぃ〜っとこ ....
たくさんの花を枯らした
サボテンやアロエも枯らしたし
ケフィアやカスピ海ヨーグルトも駄目にした
それでも命は大切にしなければならないからと
小さな虫はその形や色が嫌いでも
なるべく殺さず ....
黒スグリ
雑木林の妖精
えもいわれぬ
腋の下
短い短い
夏の夜
こんな時間に
やって来て
いったいぜんたい
どういうお積もり?
そんな問い掛けに
お構いなしの妖精 ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
{ルビ鈍色=にびいろ}の鉄を見ている
あくまで照り返しでしかない光が
滑って離されて放たれる
今目の前にぎっしりと詰まった木々を越えた
越えてうんざりする
体温よ ....
浜辺で貝殻を拾い
よみがえる思い出
右側を見ると貴方
壊れかけたベンチ
打ち寄せる波の音
しょっぱい波飛沫
灯台の光が眩しい
大きな背中フワリ
輝いていたあの時
カラオケ行っ ....
足がつった
魚を釣った
痛さにのたうつ小指が
餌に見えたのか
少なくとも自分の足の小指くらいは
何をも傷つけないと思っていたのに
魚は同じようにのたうってる
口をこじ開け
引っ掛かって ....
まちがえることを
素直におそれた日々は
だれかのきれいな蝶々結びに
たやすく揺られる花だった
あの草原で
かぜを追いかけてゆくことに
不思議はどれほど
あっただろう
....
ぽちむは家を出ました
モスクワに行きました
それで売春婦に会いました
自分もなろうと思いました
その売春婦にいくらって言えばいいのって聞きました
売春婦ははっきりしたことは何 ....
オミドレイヒヤ 奈落の底の
聖母にまつわる 五月の記録
亀だの兎だの湖に集めて
鳥葬してまわる
オミドレイヒヤ 祈りの言葉
ハチがつぶやく 巣のひみつ
シダ植物の五 ....
春の気配に恋、を思えば
こころが羽根を持って
菜の花畑の上を旋回する
拙い愛情が
地球上のすべてだったあの頃に思いを馳せると
おぼろに陽炎は立って
咲き競う花の匂いが
わたしを空 ....
ゆらゆらり
揺れる窓辺の花束にそっと手を伸ばせば
そこにはいつかの誰かの思い出が溢れていて
いつかの涙がかくれんぼ
ゆらゆらり
揺れる少し枝毛の目立つ君の髪にそっと触れただけで
....
{引用=
うすむらさきの 人々が 自転速度で 水平線から
粉末になって 夜になる 太陽が 空にのぼるから
きみは 太陽を掴まえる
緋色の ....
私はここにいたんですよ
時にはそっと問題を解くけれど
街灯が点いたり消えたりするから
羽のように笑っています
千切れた場所を見せびらかして
添い寝に意味なんてないのに
ベッドはやたら飾 ....
倒れる
水差しが
ふとしたはずみで指先に触れ
ゆっくりと音もなく
まるで夢のように
倒れる
デイジーの{ルビ花弁=はなびら}が
こぼれた水の上に散らばって
白い沈黙
切なさに ....
疲れすぎて
風邪引いちゃった
社会的には
タブーなのに
38℃出ちゃった
頭が痛い
体が熱い
ストレスの掛かりすぎ
お袋がお粥を作ってくれた
久しぶりに食べた
急いで食べた ....
一
日々を連写して
間違い探しをする
遠浅の青に
いつもの魚が溺れている
鱗がまた一枚なくなったこと
それを除けば
昨日と今日の境界線はゆるい
魚は、な ....
角のない消しゴムは
捨てられる寸前だった
角があろうとなかろうと
同じ材質なのに
四つの角があるとないだけで
大きな差をつくっていた
丸みの部分にはすれたえんぴつが
くっついていて
手 ....
「もこもこと旅に出るんだ!。」
そんな寝言をきみが言うので、
ぼくはすこしだけ、
もこもこになってみる。
もこもこになったぼくは、
きみの夢に潜り込み、
....
しらけた草とは
うらはらに
澄んだ大気に
映る青
ますます薫る陽の光
からだの温もりをなぜてゆく
すずやかな風へ
ひとつ鼻歌のせたみち
雲
あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです
いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。
ひとり
あなたをきずつけぬよう ....
とにかく科学は驚かせたかった
品種改良を重ね続けて
完成したのがこの
菜の花ピーマン
黄色と緑のコントラストはもちろん
春と夏が同じ種から生み出される
収穫時期はどの季節も対応できる
世 ....
おまえの乳房の形をたどって
月が闇に向かって死んでゆくぜ
ほら
見上げなよ
あんなにも
雲と星屑に讃えられて
死んで
このふしだらな世界からいなくなっちまうなら
....
行かないで、お願い
そう言って小さな女の子が俺の手を引いた
夕暮れ 海に落ちてゆく日は
どうしていつもあんなに決定的に
強烈に
美しいのか
海辺の教会から ....
コンビニのレジの後ろに
「 迷子です 」
と貼り紙のついた
こどもの靴が置かれてた
つまさきをそろえた
寂しげな迷子の靴
なぜかぼくの足にぴったりに思え
後ろ髪を引かれ ....
ひとりの部屋で
哀しい唄を聞きながら
歌詞を机にひろげて読んでいると
窓からゆっくり日は射して
机を覆う影は
波のようにひいてゆく
*
窓の外を見ると ....
お前がいまいちばん食べたいものは?
ハーゲンダッツのチョコバー。
なんで?
とりあえずいいお天気だし、
とりあえずおなか空いてないし。
ぱりっとかじりつきたい。
ああ、
ハー ....
歯車は旅に出た
今まで一緒に回っていた他の歯車と
どこかかみ合わなかった
自分の歯数を嘆いたり
他の歯車の歯数を責めたりもした
それでもやはりその場にいづらくなって
人知れず早朝に旅立った ....
隣の家に借金取りがやってきた
すごい剣幕で怒鳴っていた
家と家がくっついているくらい近いので
まるで自分の家に聞こえるかのようだった
小さい音ながら
何度も何度も隣の家のインターホンが
鳴 ....
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