すべてのおすすめ
冷たい朝が始まる
身が引き締まる
同時に
心も引き締まる
北の窓がかたい
冬の朝にふさわしい
のどかな昼が始まる
身が緩んでゆく
同時に
心も緩んでゆく
南の窓が優しい
冬の ....
おしまいの日がくるから
もういかなくちゃ
たくさん あそんだ
散らかったカード
クレヨン
すべてが
中途半端に微笑んで
楽しい時は
だけど
いつかは終わること
いったい
....
不思議だった
いつものオリオン座が
いつもよりも綺麗だった
寒い夜だというのに
しばらくの間
その輝きを見つめていた
不思議だった
いつもの霜柱が
いつもよりも美しかった
冷たい ....
流星群は行ってしまった
銀の光の尾は思ったほどの残像を残さず
地に這うものと宙空の距離を
夜という名で引き離す
星が流れる
わたしは物語として知っている、
祈りのかたちで
手を胸 ....
ほころびをなぞる指さきを
もうひとつの指が追いかける
つゆ きり もや
つゆ きり もや
ふたつ ぬれる
いきもどる雪
手玉 てのたま
三つのやりとり
いさめる声な ....
コーヒーカップの横に、本がある。
『「待つ」ということ』 そう本がささやいている。
私の心に問われた。私は何を待っているのか?
コーヒーをかきまぜてみる。
耳が頭がカラダがざわざわしている。
....
とどける。せかいのどこかでいきをころしている君の
ために、ひとつのうたをとどける。君がなにものなの
か、だれにもしられていなくて、しられていないこと
は、みたことのないけむりのようなかいかんでも ....
見上げると
ひらひらと北風に舞う
たましいのかたちをした
まあるい葉が一枚
落ちてきた
{ルビ煉瓦=れんが}の{ルビ椅子=いす}に座ったぼくは
腰をかがめてそれを拾うと
....
自分の名前を
忘れてしまいそうになる
遠いとおい旅路なのです
だけれども
決して忘れない
名前もあるのです
あの月と星をいただく塔の上で
そらに吸い込まれる
ただひとつの呼び名のよ ....
壁の取っ手にかかった鍵は
{ルビ紐=ひも}がほどけてするりと落ちた
それを拾って結んだぼくは
壁の取っ手に再びかけた
( 紐をつまんで手にした鍵は
( いつも人の心の鍵穴に
....
春からひとり
流れてきた
おまえ
こんこん冬と
墨染めの宵の川は
さぞ冷たかろう
月様には出逢うたか
さぞ澄ましていたろうに
あれは誰かを
好いている
一に ....
涙が涙へ落ち
映る雪は昇る
花はひとつ多く
土に消えずに残る
やわらかに覚める
手の甲ふたつ
波と曇の鳥
鳥に沈む鳥
ひとみしり
とおまわり
道 花 原
....
とじゆく風にひらかれて
それがあるいは逆だとしても
なおさら地図は
紙切れとなる
吐息はつまり消える熱
硝子に映る秒針を
遠ざけるものは
いつでも
そばに
....
夢を見て泣いていた
スリッパが重たくて
空を飛べない夢だった
食後、健康に良いからと
母親がみかんを一つ勧めてくれた
外に出ると
街にサーカスが来る日だったので
誰も淋しくなどなかった
....
白鳥の声で
目覚めたような気がした
明け方の空は蒼の階層を成して
東の彼方の地平線のすぐそこまで
太陽が迫ることを告げる
昨夜のうちに雪はうっすらと降り敷かれ
まだ誰に ....
羽の息をし
羽になり
さかしまの空
ひと指とおる
勝ち負け無しの
明るいあやとり
胸からのばし
ふたたびしまう
草のとなり
ふくよかな闇
波紋をつくらず ....
その人はヒビコレ
彼に別れを告げられることのほうが
彼が死んでしまうことよりも
つらいといった
渋谷のヒビコレ
町でいちばんの
愛することばが流れてしまって
....
{引用=
一、ハッピー・バースデー
たとえば今日が
誰かの命日かも知れなくても
生まれたあなたに
おめでとう
そうして
またひとつ
わたしは欠ける
たとえば今 ....
夜行列車「能登号」車内
すでに電気が消えた
午前二時十五分
数えるほどの乗客は
皆 {ルビ頭=こうべ}を垂らし
それぞれの夢を見ている
一人旅に出た僕は眠れずに
開い ....
ねえ
化粧なんてイイから
今から出かけよう
真夜中
通りは
コンビニだけがあたたかい
僕らは
夜を疾走する
たとえ
抱き合ったとしても
懸命に
指を重ねたとしても
....
ドロシー、カサブランカ、
喪中の君が
家の塀で遊んでいる
数台の引越しの車が側を通り
今日もどこかで引越しがあるのだ
と何となく感じる
言葉はまだ書けないから
でも言葉はもう口に出来 ....
長い夜の
ゆめとうつつの狭間で
わたしたちは
何度もたしかめあって
疲れはてて
耳元で
あなたの鼓動を聴いて
おなじ速さで脈打つ
長い夜だから
そんな時間がふえて
すこし持 ....
いのちを
てのひらのように合わせる
欠けたまま
あることの
ひとつの償いであるかのように
頭上の硬い岩は
いつでも欠けたままで
(満ちることなど
たまにしかない)
私たちの不安定な歩 ....
それから(あ…
涙のさめる速度で
失ってゆく
かつての海原へ
予感する視線がまっすぐ立ち
地軸のかたむきをなぞる
そっと
(夢を瞳の奥に燃やしている核心
のぼっていった少しばかりの ....
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心
はるか、 はるか ....
ふるわされた小紋の
遅い続き
とりつけられたままの
フレーム
切り落とした爪だけ
泣いてる
どこにいければ
そこは どこなの
力づくと
開けられたものに
かぶる 溶 ....
あなたの花開くようなお口へ
鈴の音の鳴る金のスプーンに
一さじの杏ジャムを載せて
含ませたいの
とても穏やかな様子で
わたくしの はやる気持ちを隠して
柔らかな顎に そ と手 ....
欠けている
それだけで思い悩む
砂のようないのち
たとえば
ふたつの石を打ち合わせて
火をつくる
そのために
石が欠けたとしても
かまわずに石を打つ
ただ
火をつくる
それだけの ....
色を持たない水彩画のように
雨が。
数えてよ そのいくすじか
みつめてよ その息づかい
ふるふれ 雨の無表情
  
....
この街にまだ雪は降らない
灰鼠色の空は浅い冬のまま
恋人たちの吐息や
ブランコを揺らす手に護られている
わたしの何処か深くにある黒いものや
寒い、と寂しい、が似ていること
それに気 ....
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