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星明りを知らない。
月が今も足元や景色を照らしてくれるように、
星明りも言葉だけのものではなかったはずなのだが。
そんなに大昔ではない昔、町でもなければ雨や曇りの日、
ひとは足元も ....
“朝は優しく起こしてください”
というのは
寝汚い死神のきまり文句です
名付け親の死神は寝起きが最悪です
五個の目覚ましなど死神の眠りの前では無力なので
死神を全力で蹴り起こすこ ....
なつかしい歌を
久しぶりに聴いたから
あの頃読んだ詩の一節を
ふっと思い出したから
永遠だと信じてた時間が
いつの間にか
過ぎ去ったことに気付いたから
絶え間なく変わり続ける ....
何処へ行こうか
何処へでも
何処までも
ひらかれた未来は
少し顔を上げて ほほえむ人の
涙も隠さずに生ききろうと する人の
幸せを 高くかかげて
見守っている
夢見る自由は
....
おかえりなさい と
響いていた
泣きながら 来た時も
微笑んで 来た時も
胸にしまった たくさんの色も もう
知っているよ と
さあ おいで と
両手を広げて
命を 抱きしめる
寛容 ....
つけて
ドア に ピン
不特定 な
平面下
流れだすのか
なだめすかすのか
でられる ものに
トッテ つけて
だけど
アン ド ア に
ピン
波打ち際
雪に縁取られ
{ルビ烽火=のろし}をあげる夜
松がいい、そうだ黒松だ
沖の漁船
送り雛のように
漁火を灯いて連なる夜
星が海に突き刺ささってやがる
雲 ....
光の点の物語
夜の喪に立つ蒼い{ルビ蝋柱=ろうちゅう}
けものの笑みが途切れ途切れる
風が廃駅を削いでいく
茶のひろがりの終わるところに
金にかがやく草で編まれた
....
しないよ
したら冷たく
なるから
したら
迷ってしまうから
したら
頼ってしまうから
したら
認めてしまうから
あなたにとっての外側が
わたしにとっての内側 だから ....
雲が
破け
露わになった夜は既に黒々と
艶やかで冷たい体表を完成させており
その直下でアスファルトは
終わったままの雨の微粒子で
キーン、と
光沢し
張り詰めて、いる
張り詰 ....
“電車に乗る時は”
“なるべく人の多い車両にのりなさい”
“蒼い電車に出会ってはいけませんよ”
口うるさく喚く死神を後に
私はドアを閉めました
名付け親の死神は時々どうし ....
星はひとつづつ
オルゴォルのピンのよう
ゆっくりと巡って
光の楽譜をなぞる
昼に
雪を降らせるのは雲で
夜に
雪を積もらせるのは月だと
指揮棒で譜台をたたく
....
すべては夜に
言葉でさえも
すべては音に
私ではなく
ひとつのひびき
ふたつのひびき
みっつのひびき
私ではなく
光を投げかけ
器を揺るがし ....
雪が降ってきたからさよならをして
キスをした
お互いに唇がかさかさで
ごめんね と
謝った
初めて
大きな声で バイバイと
告げた
かけ足のあたしの頭には
あ ....
ひとつの了解からはじまる憂鬱。世界のすべ
ては青い色でぬられている。雨をはきだす雲
のありかである空、それも青ならば、雨その
ものも、青い水彩絵具にとけてふってくる。
人はみな、青にびしょぬれ ....
昔、あなたに宛てて書いた手紙
あなたが受け取らなかったので
まだ手元に残っている
手渡そうとすると
あなたは決まって困った顔をしたから
わたしは何故なのだろう ....
おいでブレーキ
お掃除コントなんかしてないで
話し始めたクラッチのこと
予想外で湯河原の代議士にタッチ
動揺して路地裏のキシリトールに
あやとり教えてごまかしてたんよ
私はまだ大統領や ....
一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
....
真夜中の部屋で独り
耳を澄ますと聞こえて来るピアノの音
沈黙の闇に 響く「雨だれ」
( ショパンの透き通った指は今夜も
( 鍵盤の上で音を{ルビ紡=つむ}いでいる
写真立ての中で肩を ....
酸性雨が降り
森が枯れて
花は身じろぎもせず
こっそりとあぶくを吐く
内なる情念を
笑った眉尻にはりつけて
澄んでゆく
影
道草が過ぎたので
傘をなくしてしまった ....
生まれてこのかた
親親戚に時々に
「色男になってこい」と言われ
床屋に数百回行けど
未だ色男にならず
理髪師のネーちゃんは今日も
真ん中分けで来た俺の頭を
オールバックにして見送った ....
のりしろを見つけました。
観察しても、
どちらがのりで、
どちらがしろなのか、
わかりませんでしたが。
とりあえず。
貼り合わせてみましょう。
のり( ....
喧嘩でへこんだ時
涙こぼれそうな時
何気なくそばに来て
寝そべっていてくれたね
柔らかい毛の下の
温かいぬくもりは
言葉超えて僕を
励ましてくれた
誕生したのは
僕が先だった ....
いのちだもんね
乱れるもんね
明るいもんね
光と葉っぱ
うねる赤ちゃん
バス通りのサイレンス
突き破っちゃったよ
人の中
無防備なまま
完全に狂ってるよ
そう
いのちが
い ....
カフェテリアで
小脇に かかえた空に
そっと 左の翼 溶かして
ふしの いたんだ 宿り木
に まだまだ だって
占いに とばされた 長靴に
冬眠している 蛙君からの 手紙
....
季節外れのマリーナの隅に
ON AIRのオレンジのサイン
夜はそこにだけピンライトを当てる
思いのほか雪は強くなり
ラジオ局で流す古いジャズが
熱く火照って静かを乱す
厚い硝子 ....
無言電話がかかってきたので、無言で待った。
遠くから、海の音がした。
鎌倉駅の通路の壁に
寺へと続く石段の写真が展示されていた
門の向こう側の境内には
不思議な光が満ちあふれ
そっと上げた足先を写真に入れると
体ごと吸い込まれた僕は
気が付くと
石段の ....
昨日 切り捨てられた廃線の
駅 構内には
まだ暖かな気が
そこら中に点々と赤味を帯びて
揺れ立っているというのに
朝に 幕
夜には 鉛の月影が
ゆっくりと光りを奪っていくのだと
....
皮膚を、
へだてているのは同じではないか、その
頂へ
ゆっくりと
のぼりつめるさま
あるいは
交わってなにひとつ溶け合わない、交わりは
交わりのまま皮膚の
上にしんしんと塗布
さ ....
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