飛行機に乗り 行く宛もなかった
アジアへの旅行
アジアの 同じ 食べ物が でも
そこにあるわけではないけれど
中国での 乗り継ぎで
なんとなく肉料理を食べた でも それは
日本の中 ....
夕方、とても冷たい風、ちいさな米穀屋の前の自販機へと缶コーヒーを買いに行く。ガラス製の古びた開き戸には金色に印字されている「米の協栄」(「米の」の部分は小文字、「の」の字の左隣から大文字で「協栄」)、 ....
薄群青のみずうみに
なびく帆が、波に溶け込む光のなかへ
すべる様に遠のいていく
老竹色した山並みにいざなわれる
あのヨットの彼方には
岸辺など無くて
爽籟の湖面がどこまで ....
遠くで
洗濯機が動く音を聞きながら
二度寝を楽しむ
夜明け前
目のよくない夫は
迎えにきてくれた友達と釣りへ
ほんのすこし
ホッとする
この気持ち ....
きみの丸顔、
雪見のましゅまろ、
笑うと、目が細くなる、
そのすこし下がった眉のしたに、
まるでふたつの三日月ができあがる、
とぉーっても人のよさそうな、
きめの細かい、
バニラの花のよ ....
午後11時37分
駅前のタクシー待ちの列に並ぶ
星のない夜空に
ぽつんぽつんと浮かんでくるのは
今日の飲み仲間
いつもの見飽きた赤ら顔
お久しぶりの伊達男
歳をとってもマ ....
あの頃の苦しみは燃え尽きた
膿も栄養も全部一緒に
それから抜け殻同然の空っぽになって
じんわり幸せだけ残った
小さな泉のように湧いている
弱弱しく
けれど無尽蔵に湧いている
....
工事野帳の件で
佐々木が訪ねてきた
お礼に、と
土産の印度煙草をくれた
煙草は吸わないが
絵柄が気に入って
机の上に飾った
仮換地の揉め事に
鬱々とした気分だったので
良い気 ....
ウロボロス研究所のとある1日
うらボスの吐き出すけむり輪っか中
メビウスの夢 は る か むかし
ウロボロス研究所の一室で引っ越しの整理整頓も終わった午後
外をみてたそがれ ....
夢の中で夢を見る、これから彼女に会いに行こうとする夢の中の夢を見るけれども会いに行こうとしても準備に追われてなかなかすぐには会いには行けないそんな夢の中の夢を見るそんな必死に会いに行こうとする夢の中の ....
子供がひとり
園庭の松の木の半ばに
枝葉の中に隠れるように腰かけて
松葉相撲をしていた
何度も何度も
敗れた方を空中へ散らし
亡骸を見送る
間もなく次の葉をむしり取り戦わせる
何度も何 ....
汗で化粧が剥げてしまうから
簡単に済ませていた夏
だから秋は丁寧にメイクする
朝の気怠さで
まだ曖昧な輪郭の私は
鏡に映る私という存在と
ゆっくり呼吸を合わせていく
....
頬杖をついて
窓から夏が終わる頃の風
リモコンが息絶えた
まだ若かったのに
もうチャンネルを
変えることもなくなった
言葉にすれば
命は軽くなる
そんなことばかり
いただ ....
あ、季節が変わったなと
皮膚がおもう
湿度を手放した風が
腕の産毛に触れて去ったあと
なつかしい秋を感じた
蝉のいのちは地の下へ
コオロギの鈴と入れ替わる
空も変わった
こんな ....
僕は何かを書くことで
夢を見る 同じ でも
ノートの上にないものを 僕は
そこに知ることで
それが無いのだということを
さっき食べたもののように
言葉としてだけ残されたものを
改 ....
花の時期を過ぎれば
気にも止めないでいた
児童公園の隅にある大きな藤棚
敷かれた石畳に
風雨で煤けたコンクリートの
ベンチが三脚
赤茶けて錆びた鉄の藤棚の下で
ち ....
アウトリーチのバウンダリー
そりゃ僕だって目の前に困っている人がいたら手を差し伸べたいよぅアウトリーチ。だけど原罪背負って生きている身としては見守るだけで精一杯なんだ。見てみなさいこの汚れた手を ....
入り江にて
大阪から車を走らせ、片道三時間。途中のサービスエリアでスマホを確認すると、通知に追われる日常がそこにあった。
やがて夜が明け、寂れた港町を抜けると、道は雑木林と露出した山肌に ....
落葉樹が曲がる先に
交番の波形
あなたがわたしの内緒を見た時
らっきょうみたいだ、と言ったので
その口の形から
漏れてくる一粒の光があった
すみそにあん
聞こえますか
敷き詰め ....
苦しい、こころが
苦しい時もある
でもその一方で、
こころが喜びで満たされて
幸せな時もある 私は
幸運だ と。
体が健康なところが
恵まれているのだと自分のこころを
なぐさめる時があ ....
叩かれる音のない鼓の
むなしさは
真空にひろがり
私をつくる
空には羊雲
空の底には私
私のほほにそよ風
そよ風に
無限の光
思い出して
あのまなざし
まなざし深く静か
遠く
遠くて近い
魂
あのまなざしの魂
まなざしの魂と
近くて遠い ....
枯葉が駆けてゐるだけの炎天
夏に取り残されてゐる擂り鉢の中
まめな母の日記帳残される
厳しい、
木枯らしに容赦なく吹きつけられて、
まるでうす汚れたページのように捲れあがる、
そのひとつひとつの、
とても白かった羽毛、
無残にもちぎれてしまった、
白い夢のつばさが、
その ....
弟の息遣いが聞こえる
浄水場のある街に
敷設された線路を
今日も走っている
誰よりも足が速くて
誰よりも
列車の真似が上手だった
弟は皆から
関口さんと呼ばれていた
だか ....
ひらがなといくつかの簡単な漢字を覚えた頃
新聞の尋ね人の欄を読むのが日課になった
和子 連絡してくれ 父
正男 心配してる 母
やや太い黒い線で囲まれた
額縁の中の
それらの文 ....
誰もが知る肌に
夏の落ち着きを失った季節は、
陽のわずかな傾きに
秋を告げる
沈黙をやぶる囁きに
自問自答をとめる
潮の香りは、さやけき潮の音
反射する 陽炎のひかり
....
漫画って
なんて素晴らしいんだろう
小4の春でした
漫画家に、なりたい
絵は上手かったのです
絵は上手い?
やっぱ画家になろうかな
うーんでも
今どき画家じゃ食 ....
、、
ほとんど会話もないまま
「アメリカの朝食」を聴きながら
たまごの入った高級食パンに
森のバターをたっぷりとのせて
熱い紅茶でいただいた
ただそれだけ
晴れた日に傘を貸し
雨の日に傘を奪う
どうやら
それが流行りみたいだ
他人だもんね
困ろうが狼狽えようが
観客席からは滑稽に見えるのだろう
土砂降りになって
みんな借り ....
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