月のコンセントは
抜いてしまったから
今夜は
星ばかりが天に満ちている
恵みを受けて
生かされて
うずくまるひとよ
すべてを失ったとしても
あのひとの教えてくれた
花の名前を覚え ....
フリルの青いふちどり 透明な金魚鉢
陽だまりに腰掛ける 丸く揺れる水
雲の尾びれが覗き込み ひとくち
指に 甘くて白い 隙間が 落ち
金網を越えて 草の上 風枕にのぼせた
黒い小石を ....
近所のおじさんにおしえてもらったの
「1月から5月のおひめさま」
だけどさ。よくみるとぶつぶつで気持ち悪い
女の子みたいですね
わたしは日傘をさすのをやめました。
....
あなた
わるいけど
わたしあなたを
たべちゃった
きづいていないだろうけど
ほら、
あしのおやゆびのつめのさき
ないでしょう?
へいじつのひるまって
さみしいから
あな ....
潜み、また
ここで、
断絶した線路の、先
なかった、ここでまた、いいえ、
いいえ、水が
漏れていたの、ここで、
潜み、また、
尖っているもの、行け、
見て、しろ、
できな ....
絵具が水に溶けるように
ゆっくりと変わる空の色
きみのハモニカのブルースと
ぼくのストロークのアドリブ
ねじまき時計は喋るのが大好き
流しの蛇口は促されるまで
ずっ ....
東の街に雨が降る(それがどうした)
西の街にも雨が降る(だからどうした)
北の海にも雨が降る(今日も東京に雨が降った)
南の島にも雨が降る(明日は何処で雨が降る)
チェルノブイリに行きたく無か ....
人差し指は母
血の匂いがする
家庭を流れる
大きな川
中指は男
山の頂上から
朝日が黄色に
太陽の光
薬指は女
潮が満ちていく
全てを飲み込み
育む海
....
ぼくのことを悪く言うのはやめてください
とみちのまんなかで
いってみるのと
もずくだいすき
と
いってみるのと
どっちがいいのか
たぶん
りょうほういったらいいとおもう
....
すみな めくな ゆられ
ここく ついや ほせち
ならめ ひくき とずれ
ひしま わのせ ゆゆる
こまろ みのみ こそげ
わるせ なみく のむみ
のぞむ ゆめよ はだよ
ちりに ....
うずらのたまごの
からに
お花を挿して
ちいさなちいさな窓辺に飾る
窓はまだほんのぽっちり
かすかなあかりを入れるだけ
川べりをそっとあるく
ふたりで
手なんかつなげたらいいけ ....
しをかいてはいけない
おしりをかいてはいけないのと
いっしょで
かゆいからといって
かいてはいけない
そこにてが
とどいてはいけないのです。
いそぎあしに みちをゆきすぎる
すべてのひとに はなたばをおくりたい
やまあいからこぼれでるあさひの
まっさらなきらめきを
くたびれてすわりこんだきみにも
あかく あかく
さしのべられるひ ....
女神さま、女神さま、
梅やら桜、れんぎょう、ゆきやなぎ
春のうちのまだ早いあたりと
もうそれほどは早くないあたりとの
まんなかあたり
咲き乱れるところの女神さま、女神さま、
ぼくは大きくな ....
みぎの のうを しゅじゅつした あのひから、
さくらのつぼみが
ぽつぽつ
ほころびるころになると
わたしは いつも
ひとつだけ
かみさまに
ねがいごとをするようになりました
よこになっ ....
空からいきなりに
恋心は舞い降りたので
ぼくの長靴は
仕事なんか放り投げて
あの子をなぞりに行きたい
たどりに行きたいとさわぐ
いくつかの災厄のなかで
わたしは書机の下で頭をかかえておびえ
くらやみのなかで
あらゆる醜態をさらした
偽善と臆病とともに怒りを
蛙と虻のあと
彼らは過ぎ去ったように思えた
瓶につめられ ....
野はどこまでも、たいらかで広々
ぼくは花の数をかぞえる
やさしい
雲の群れが
やさしい
雨を
ふりまいてすぎたあと
うすく差した
ひかりが虹を
つくる前の
ほんの一瞬
よみが ....
ルクトさんの住む家
から見える
パッチワーク的な畑
風が吹いている
鳥も二、三羽
屋根は赤い色
瞳は茶色
たまにやっている
散歩など
太陽がどちらへ沈むか
月がどこからひょ ....
きれぎれにひびく
朝のアリスたちの
黄色い声
春のおとずれの
こましゃくれた祝祭
空、あおいね
雲、とんでいった
飛行機も、たくさんとんでいった
海、ないでいたのに
大きく吸 ....
星の群れのつながりをちいさく真似て
思いをつらねる青い花たち
生ぬるく雨がふるたびに
ふくらんでいく
胸いっぱいに
いとしい
かなしい
思い出を捨てにきた旅路で
思い出をいくつもひ ....
飛行機が頭上を飛んで行く
被災地へ向けたものなのだろう
カタカタと揺れる余震が十日たっても続く
少しくらいでは慣れて逃げなくなってしまった
今年は大雪で 果樹 建物 いろんなものが倒れ
....
はつかねずみ
きみの美しい視線が
ぼくの背に注がれていた時
ぼくはオールをこいで
春は
緑のビーズをこぼしたみたいに
あちこちで転がり跳ね回って
きみ
きみの手の中で飼 ....
嘆こう
いつか早朝のラジオで聴いたんだ
「前半しっかりと絶望すること。
それが復活や飛躍への、ステップになるのです」
私たちの脳は生きるために
絶望と絶頂を繰り返す
友だちが教えてく ....
どんなに嘆いてもかなしんでも
そのかなしみはどうやったっておいつかないさ
だって地面は割れたし津波は来て奪っていった
そのときわたしはドーナツ食べてコーヒーのんでた
わたしはそこにいなかった
....
透明な絵本を
じっと見ている子供がいて
クレヨンを持って
かがやいた笑顔をみせる
(これは何色なの?
としきりに尋ねてくるので
答えに困って
好きな色で塗ってごらんと
うなず ....
朝 出勤すると 数名の社員が玄関にいる
余震のため建物の中に入らず待っている
そろそろいいんじゃないの いいよね
いざ 建物の中に働きに行く
普通の会社の建物が凶器になる
リストラ 賃金カ ....
叔父がつくってくれた
平べったい玉子焼きをたべてから
小学校にでかける前に
ぼくは儀式をはじめる
父と母がまだ寝ている四畳半の寝室をすこしあけて
二人の寝姿を視野におさめる
それから目 ....
道ですれちがった猫が
めすかもしれない
ということを
たしかめるために
あとをつけて
さわろうとしても
みをかがめて
さけられたから
世間から
拒絶されていると
いうことが
わか ....
それはそれとしたばあい
どれをどうするのか
といったような
対応を
考えることで
10円が当たる
1時間につき
いかのないぞうを
はっこうさせて
調味料に
することで
醤油に ....
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