ケヤキが生き急いでいる。 鈍色の空に睫毛がかかり、
引っかかる花粉の向こう側で、若葉だけが強烈だ。
宇宙から溢れた光が砕け、
照らされた ビール瓶の底で
僕はひとりだ。
メメ ....
文が泣いておりました。
誰にも読まれず、誰にも気づかれず、誰にも拾ってもらえなかった文は、詩に生まれ変わることもなく、暗がりで泣いて、泣いて、ずぶ濡れになって溶けていくのです。
悲しみのただ ....
僕の体の中には沢山のコップがあって、塩辛い青い涙や大輪の向日葵みたいな喜びや夕日の落ちる切なさがそれぞれに詰まっている。コップは多分千以上あってそれぞれの感情を綺麗に整理してくれるんだ。必要なときに必 ....
すみれ色の瞳はすみわたる空を映し
ピンクの服は
「桃と桜の季節だからね」って
すべての女の子の味方
やわらかくてやさしい
「柔よく剛を制すよ」って
彼女が笑えば花がほころび
彼女が歌えば ....
すべてのものはうつろう
そのうつろいは後ろへとたなびく
そのたなびきはにじみつづけて
私はかなしい
すべてのものののうつろいとそのたなびきが
かなしい
すべてのものはうつろいつづけるから
....
スクランブルエッグみたいな頭を通過するのは
麗らかな日の小鳥の囀り
ケチャップをかけてお召し上がりください
私はもう私ではないのです
間もなく訪れるふわっふわの世界
楽しみだけどちょっと ....
春、また
海のない街で
想いで腫れた胸のうちはまだ
ことばにならない
ばらが枯れ あじさいが枯れ
百合が枯れ 菊の花が枯れ
それでもまた 蕾がふくらむ
風が行き 雨が落ち
....
銀河の高さの
白い霧
夜に架かり
動かない
左の肉の寒さが目覚め
右より細く震える時
月は余計に そして速く
見るものの方へと割れはじめる
光に光をこぼ ....
待っていたのは
あなたのあいまいで退屈な言葉
噛み締めて耐えていたものが
一瞬だけ解ける音がするの
だって
光にもいろいろあるじゃない
それならせめて
この氷のような体温 ....
私をとりかこんでいた言葉たちが
あのときを境に
いっせいに遠ざかってしまった
遠景になってしまった言葉たち
とり残された私のまわりの
がらんどう
けれど私は
おそるおそるでも
....
お爺ちゃん
真っ昼間
海辺の無人駅に一人座った
何のために来たのかも分からないまま
海が見渡せる方の端っこの古びたベンチで昼寝をした
陽が傾いて折れたような首元に柔らかい光が当 ....
掌に握りしめていた
小さな幸せ
街並み 生活 つながり
人生の 思い出
七年前は
思い出を 忘れられないために
つらく
今は
思い出を 忘れつつあることが
つらい
時間 ....
雪の下から現れた枯れ葉が
鉱に
戻れぬ場所への標にかがやき
夢の行方をささやいている
雪が止み
誰もいなくなり
灯は黙り 径は白く
径は 明るく
川 ....
ゆれている黄色い花つくりものみたいな蛍光の色レンギョウ
しだれてゆらゆら揺れている花弁は薄いプラスチックでできているみたいに陽射しのした見えました
神様が蛍光ペンで春にしるしをつけたのかもしれない ....
私は先週仕事が暇だった
休みの予定も入れていなかった 私は
私の欲しいものも 今は特になく
友人に会いたいなどとも 今は私は思わなかった
暖かく 3月にしては 穏やかな日だった
3 ....
林のはたにはまだ去年の落ち葉が
形を失わずにありました
けれども枯草色の野はとうにすぎて
春の息吹きはまた
病の床をのり越えたのです
(あなたは苦しんでいるようにみえました)
(あなた ....
雪が沢山降ったら
お気に入りの
傘も意味がないから
お外には出ないで
お家の中で自称詩を綴るの
例えば
こんな自称詩
「乾燥」
私の足は
乾燥を知らない
冬の海でも ....
ミルク色の波が打ち寄せる
甘い浜にね
真珠がコロロンコロロンと
いっぱい ころがっていてね
カリリカリリと 齧って飲み込むと
うんと 力いっぱい
泣けると ねむいの
みん ....
雪が降りそうな
優しい朝でした
風がよわいので
寒くはありません
あなたの手は
夢を撫でていて
もうすぐそれは
孵化しそうです
季節の眠る年輪が
わずかな光に向かってゆき
....
さっきのバスに座っていた女は美しかった
この夕焼けとどちらがより美しいだろうか
空にひとつかみの鳥がばらまかれた
部屋に入れば祖母の匂いがした
受け腰な毎日は手持ち無沙汰なので
ぼんやりマフラーを編み続けています
細編みに飽きても
他にすることもないので
マフラーはどんどん長くなって
作り目は遥か彼方
これはプレゼントだっ ....
私は 肌寒い街を歩いた
そして 最近は 私は聞きたい音楽もなく そして
好きな女優もいないし 最近は それから
何も食べたいものも 私はなかった
世の中にある興味を寄せていた多く ....
小さな小さな背中に大きな希望がゆったりと腰をかけていた
背中が大きくなるにつれて夢が育った
あるときは背中いっぱいに夢が満ちた
背中が現実に触れるにつれ希望と夢はとまどった
あんなにぴったりと ....
あまりにも不器用な僕が
あれこれ考えあぐねて
かけることばもなく
まだうつむいている君に
差し出せるのはオロナインだけ
こんなときは
オロナミンのほう
その意味も判らないけど ....
空の写真を 無断で撮る
それをSNSに 無断掲載する
有名キャメラマンが開く 写真展
会場の壁を埋めつくす 空 空 空
そのときも 空にギャラは
支払われない
空は ユーティリティプレ ....
若いときはばちーんととめて封じておけた嫌なことや嫌な記憶
最近はゴムの紐が緩んだせいか
なかなか御し難い
皿洗いの時とか特に
あの時のあれよくよく考えたらまじ腹立たしい
むむむーな時に
....
ときはふらりとたちよって
触れるだけ触れて 去っていく
かなしみに火傷
体ごと持っていかれそうになる そのときに
飲まれては 足掻いて
手をさしのべるのはだれ
ふくふく小さ ....
巡礼のような瞳をした
サイレント・マイノリティたちの
胸に眠る想いの泡立ち
言葉たちがほのかな帆をあげて
ページの水平線をこえて
この岸に近づいてくるから
桟橋を差しだそう
世界 ....
なにかあるような気がして
遠くへ遠くへ
人の話もきかず
自分自身も、見ずに
なにかあるような気がして
遠くへ遠くへ
遠回りなんかごめんである
まっぴらである
なにかがあるような気がして ....
コの行列
撃鉄におされて
くるしいや
僕はあと何番目?
友達は何列うしろ?
パチン
パチン
規則正しく一歩一歩
われわれは進んでいくのである
おい ....
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