近所の定食屋がなくなっていた
火曜日に定休日で水曜日につぶれていた

またひとつ思い出のストックを増やして
カウンター席からの、
大きめなテレビがあった風景をかりかりと刻み始める

いつ ....
杉の木から 吹き降ろされた雪が
荒れる風に乗り 空気になだれる

開けた戸から数歩
白く 冷たく
散らされる雪と
ふらり 共に立つ

お迎えに参ります 春

背中にかぶさる重さも
 ....
先生を壊したら
新しい先生が出てきた
この先生を壊しても
きっと同じだろう
マトリョーシカ
そういえば
前よりもいくらか小振りである

小さいくせに
目の中に入れても痛くない
など ....
ボタンがとれたシャツやズボンがある
もう何年もそのままほったらかし
衣替えの季節になると
そういえばといって結局ほったらかし

ただ今日はなんだかムズムズして
針に糸を通す
ボタンをつけ ....
葱。
葱をみている
きざみ葱を頼まれたが
青い部分ばかりで一パックこの値段とは
いかにも法外である

ひと振りの葱を取り、握りを確かめる
銘刀「下仁田」ほどではないが
なかなかの白鞘で ....
家族でテレビを観ているときに
死んだらどうなるかという考えに
急に抱きつかれて
子どものぼくは立ちあがった

狭い家の中を
歩きまわる檻の中の熊
家族は画面に気をとられて
徘徊に気づか ....
 室外機のそばの窓に 白い紙から切り取った星を貼って
 自分が手を伸ばせる範囲を決めている
ホームから離れた電車はたぶん季節を引き裂いて走って
夜という夜を願い事だらけにしながら傾いた
 ....
動き出した車窓が
景色をゆっくり手放すように
やさしくほどかれる季節は
まだ寝ぼけていたい春の子が
ようやく
んー と
背伸びをしたみたい

かしこい子も
そうでもない子も
とにか ....
書籍小包が届いた 見慣れた宛名の筆跡に
若い頃作っていた詩集の メンバーからだとわかる
が 差出人を見て ドッキリ
初めて見る筆跡と 女の子の名前
娘さんから 私への贈り物であった

童話 ....
堅く握り込んだ
こぶしをひらくと
てのひらに花が生まれる

目を閉じて
かすかな匂いを取り込み
脳によろこびを与える

水をはった
ガラス鉢に浮かべて
しばらく眺める
しずかな、 ....
雪についた風は 凍りの匂い
立ち上がって ひっかく
かわいてかたい ぽろぽろ

溶けながら指を食む
刻みつけられ 冷たさを

から から
頬から 

押し付けて とどめる
残され ....
近くなり遠ざかる海のかさなり
乳白色の巻貝の奥に
うずくまる内蔵
砂となった記憶の粒を探して
耳の感覚だけになる

ふくらみ、しぼむ浅い眠り
とうに輪郭をなくした風の面影に
なつかしい ....
銀紙をくしゃくしゃに丸めたあとで
拡げたみたい
海面で瞬く無数のさざ波が
煩い

雲から
スポットライトが注ぐ
見えるはずないステージが
現れ

翳む
ぼやける
ぶれる
沈み ....
春は皆のラブホテルだから
友の言葉尻をひっぱたこう
いい匂いがする人を敬おう
知らない家の玄関のように
僕を知らないハートマークにしないでほしい
行白のむこうで胸に響く言葉が待ち伏せ ....
骨格をあらわに
白い野に立つ

背筋を伸ばし
左右対称に枝を張り

あるいは 捻れ
歪みながら
闇雲に空へ手を延べる

曝け出された履歴のあげく

無防備に芽吹くものを
先端 ....
午後三時のおやつの後で
時の抜け穴から
入っていくときに
ぼくは二つにわかれる
もうひとりのぼくは
庭に作る仮装の舞台に立つ
そこで主役を務める
普段のぼくより
威勢がいい

スト ....
えんぴつが折れるまで憧れを書き続けていた
まっくろい手のひらに重さはほとんどなくて
誰かがのせてくれた飴玉の部分だけひりひりしているようだ
信号がかわるたびに思い出を切り売りしているみたい
待 ....
晴れた日 銀の洗濯棒は陽射しに熱され
光を宿し 立ち尽くしている
光を受けない所は 銀棒のまま
横にかけられた 渡し棒とまかれた鎖を支える

重しにはめこまれ 土の上に立つ洗濯棒
洗濯物が ....
さみしい、なんていうんじゃないよ
うまれたときから、さみしいんだ
それがきみなんだから

ねぇSORA
きみはうまれたときから
ひとりをたたかってきたよね
それがきみだったよね

き ....
君は愛と真面目のぺっちゃんこみたいで
君はカツゼツの悪いlovesongみたい
君はカギカッコが大忙しな秘密みたいで
君は重たい無言に溺れる願いごとみたい
君は優しさと残酷を調和さ ....
権利にゆるキャラん マスコットくっつける
ふさふさするの 指よりこだかい風に住んでて

かかせないものが重くって
踏めない道草が悪そうに笑う

染み付いてしまっても
ショルダー バック  ....
ひとであったような気がする
初めから
ただの意識だったのかもしれない
どちらにしても
たいして変わりないだろう

何がしたい、なんて
真面目にきくなよ
浮かんだそばから
シャボンみた ....
ふかく強く
ひとりの人を愛した

唯一絶対の人と信じて
今日があった

ただ五月雨のように
哀しい瞳をした
少女ではあったけれど・・・
時は切れ目のない波
凪いだ海の
ゆるやかなうねりのいただきの
光るところから
暗い窪みまで
隈なく見つめていた
幼い日

小学校でいやなことがあると
深くうねる波の底に下って
浮か ....
風が運んできたのか

優しい匂い

ほこほこ土が盛り上がり

暖かい感触

もうすぐかなと待ちわびて

木々が揺れる葉々が笑う

私は光を浴びて

川を心地良く流れて

 ....
こんばんは
こんばんはといえば夜ですが
夜になってもまぶたの裏が痛みます
きっと蛍光灯のせいでしょう
蛍光灯はしろっぽくってあおっぽくって
だからやつのせいでしょう
そういう ....
あなたが
西日にうずめたものを
知るすべもなく
いまは昔


あなたが
見ていた向こうには
なんにも無いと思ってた

なんにも無いと
思いたかった


向こう見ずなあな ....
どこからどこまでを少女と呼ぶのか
それは自分の幼年をさかのぼる程度でしか知らない

だとしてもだ
あの病院で出会ったのはたしかに少女だった

「会った」というより「会ってしまった」
そう ....
 
 
高い高いをされてる時が
一番高い時だった
何よりも誇らしい時だった
もう僕を持ち上げられない父が
故郷に帰る段取りを心配している
ぶつぶつとうわ言のように
出鱈目な記憶を繋ぎ合 ....
あなたのこのみはなんだろう
と、おもいつつ
たまごを割り
しろみ

きみ
にわける
よく冷えた銀色のボオルに、ひしゃげた顔がうつり
かしゃかしゃと、撹拌されていく

こんげつのつ ....
唐草フウさんのおすすめリスト(3756)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
猫の徒手空拳- カマキリ自由詩213-4-5
ここへ- 砂木自由詩14*13-4-4
ちぇんちぇー- 佐野権太自由詩213-4-3
ボタンをつける- 灰泥軽茶自由詩15*13-4-2
ネギ侍- 佐野権太自由詩9*13-4-1
彼岸の日に- 殿岡秀秋自由詩413-4-1
ほら、あのトカゲ起きてきちゃったじゃない- カマキリ自由詩513-3-31
サクラブルー- 佐野権太自由詩6*13-3-28
親愛なる童話- 砂木自由詩14*13-3-23
春工房- 佐野権太自由詩5*13-3-22
- 砂木自由詩9*13-3-20
春の巻貝- 佐野権太自由詩8*13-3-19
凪ぎ- Lucy自由詩19*13-3-18
ゴールドスタイン- よしたか自由詩3*13-3-17
冬の木- Lucy自由詩13*13-3-16
時の抜け穴- 殿岡秀秋自由詩313-3-15
だってきみ、宿題やってないじゃん- カマキリ自由詩813-3-14
銀の棒- 砂木自由詩14*13-3-10
SORA- 草野大悟自由詩2*13-3-8
夢と魔法の君- よしたか自由詩7*13-3-5
ラッシュ- 砂木自由詩8*13-3-3
すぎてゆくもの- 佐野権太自由詩9*13-3-1
五月雨の瞳- 草野大悟自由詩3*13-3-1
時の高速回転機- 殿岡秀秋自由詩913-3-1
春じゃないかい- 灰泥軽茶自由詩9*13-3-1
_- ズー自由詩11*13-2-27
向こう見ずなあなた- 千波 一 ...自由詩713-2-26
「少女の指で書かれたカルテ」- ベンジャ ...自由詩913-2-26
高い高い- たもつ自由詩1213-2-25
チョコレートケーキを焼く- 凍湖(と ...自由詩5*13-2-25

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