海が
めくれてゆく
いくつもの
いくつもの
海が
めくれて
岸壁から
追い縋って
宙を泳ぐ指先に
紫貝のように
閉じる音楽
(母は海に還ったのだ
街が
たわ ....
お祭りなので
顔を汚くしていた
ドラム缶いっぱい
葛湯を作ってふるまう
青い星だけをつないだ星座を下さった
青いネックレス座だと
いって
作業台の上にはつねに
いっぽんの薔 ....
ぼくは沸騰するスープである
ジャガイモが崩れていく
ぼくは真っ赤に茹で上がる毛蟹である
苦しさに前脚を伸ばして泡を吹く
底から熱せられていて
二重の蓋がかぶさる
重くてもちあがらないで ....
煮つめられた、ような
まよなかのにおいを
くたびれた寝床で嗅ぐ、遠いこめかみの痛み、ディスプレイの照明を、受けとめ続けたせい
おとなしい雨の日の
波打ちぎわみたいな間隔で ....
割り切っている
良くも悪くも割り切るのが早い
僕は
公式なんかすっ飛ばし
一か八かの
答えだけ弾き出す
便利な簡易計算機です
愛してました
哀しみました
落ち込みました
....
ゴルフ焼けしたいい親父になった
今では大阪の営業所長さんだ
―僕らの音楽を理解してくれる人は
この広島に一人か二人ってところだ
だけど これだけは確実に言える
僕らは凄いことを ....
小学生から高校途中まで、住んでいた家の庭の思い出です。
果樹や花木が色々植えてありましたが、梅は2本ありました。2月のまだ寒い頃につぼみがふくらみ始め、もうすぐ春が来ることを教えてくれます。黒い木肌 ....
新居への、
家具や家電の配送も、
なかなか日程合わせも大変なもので、
どうやら、
妻ともども引っ越すのは、
3月も終わりになりそうな気配だ。
花粉で目がかゆい。
今日は仕事帰りに寄席へ行 ....
なんだか
うれしくなる
ぼくの
なかから
ことしも
にょきにょき
新芽が
でてきたから
なんだか
なんだか
うれしくなる
ふろに
はいることが
ひとしごと
さらを
あらう
ことが
ひとしごと
あした
おきる
ことが
ひとしごと
いきを
することは
かろうじて
しごとでなくて
....
詩などの投稿掲示版を利用させて頂くようになって
十年くらいになったのだろうか。
ほんとに無料で投稿してもいいの? 好きな詩に投票?
ポイント? 感想は書きたいけど ポイントなしだと
がっかりな ....
仄暗い廊下に時々夜の天使のように
夜勤看護師が羽ばたく
世の中で最も偉大で逞しい美しさが
老人達の
人生という点滴を
繋ぎとめにゆく
また鳴るナースコールは誰のための
子守唄なのだろ ....
「明日、学校が壊れてなくなる」
という妄想を
わたしたちは
一度は
みんな
するのです
そうして目を閉じれば
朝が来る
当然ですが
学校は
なくなりませんでした
しぶしぶ
足を ....
「痛くするけど、がまんしなくていいからねー」
リハビリのお兄さんは言った。中1の体育の跳び箱で失敗し、ひじ骨折→骨をくっつけるために手術で針金を埋め込み→骨がついたから手術で針金を出し→固定していた ....
君がリリアン編んで
見上げた空は花と同じ色で
ぜんぶ、ぜんぶ春だった
ゆびさきで、光源をたどる
なくしたもののかたちは
思い出せないけれど
なくしたものから芽ぶいたのは
街でいちばん ....
わけてあげると
たわけたことを
のんきにみせてる
づきづき わらう
かなしばられないかおで
そようのないがしろな
ほのぼのやわに
ちゅあちゅあ こぜり
みくだし みくるい
....
仮眠中だった
変死との110が入った
初任科卒業したての俺は
部長といっしょに
その現場にむかった
午前4時12分
現場についた
大學2年生の男が
胸に裸のコードを巻きつけ
タイ ....
困らせたいわけじゃない
だけど困ってしまったらごめんね
トーキン
はる
左の耳から出てきた紙くずが
右の耳へと入っていくような
かさかさしたおわりのなさ
木の間にぶら下がる健 ....
何をためらっているの
細胞が覚えているでしょう
心が脈打つ度に感じないの
いのちを抱きたいのでしょう
肌が泣くほどに抱き合えばいいよ
後付けの科学は興味深いけれど
あなたはあなたをもっと
....
4月に、
生まれてくる女の子(らしい)、
ぼくの子供。
名前を考える。
妻の語感を甘やかしながら、
ぼくが整えてゆくことになるのだろう。
ばんび
って可愛いよね。
ざじ
....
わたしが泣き出すと
姉は自分の手のひらにエノキさんを描いて
「もう泣きやみな」と言った
エノキさんは森の木こりだった
中学にあがったとき
両手にマニキュアを塗ってくれた
わたしは水色の ....
自分の人生を愛おしんで
ここまでつき合ってくれた
セーターの青ミックスの色を
両の腕に抱きしめる
コープのお店に並んでいた
赤ミックスも緑ミックスも
好きだったな
モールのセーター
....
私は霊だ 唐突だが気づく
年を重ねて老いてなるわけでもなく
生まれつき 霊だ
霊と肉体の合体で
動かしているのは心
じゃあ 私って誰?
肉体を授かり 名前を授かった
その負う この世 ....
まだ幼い頃
家族で夜の海へ
泳ぎに出たのだろう
若い夏草のような
家族で
私は玩具のように
小さな浅黒い生き物
だった
海もまた
生き物だと
生々しく感じたのも
それが初めて ....
(ふるる 街に
リルケが 今宵も
遠く
灯りに (ふるる
砂の十字架
闇のブーケに
光る ) 壊れたリルケが
(ふるる 白い はら
....
やまない雨
ひとりぽつんといる
すべては遠のいているし
この部屋できみという花が萎れてゆくのをじっと見ている
ふりしきる雨はやがて氷雨となって
言葉を紡いでゆく
....
新しく作られた神様を
ひび割れた背中にぶら下げて
くすんだ野道に そぞろの巡礼
通りすがりの南風から
千年前のにおいがする
中空いっぱいにひろげた彩度の
かけらだけでも ....
文化祭で焼きソバをパックに詰めていると
わき腹をちょんちょんつつかれて
そんなに親しくない人が親しい人になる
何を考えているんだろう?
私って
ビートルズにすごく詳しくなった人が
....
がんばりんさい きばりんさい
けれど ちからを ぬいてきばりんさい
どうしても 我慢ができんときは うちを おこりんさい
あんたになんもしてやれん
あんたの出すもんを うけとめて
....
地上で使った資料の多くを海の藻屑にする
書斎は浅い海の底
侵食された岩の本棚に
小さな貝が貼りつく
整理された書斎には
イソギンチャクや
蛸や珊瑚が棲みつく
海面 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126