すべてのおすすめ
ながい腕を
まっすぐに伸ばして
陽ざしをさえぎり
さらにずんずん伸ばして
父は雲のはしっこをつまんでみせた
お父さん
いちどきりでした
あなたの背中で
パンの匂いがする軟らかい ....
水面から少し出ている
君の肩の稜線は
涙を誘う
なめらかな肌にハート型の葉っぱ
なんて
ああ
あっちのアマリリスの茂み
ミツバチが蜜を運んでいる
爆撃機は今
どこを飛んでいる ....
ちらい
病気のあなたは ちらい
いつも 優しく 広い あなたが
他の人には あたらないのに
わたしにだけ きつくあたる
それは
嬉しいことでもあるけれど
わたしの 心 ....
かたん。
わたしの、やわらかい場所が、いい部分とわるい部分とに、ひとつひとつ解体されていく。いい部分は、礼儀正しくつるんとしていて、感触がない。わるい部分は、どれもいびつに明滅して ....
ギリギリでバスに乗りこむと
最後部の片すみに
ちょこん とすわっていた
同じ塾の子たちと離れ
まわりを遮断するように
本を開いている
「よかった 帰りが一緒で」
となりにすわると ....
ひりひりとおとを立てて「それ」は泣く
はたはたとしおの香りを地に這わせ
数時間前 数十キロ先に居た欲望は
孤独の広がるその早さに耐え切れず
遂にはかたい寝床を飛び出し
....
眸は走りにはしった
コーナーでころんだけれど
めげなかった
薫はいっぱい昼ご飯をつくった
アレルギーが起きないような
ジュンイチは父兄リレーにでて
結構いいせんいってた
ご両親と姉さんも ....
ゆうぐれをあびると
くびすじから、すこし
てんしのにおいが
する
だから もういちどだけ
とべる
きみも ぼくも
もう もどってこれない
こくばんに
らくがきしたかっ ....
もうベビーじゃないこびとをのせて
ベビーカーを押している
愛しい生活にまみれた周辺を
いっぱいに抱えながら
秋は日に日に落ちてきて
車輪がとらえる枯れ葉の音が
肌の乾きを知らせてくれる ....
雨の温度が秋であれば
降りしきる時が吹かせる
あの風が好きだ
小雨であれば
プリントアウトした君からのメールを
焚き火にくべよう。
消去するときは軽々しい一瞬だったけど
剥がして ....
俺はお前が買ったCDだ
お前が一度聴いただけで「買って損した」と判断したCDだ
待ってくれ 俺を中古屋に持って行かないでくれ
もう一度俺を聴いてくれ いや何度も聴いてくれ
何かのBGMでもいい ....
きょうだってこんなに
台風、とおり越して
こんなに晴天
なのに
ほほ笑む気もちになれずにいる
血のかよう
太いライフパイプラインがほしい
トンネルがあれば(ゆめの)
手当てした ....
ふりんしてるみたいだね
と、
はじけるようにわらい
おれに
だきついてきた
あなたは
とても
かわいらしく
いきいきして。
しゃしんとろうヨ
シャッターをオートに
おれのみぎ ....
日曜日に開催される
みどり市で
みかんの盆栽を
かって
収穫祭に
よんであげるよ
それまで
夢の中で練習するから
今は目につかない
ところにいてよ
なん ....
夜顔の咲く
夕涼
あせのひくあおぐろい素顔
{引用=※ 夜顔=ヨルガオ。ヒルガオ科。}
その夕方は
台所のテーブルに
向かい合って座り
母は
きんぴらにするために、ごぼうを
笹がきに削いでいた
わたしは、その灰汁で黒くなった指の先、手を
目の中に映し撮りながら
小窓か ....
三年間
そうしているように
病院に行った。
コップ一杯の
とろみ茶を
二時間かけて
きみは飲み、
歯磨きをし、いつものように、ぼくが磨き。
病室にもどって
ベッドに寝かされ
....
父の見舞いに行くと言って家を出た
船橋までの直通の快速に乗ったのに
途中千葉駅で降りて映画を見た
アメリカのアクションものだった
無責任に人が死んでいくのが嬉しかった
夏の終わ ....
夏のおわり
夜風をあつめて
帆をたたみました
骨のぬるい晩のことです
しん、と澄み切った屋上の一隅で
片付かない、ちっぽけな一匹のままでした
(金属製 ....
空が流れて
夏が止まって
指をのばせば
静かな想いを
星をみつけるまで
まだ帰らないで
とまった景色を
衣にして
まとう
無言蜻蛉、するりするり
夕陽が焼ききる
あな ....
野菜が野菜の味がしないし
なによりも
僕が僕の味がしないから
ごはんは船に乗った
旅に出るつもりではなく
綺麗な女の人に会うために
船は川でも海でもない
水があるところならどこ ....
くまをね
くまをおんぶして歩くの
会社行くときも
映画観に行くときも
フランス料理食べに行くときも
くまが可哀想なんじゃないんだ
私がくまがいなきゃもう歩けないんだ
ねえ く ....
ターンテーブル
080910
ゆるやかに日が暮れ
跳びハゼが眠る頃に
三日月色の雲が出る
古着を売って流離う風も
そろそろ退屈するはずと
....
重たいよ、重たいよ、と稲が鳴ります
生まれるよ、生まれるよ、と栗がもうすぐ妊娠八ヶ月です
うーーん、と心地よい秋風に、晴天が背伸びをします
ぐう、ぐう、と魚の雲を見たわた ....
子供の頃
よく胎児の夢を見た
まだ知らないはずの家族が
言葉ではない言葉で
話す声を聞いていた
その姿も見えていた気がする
胎児の僕は
母の子宮の中で
永遠に産まれないまま
....
星はかつて人で
海はかつて宇宙で
ぼくはきっと蟻んこで
きみは
きっと
かみさまで
(命の軌跡をなぞるその指先が)
....
じゃぐちをひねったら
鎖骨から流れ出ている
それはスウェットのしずく
水のように ろ過されて
気高い指で曲がったスプーンの
枝と枝をつなぐ
わたしの
鼻骨(けして高いものではなく)
....
どうやらここがとてもとても明日で
透明なはずのここは鈍く曇っていて
上を見上げればちょっと青みがかっていて
(水槽だよな)
なんて
ぼんやりしてみたりもする
息苦しいのはきっと酸欠だから
....
憂いを全て詰め込んで
川に流せば お魚に?
自由に泳いで行けるでしょうか?
黒い部分を 夜空にこっそりと
投げあげたなら
闇夜に紛れて 空の一部になれるでしょうか?
重荷を全て広い ....
窓辺の四角い夜に うなだれた手をかざすと
しずかに風は
終わりの夏を打ちつけてくる
部屋中を駆け巡る息づかいは
いつもそこに置き忘れてあるから
死をつつましく夢の先に灯して
ただ耳を ....
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