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まどろみの向こうで
たまごが焦げる
かしゅ、かしゅ、と三つを割って
手馴れた指は
ぬるく充満した昨夜の空気と
朝とを掻き混ぜたのだろう
ふっと白くなる意識と
休日の実感とを
贅沢に ....
メールのだるい
やりとりが嫌になってくるから
メールとか手紙とかあんまり
気が進まなくて逃げていた
もしくは
仕掛けたりして
逃げられたり
嵌められたり
だれともつながってないと
な ....
今日も君と騙くらかし合い
きっと君の名前は僕の来世の恋人の飼い猫の前世の名前だね
なんて言ったら
僕の名前はメトロノームの親戚に違いない
なんて言ってくれたね
仕方がないから聞こえなかっ ....
あなたの横顔が懐かしく、
僕は手を伸ばしてみたのです
南風にただよう
幸福のかけらのようなもの、
あなたの日傘をにぎる手に
すこしだけ集まっています
なれない革靴から
愉快なメロ ....
燃える水滴たちは
河の中で流れながら
ここにいるよと
会いたい者へ 点滅
からだで示している
ティンパニーの連打に
はねうつ 飛びうつ ....
それは
ほんの気まぐれ
『贋作 手袋を買いに』
真夜中に差し込んだ月光を
唇ですくって
指編みし
小さな誰かに合う
手袋を編んだ
私の指は
夜霧の摩擦に赤 ....
黒板の粉が
午後の日差しの中で踊ってた
あたしもその消された文字の一粒で
キラキラと笑っていたんだ
ブラウスの隙間から
風がこぼれないように
37℃の痛みを飾って
眼鏡越しに見える世 ....
冷たいアクアリウムの床は濡れていないのに濡れた色をして
あたしたちの足音を消してゆく
透明な嘘の輪郭に包まれた
透明に眠る魚たちの呼吸は泡となり嘘の空へと昇る
あたしたちはぴ、ぴとその輪郭を辿 ....
夕映えを湛えた水面は
紅葉の最後に火照り
林に、ひっそりと隠れて
雲場池
湧き水の注ぐ豊かは
常に清冽を極め
水鳥の、
その羽根の下にある深さを忘れさせる
黄色や褐色の ....
細胞のしかく・てん
から線を引いてみる
遠く遠く
君の耳まで
白濁する土手の上には、昨日と今日と明日の車輪
細胞のしかく・てん
から伸びる線で
三葉虫の形を描く
遠く遠く
....
回るやら絡まるやらぶら下がるやらの困難が大変に憎たらしい鉄棒の、仕組みがいっこうに理解できない、あなたは、どのような装置なのですか、あなたは、どのようなおつもりですか、あたしをこんなにも弱らせて、あた ....
空はいつからか
うそをつくことを忘れたようだ
また 冬に近づいた
寄せ集めた言葉で
とりあえず冬を迎える準備をした
....
しずかに激しく
ひとたちが群れては
やさしいことばをかけて
やさしいことばにすくわれる
ああ、きみの手ぇ、あったかいねぇ
網の目たちがあくしゅを、している
みえないものをわたし ....
江ノ電の窓辺に{ルビ凭=もた}れ
冷たい緑茶を飲みながら
ぼうっと海を見ていた
突然下から小さい手が伸びてきて
「かんぱ〜い」
若い母の膝元から
無邪気な娘がオレンジジュー ....
視界に入った
地面の上の
{ルビ蟷螂=かまきり}に
思わず急ブレーキを握り
ペダルを止める
足元に
身じろぎもせず
老兵のように
土色に身を溶かした
秋の蟷螂
....
図書館の本は
公務員みたいに黙って
読まれる、という役目を
少し怠そうに待っている
田舎の図書館は
どうも品揃えが悪くて
本にも覇気が無い
手に取ってみても
抵抗はしないけれど ....
♪ http://www.geocities.jp/mfta29/yakusoku.html
やくそくどおり あらわれて
ぼくの顔をみて ほほえんで
ここだよと手を ふってくれた ....
昼寝から目を覚まし
休憩室から職場への
一本道を歩いていると
路面に置かれたひとつの石は
忘れられてもなぜかまあるく
不思議とぼくを励ました
{ルビ雀=すずめ}の親子が列になり
1・2・3・・・
路上のひなたに
小さい影が跳ねている
ピアノのあしは楽器を支えているのか
それとも音楽を支えているのか
ギターをかき鳴らす仕草は
そのあしに似て、共鳴する独り言
マイクを持って空を指したとき
ひとはただのマイクスタンドでしか ....
藍色のカーテンを
閉め切った部屋で
スタンドの灯りに
照らされた机に向かい
すれ違うこともないだろう
百年後の誰かに手紙を書いた
万年筆を机に置いて
深夜の散歩に出かけると ....
***
明日の
天気に
首をかしげたり
紅茶の中で
角砂糖が詠うほわほわと
スプーンを遊ばせたり
そうでした
ぼくは
ぼくをさがさなくてはいけない ....
夕日に泣いた僕
友達の顔を怪我させて
電話ごしに泣いた
大切な友達
君はトランペットを
僕だけに吹いてくれた
君につられて
吹奏楽部に入った。
できない僕を
指揮者の君は
....
わたしという
一人の凡夫は
目には見えない
風の絹糸で
見上げた夜空に星々の巡る
あの
銀河のメリーゴーランドと
繋がっている
おれのうたは
いったいどこまで
とどくのか
けんらんこうかな
べゞをきて
かなきりのように
あげたおおきな
こえなどだせと
せんせいは
ゆうけれども
おれのこえは
....
{ルビ鉄=くろがね}の背のように
陽を照り返す
さざなみの群生するこちら側で
砂に潜っている
貝の喘ぎは
打ちよせる海水に
くりかえし濡れる
しろく寡 ....
その日、
ぼくらは冷たかった。
ぼくらはいつも凍えていて、
身を寄せ合って、
暮らしていた。
あたたかくなるように、
少しでもあたたかくなるように、
ぼく ....
まもれない
バイバイ、の約束
まもれない
切り出そうか迷う
えいえんの別れ、って
あるんかな
これからずっと
ずっと、の約束
まもれない
これまでだって
いつ変 ....
ベンチで たばこを喫いながら
並木が風をうけて 帆のように
喜ぶさまを見ていた いまならば
わたしも けむりになって
消えてしまってもいいと 感じていた
わたしは、あなたが思うよりも深く、沈んで、いる。
それは深海のようであり、深遠のようでもある。
あなたはあなたが嫌いで、いつも誰かを、装って、いる。
あな ....
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