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バスが終点に近づくと
乗客はわたしたち家族以外に
誰一人いなかった
息子が車内をみまわして
どうしてみんな座らないの、と
終点に着くまで
そんな不思議なことを
言い続けていた
....
空を見上げながら
ずぶずぶと
沈んでいく足元
気づいていない
気づいたら
あたりは真っ暗
ぼくはひとり
悲しんでいる
暇はないよ
よくは見えないけど
空には枝が ....
飛んでく
飛んでいくのは
ぼくではなくて
ビニール袋で
ビニール袋の
ぼくである
風が強いな
それでも飛ばされない
ぼくは強いのか
、いや
ぼくは弱いのだ
....
土曜
日曜
ぼくは
ねじ曲げられた
風を
覚悟しなくてはならない
それを
目の当たりにして
気のふれない
強靱なこころを
持たなくてはならない
ほら
十三日の金曜日 ....
何故此処には 雪が積もらないのだろう 積もっても 春のように消え 冬のようにまた 積もるのは何故 なんども冬と 春を繰り返す 冬は 過ぎ行く季節 此処に来てわたし 時の早さを思い知る とくに冬 ....
ねえ にゃんこ
私が仕事に行っているあいだ
君はなにをして帰りを待っているにゃ?
お腹がすいたらカリカリを食べ
眠たくなったらお気に入りの場所にゴロンってなって
本当にに ....
夕月は君が
先に見つけた
でも
明日雪が降ることは
きっと教えてあげない
*
君のいちばんのねがいを
たぶん私は知っている
でも
君のいちばんの ....
わたしの背中には
一枚の皿が
ぴったりとくっついていて
たとえば高いところから
低いところへ落ちる時など
少し浮いてしまう
そんな時
わたしはこの世界から
少し離れたところへ ....
あなたのライナスの毛布は
目には見えない形のない
責めることのない想い人
誰にだってある。あってほしい
毛布がわりに
こころからやすらぐもの
かぼちゃ大王を信じているライナス
母性をくす ....
腐葉土の匂いを吸い込んでくすぐったそうに走る少年の汗に濡れた慎み深い爪先は自分の重みがたしかに土を撒き上げてしまうことを恥らっているのか二三歩踏み出すごとにきゅっと小さな親指を丸め込むので伸ばしっぱな ....
ぶどうはブドウとよばれてから
葡萄になったのでしょうか
私が生まれてきたとき
やさしくよばれた名のように
もう一度、問うてもいいですか
せみはセミとよばれてから
蝉になったのでしょうか ....
こおり
あたたかい
しらない
あたたかい
わからない
みんなつめたい
ならんでつめたい
あたたかいって
なに.
やさしい そのて
さわらせて
やさしい 、こと ....
切れ切れの落ち葉は切ない
道の脇に沈みこんで
自分がどこから来てどこに行くのか
道行く人にかさかさと問いかける
けれど誰もその葉が何の葉であるかを知らない
女は三輪車に乗る子どもを道で遊 ....
フリルの付いたピンクのシャツを
柔らかく着こなして
エナメルのヒールで
床をコツコツと鳴らす
とても簡単な技術を
素直に身につけられないあたしは
結婚相談所のコンピューターか ....
洗えるお母さん
あたためますかお母さん
出会い頭にお母さん
やわらかめお母さん
おふざけが過ぎますなお母さん
スナイパーお母さん
ちょい悪お母さん
改革お母さん
ねっとりもっちりお母さ ....
不意に、もうひとり帰ってくる気がする
母は家にいて
私も家にいて
弟が帰ってきて
もうひとり弟が帰ってきて
それから父親が帰ってきて
机に張り付いて私は耳を澄ま ....
甲子園に行くためには名投手が必要である
バッテリーの才能がずば抜けていれば
守備や打撃にさして強みが無くても勝ち残っていける
二人の青年が呉琉紺駄高校に入学し、万年予選敗退だった野球部で
その ....
懺悔をしたいのです
普段は書く事もない漢字ですね
ペン一本で世界を変えてきた私の
言うことですから信じないで下さい
けれどもこれまで嘘をついて来たことを
皆さんに懺悔したいのです
ほん ....
ふたりで羊羹に入ろう
思い立って三軒目のコンビニで見つけた
消しゴムふたつぶんくらいの小さな羊羹を
にゅるっと皿の上に出す
安物でいいのかと聞くと
羊羹ならば構わないと言い
ゼリーでは ....
とけ残り雪のオブジェは
暖かい風の作品だろうか
冷たい風だろうか
理里有楽リリック
心占末々
美しい羅列を求めて
袋小路文が伸びてゆく
晩ご飯は
彼方絶海の山椒魚
ここでは
....
東から西へ
クリークのような商店街の上を
滑空する
コンビニの角を南に曲って
コソコソとパチンコ屋へ向かう
八百屋の若旦那を左目で見ながら
西から北へ
生易しい北風を切り裂く ....
出会いを点にして
ブックに落としたら
模様ができるくらい
数になった
すれちがいを
修正したくて
その点どうしを指でつなげた
寂しいとおもい
落とした点は
透けているので
....
動物がほとんどいなくて、すきっ歯な林だけがあるような
そんな植物だけが林立する場所にも、空き缶は捨てられていた
その缶を水が徹底的に錆び付かせ、風が土に埋葬した
泥に溺れそうな缶詰の、淵が顔を覗 ....
マクドナルドの隅で自慰をして
汚い安食堂のうどんで身体を温める
指の指紋が剥がれるくらい
心が痩せて
今日も化粧のノリが悪過ぎるわ
明日が春で
あさっては春
....
一週間ぶりに
病院に行くと、
よっ、と
笑顔をつくっていくと、
きみは
雨の中でかがやく
太陽のような笑顔をわらう。
そうして
よっ、と
握り拳に近い
Vサインをする。
白梅も微睡む夜明けに
あなたしか呼ばない呼びかたの、
わたしの名前が
幾度も鼓膜を揺さぶる
それは
何処か黄昏色を、
かなしみの予感を引き寄せるようで
嗚咽が止まらず
あなた、との ....
冬のしぶきあげた 波を
しろいくじらが旋回 押しこめて
少しずつ降ってくる
わたの毛はほつれた傘たち
わたしのしもやけの手
いつか 治るよ
太陽が言った
だから信じてみる
....
[銀波]
あおじろいいのちが
誰かの胸にともる頃
あなたの耳のなかに
夕暮が入りこみ耳の
中で星たちはしみわ
たる水の音を聞き入
りながら瞬き始める
[tears] ....
北行列車は、かれこれ数年間は立ち往生している
車掌はいつも困り顔で客室に説明をしに来る
私はそれを聞かずに窓の外を見ている
雪が窓に張り付くとふわりとした光を持つ
「蛍の光、窓の雪」と歌ってみ ....
ふゆふあ
あったかいふとん
ふゆふあ
つめたいあしが
ふゆふあ
こぽこぽおふろ
ふゆふあ
じーん、かたまで
ゆげのけつろ
つかのまのひざし
ふゆふあ
めれんげにく ....
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