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わたしたちの夏は
ガラス玉みたいに透き通って
どこまでも不安定に揺らめいて泡してく
炭酸水の中でうまく泳げない
わたしとあなた
きっとまったく別々のままに飽和して
まぶたの裏でまだ小さ ....
影を
その影を
見ていると
いなくなった人が
その中にいるみたい といった
母
姉や親の影に
似てきたのだと
その黒い動きの中に
いるのだと
そうだね
わたしもいつか
母さ ....
メリー、
それは細長い
木々の根元から枝の先までがちょうど、
ひかりだけ流れているようにみえた
夢みたいな夜
ぼくらは産み落とされて
地図だけを持たされていた
しずかに痛みな ....
冬の薄灰色の空に
硝子の太陽
私が歩む通り沿いの柵には
光沢のない有刺鉄線
遠くに鉄塔群
私の今のこの歩みは
自分の部屋へと帰るためだが
それでいて
どこへ向かっているのでもない! ....
小学校に行ったよ
山奥の
廃校になった
なにもかも小さくて
洗面台なんかほんと低くて
でも何でも揃ってて
まだ、ひとの気配がした
あんまり陽あたりがよくて
運動場も広いから
....
ムーミン谷に不眠症はない
眠れなくても誰も困らないから
ムーミンママは
もし眠れなかったら台所の整理
夜出てくるトロールたちに
小さなお菓子をこさえてくれたり
あたたかい飲み物をくれた ....
そのひとの
エタニティという香水の
匂いが好きだった
あまい匂いがしていた
君といる時はいつまでも
永遠だと思っていた
エタニティは
永遠
という意味であることを
その ....
舞う、
それは、かすかに穏やかで
重力と風をさらう
そして、アスファルトへと帰るまで
溶けては消え、溶けては、
あたりは、
そうそうと時をつなげている、師走
風を分けて走 ....
神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので
幸せになりたいとお願いしてみた
神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた
期待に胸膨ら ....
顔をあらうが
おとし切れない
このゆううつなまなざしはどこから来るのか
気象電波探知機はしんみりと
雲ゆきを映す
私を通りすぎて行ったはずの
宙は 青ざめ照りつける日にたちつくす。
....
パンジー (ものおもい)
青空の端にぼんやり頬杖をついて
ほつれた飛行機雲を指先で丸めながら
色とりどりの想いを散らかしっぱなし
冬風が口笛で呼んでも君はうわの空
....
およいでいる、ということに
気がついてしまうと
溺れはじめる
わたしが
わたしを忘れることも
たいせつな息継ぎ
うまれもった、すべ
音色、という文 ....
優しさの前に立ったとき
どうしようもなく
人見知りをしてしまう
なかなか差し出せない手を
ぎゅっと握って
その手のひらは
汗だくになってしまう
嬉しさの前に立ったとき
どうしよ ....
ブラジルのミナス・ジェライス州は
さまざまに良質な鉱物の産地として有名ですが
先だって展翅された天使の化石が見つかり
大きな話題を呼びました
地下湖のほとり
エメラルドの晶洞に
一対そ ....
ヒトよ
あなたたちの隣人を覚えていますよ
わたしたちのこと
ときどき
ひらひらしているのを見ていた
かれら
わたしたちも
かれらのこと見ていた
洞窟に
花が摘み取られて
....
*
びんのなかにばかり
もがいたものを
さけんでいる
そんなフラスコは
こだまして
ゆれる、んるんる
+
かなわない
ゆうぐれに霧をはらんで
シャッターのじゅんびをすれば
....
灰色のメビウスを/ねじれるままにチリチリと燃やし
きょうぼくたちは焚き火をした
冬の金網をぎゅうぎゅうと握ると
割とやさしげな声で鳴く
ミチルはミチタルに/過去をあげて ....
雨をひらいて いくつもの声のその中へ
飛び込んでいければいいと思った
軒下からしたたる雫が はねて、
とりとめない心に降りかかる
泣いているの、とたずねる人の
声がしたような気がして
振り ....
バス停をさかさまに読む
君のくちびるに冬がくる
片方の手袋を
置き忘れた日曜日
ぼくはこの交差点で
ちいさな水たまりを跳ねた
さよ、な ら
たりない空白は
君 ....
毛布になついた匂いをかぐと
やさしくおもえる十二月
ふゆという名のまぼろしが
ふたりのあいだに
許される
つめたい風のひとひらは
ぬくもりひらく
手のための ....
林檎の艶は
きみに似ている
口を酸っぱく言われても
じゃれて、もつれた笑顔が
子猫の甘噛みのように
僕を誘うから
僕をどうか響かせて下さい。
そのしなやかな、指先で、
き ....
欠点はね、
やさしく撫でられたら
十分なのです
無理をして語らないでください
いろいろな角度から
見つめないでください
寄りそうだけで
よいのです
見渡せば ....
ふたり、
ってなんだろ。
あなたと撮った
ふたりの
写真を見ると
いつも
あなたは
おれの右腕に
ひしっ、と
左腕をからませ
笑っている。
「満面の笑み」
との形容 ....
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう
やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる
もっ ....
眠れないんだろうな
なんて
思う夜はやっぱり眠れなくて
二時間もすれば
なんだか
現実味もない夢で目が覚める
ヒーターの残り火が
まだ部屋をぬくめているようで
ぬるい
そんな朝は ....
ミルクホール
生温かい
むせ返るような 喧騒
人々は
輪になって
互いの顔を眺め
口を動かし
耳をそばだてる
ミルクホール
夕方は寂しい
暗くなるとき
暗くなった ....
一緒にため息を吐こう
いや一斉にため息を吐こう
この寒空の下、缶コーヒーでも飲みながら
俺のため息、お前のため息
どっちも何のためのため息なのかわからんが
俺のため息の白さとお前のため息の白 ....
ウメ (忠実)
天神様の細道で大事な人を
繋ぎ止めようとしただけなのに
どうしていつまでも付き纏うのか
やたらと匂い過ぎる言葉達よ
スイセン ( ....
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで
銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
....
季節のせいだろうか
皮膚がうろこみたいに剥がれてゆく
少し前まで自分の一部だったものが
まるで別の存在に思えるのは
過去の自分を愛せず
そして許せないのと似ている
(あるいは受け止 ....
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