すべてのおすすめ
小さな海で泳ぐ
大きなこびとが
小さなやかんで湧く
大きな沸騰が
小さな水道から流れる
大きな水圧が
小さな寝息で見る
大きな夢が
眠りながらこの今も
見た目に小さく
ひそやかに大 ....
ビルの
濡れたところと乾いたところ
海岸通りによく目立つ
あの一枚岩のビルが
晴れ間の舞台に立ち
静かな雑音と共生しはじめたばかりの今
まるで定規で測ったような岩壁のところどころが
濡れ ....
ひどく僕の指先が透明になる気がした
記憶の中の君は後ろ姿ばかりで
どんな表情だったかも思い出せない
ぼくは少しぬるくなったコーヒーを飲みながら
君がいつ帰ってくるのか、こっそ ....
黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
スクリーン上に映し出されたままの
夏の星座がゆっくりと回転し始める
古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
その歳月 ....
素潜りで
{ルビ鮑=あわび}を密漁する
丹後半島の
夜明け
海で生まれた太陽と
山に入る月の夢、
肩がこる
髭の男が少年や
座礁した五月
白身のま ....
1997
ひらいているのか
ひらいてないのか
ラムネの瓶から転がりだした目で
すべての皮膚が内側からはちきれて
剥かれた/剥いた
滲む赤い体で
そのひとつの透明な血袋が
なににも触れな ....
噴水の仕組みがわからないから
それはもうじっと見ているしかできなかった
一定の水が噴水の中にはあって
それがどこかで汲み上げられて
吹き上げられている
そして落ちて回る
それくらいはわかる ....
ふいに夕立ち、
道を行く人々
急ぎ帰るなり引き返すなり
笑っている。
うなる空
大粒の水玉
白い歯で
目を細め笑い合う自転車の学生
それでもパンツをかばう女学生
缶蹴 ....
今日は夕焼け空だった
だけど今日は相変わらずどこへも入り込めなかったので
迷っているうちに一日が閉じた
そして空欄の日記が増える
今日も何もない一日だった
なあ、嘲うなよ電気
そりゃ確 ....
かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました
家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云え ....
名付けたいひかりの先に
やさしいリビング・ルームがない
一握りのたましいが
あかるみに美しく滅んでいる
並んで有機物が芽吹く
動とも植とも
青とも赤ともつかないまま
....
1
もう、
ふりかえらないのだ
髪をゆらしていった風は
束ねることはせず
つまさきは
後ろに広がる汀を
走れない世界にいて
こころだけがいつまでも
波になりたがっている
....
三丁目のタバコ屋さんの向かいの家に
春のはじめに女の子が遊びに来ました
少女はギターを抱えて 切なく響く歌声で
僕を幻想の世界へ つれていきます
三丁目のタバコ屋さんの向かいの家で
....
Ser immortal es baladi;
menos el hombre, todas las criaturas lo son, pues ignoran la muerte;
lo ....
ダンボール箱
いや、もう、箱ではない
これに
俺は
云いようもないさみしさを覚え
やあ、俺が
もう、君のよに、なってしまったら
どうしよか
なりたくはない
ダンボールのよに
雑用さ ....
とかく、そのフォームの美しいこと。
僕は退屈になるとよく相談したものだ、
ねえドリー、君の肺癌以上にかっこいい死に様ってあるかな
ドリーはヤニが浮いた歯茎を扇子で隠して
腐るほどにあ ....
意味もなく
突っ立っている
その言葉に
気づいている
きみひとり
髪をぬらして
雨の中にふたり
傘をひとつ買った
初恋の朝
目的もなく
寝ころんでいる
その眼差しに
気づい ....
1
ひかりは、不思議な佇まいをしている。
向かい合うと、わたしを拒絶して、
鮮血のにおいを焚いて、
茨のような白い闇にいざなう。
反対に、背を向ければ、向けるほど、
やわ ....
漆を塗り
さらに金箔を張った
豪華なわたしの部屋には
窓がありません
窓際無いのトットちゃん
トホホ
髪が伸びる
ゴムのように伸びる
オホホ
扉を窓にかえようよ! ....
飴玉を噛み砕くように
その{ルビ皹=ひび}のはいりかたのように
割れてしまうのは
誰で
何故なの
五月だ
熱くも冷たくもない
こんなふうにあるだけの季節に
遠いからうつくしい
空はそ ....
駅前に
都会が落ちていた
命のように
きれいだった
なくさないように
拾って
ポケットにしまった
そして
三年振りの待ち合わせに
僕は現れなかった
君はどうして台所で食事しているのか、幼心に不可解だったが、幼心に聞いてはならないと、私は、知って、いた。
雪の降った日、病弱な私は靴を隠され外に出れなくされていた。
家の者 ....
さようなら 風
ごきげんよう いのち
あなたのすきとおったあつみ
やぶれるようにさきなさい
大切なもの 見えなくなること ときどきあって
失ってから 気づいてしまって 泣くこともある
悲しい想いは したくないの
寂しい瞳は 見せたくないの
どこまでも空 ....
・
初夏の山は
いいにおいをしたものを
たくさん体の中に詰めて
まるで女のように圧倒的な姿で
眼の前に立ちはだかってくる
たまに野良仕事をしている百姓が
山に見惚れていることがあるが
....
街燈の光から
裸にされた
月世界のモノローグ
夜の哀しみの
ねぐらを見据え
月光に混じりあう
葬列を往けば
緩和されゆく
視界のほつれ
伏した肩肱は
硝子の時計を踏 ....
落ちていた
ふちのない穴のなかを
空は役割を捨てたらしい
光はボレロに合わせてゆるゆる回り
白い猿たちは「 」の頭を転がして遊んでいる
飽きてしまうと時計の針を集め出した
君の手の ....
みずたまりにおとした
あなたがくれたとけいの
ゆらしたわたしのめと
ちいさなきおく
やわらかにかさなる
みどりのそら
あなたをまった
こもれびのないひはずっと
わたしのかさを
....
あの人が、幸せそうだった。
ううん。
幸せなんだ。
僕はまだまだ一人だけど。
何だか、許された気がしたんだ。
少し、ほんの少しだけど。
2007/05/16
キンモクセイ
ギンモクセイ
火星の顔した
みどりいろの
緑の花の下の
地球にはない
美しすぎる色
きんもくせい
ぎんもくせい
春に咲 ....
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