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聴き慣れない
ラジオの
音楽に
飛び降りた
車道の
風に
吐き捨てられた
剥き出しの
台詞に
グラス越しの
炭酸水の
泡に
無表情な
電話口の
沈黙に
....
詩の中の君は
君でなくてもいいんだ
彼であっても
彼女であっても
そう
私であってもいいんだ
詩の中の君は
君の気持ちを考えなくても
彼の気持ちであったり
彼女の気持ちでもあった ....
母親が
名前をよぶ
大きな声で
どこからそんな必死な声がでるのか
あなたの姿がみえないからだ
名前は名前
どれほど
かわいくても
どれほど
しゃれていても
どれほど
字画 ....
まだぎらつきはしないけれど
充分に
強烈な熱を発散しはじめている
五月の太陽
日暮れがきて
それはすこしだけかげりはじめて
万緑は
急速に輝きを失ってゆく
気温が下がる
夜の ....
雷が鳴って
雨がひとしきり降ったら遠足日和
道端の公衆トイレ前
黄色い帽子のリュックサックの群れ
カラフルなお弁当とお弁当とお弁当とおにぎりと水筒と
得意げな顔 ....
あなたを大事に思っている人がいます
あなたを見守っている人がいます
あなたは気づいていないかもしれないけれど
半信半疑や
距離感や
....
ちょっとだけストレンジ、と
か細く笑う君 は
その意味を知らない
まだ
全てを許しきれていない
それは勿論
僕も同じことで
そこにいる
快楽殺人者は、許せるけれど
デパー ....
うちの家には お金がない
僕がいるから お金がない
だから僕は邪魔者
だから僕は消えなきゃ
うちの家には お金がない
娯楽なんかの余裕はない
だから僕は消えます
だから僕 ....
五月の街道だ
ダイエーさんに歩いていた
電信柱に気づいたりしながら
いっぽんいっぽん
それぞれが傾いていたり
平らな先っぽにむかって
細くなっていたり
....
ショパンを弾いて
ノクターン
振り向かないでそのままで
夜をつむいで
夜をつないで
けして何処にも逃げないように
ショパンを弾いて
指先が
わたしを思い出さないように
雨をほどい ....
長い間
「 わたしなんて・・・ 」
と{ルビ俯=うつむ}く影を
地に伸ばしていた
ある晴れた日
緑の{ルビ掌=てのひら}をいっせいに振る
背の高いポプラ並木の道で
ふと ....
記憶のかたわらで
あの人の奏でる、ヴィオロン
夜想曲は、もう
恋のできない私に似合いね
と わずかに唇をゆるめてから
伏目で弾いた鳴きやまぬ、旋律
それはどうしても、波としか呼べなくて ....
夢は 走る
清らかに 鮮やかに
初々しく 若さにまかせ
たくましく 力強く
加速度を上げていき
速く 速く
地球を 一秒間に 七まわり半の
スピードで やがて
夢は ....
ただの生活の中を
ただの生活だなんて言って
大して感動もせずにフラフラ生きてたら
ときどき前方不注意で
誰かの真摯な想いの背中にどしんとぶつかることがある
いい加減見かねた神様にマジビンタを ....
子どもたちのかおり水はかがやく
わたしの足をのみさらうもの
それはとても自由な戯れに見えたけれど
目をとじて 耳をすませば
ひとつの韻律をかんじるわ
わたしもむかしは うたでした
も ....
ウォーリーは探されなければならなかった
探されるためには行方をくらまさなればならなかった
行方をくらますためにはいつも同じ服装をしなければならなかった
その服装が決めたものなのか決められたものな ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
2000/09/17
だれか来た
お化けか
美人か
期待を込めた
少々お待ちください
すぐ参ります
自信を持って降りてった
ドア開けてみたら
....
さよなら言わずに引っ越した
あの子のおうちのお庭には
たんぽぽみっつ咲いてるの
さよなら言わずにたんぽぽも
綿毛になってとんでくの
{引用=
金色が たおれる 欠伸が 蔓延する
蛙のうた こもる ねむれない 五月 日々の罅に 滲む
ゆううつの 書物 ふあんていの音楽
刺身 ....
卯の花と牡丹と金盞花
目の下の黒いくまと日焼けのしみと
赤茶けた髪の毛と手の皺の灰と
磨いた鍋底と花の終わったシクラメンと
藤とシャガとあやめと
終わってしまった菊桃と枝垂 ....
野良犬を見かけなくなって寂しいだとか
犬の糞を踏まなくなって嬉しいだとか
駅前の駐輪場はどこも整備されてきて
雪崩れを起こして倒れなくなったなとか
そんなことにふと気付くことがある
数年前の ....
現代詩フォーラムというところに
詩みたいなのを投稿しているが
まあ、その、あれだ
ポイントシステムのことだ
始めは何だろうと思ったが
今でもよく分からん
自分が読んでいいと思ったや ....
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
友達から葉書が来た
「マイナーチェンジしました。これからもよろしく。」
とあった
その友達に街で偶然会った
以前は、にこにこしていてよく喋る友達だったのに
妙に暗い
そっちのマイナーか ....
杉の林に静ひとつ
靄の立ち込める朝
靄に紛れて時間が漂う
暗闇から聞こえる森の声
林は何を考えている
杉の林に静ひとつ
緑の湿地に隠された
緑の夢と宝物
眠りから覚めた林の向こう
....
ピンクの透明なライターを
すかして落ちる電球の光は
穏やかな菱形にゆれていて
口をあけてすごした何百回の夜を
あくびなみだのふるえにも似て
思い出させた
夜の路地を行く人々は
人々
だ ....
風が、やんだ
鳥の声を探して
下草に濡れたのは
迷い込んだ足と
慰めの小さな青い花
遠ざかっていた場所へ
私を誘う手は
湿っていて
それでいて
優しいから
触れたところから ....
八十円切手を
丁寧に千切りながら、考えていた
軽四輪だったかどうだか
切断された偉そうな記憶だけが
粗大ゴミみたいに
音、
みいいんって
ああ、またかまただ
....
テレビが湿っている
ただで人からもらった
のだから仕方がないけれど
水分をたっぷりと含み
少し軟らかい感じがする
付属のリモコンも
ただで人からもらったから
同じように湿って
チャンネ ....
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