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グスターフは 静かに 時を 待って いた
湾口の 砂州は 彼の ふるさと で
きょうは どうしてか
鼓笛隊が 空を 横断 して ゆくよう だった
お ....
古い家の
納戸の隅とか仏壇とかに
小さな暗やみがいっぱいあったけれど
おばあさんがいつも座っていた
土間につづく台所にも
深い暗やみがあった
その暗がりに何があったのか
覗いたことも ....
どこからかほんのりくちなしの匂い
梅雨に入って水の声
雨が上がったその日の夕方
ゆっくりゆっくり空を見上げた
じんわり西の空が赤くなる
カラスの声が遠ざかる
大切なものは陽で滲 ....
ゴムボールにカラーバット
足りないベースを土に描く
守備も足りない相手も同じ
セカンド抜ければホームラン
無駄に走って疲れ果て
四球は損損フルスイング
ボール無くして日が暮れて
泥に ....
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
?.
星を
呼べるんだね
あのロバ
ほら
また流れたよ
願い事三回は
いじわるだね
静かにしていよう
叶わないよ なにも
どうせこれ以上
たどり着こうとして
....
■内閣総理大臣緊急演説
年間3万人以上の自殺者がでるようになって、もうひさしい。 この10年けの累計で25万人を超える自殺による死者がでているということになる。我々は、自殺という犠牲を伴う戦争を ....
しとしとと続く雨
カエルは喜び
鳥は泣く
蒸し暑い
世界中は
ジェットコースター
今日も
インスタントコーヒー
クリスタルガラスに
指文字
夢
カジ取りに迷う
夕方にはカエルと言って
行方不明の父親が現れた
その日仕事から帰ってみれば
珍しく上がりに揃った母親の靴と
並んで見慣れぬ紳士靴
その好い趣味と墨が切れた痛み具合が
父親の物をおいて他 ....
若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます
水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
?.
眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな
?.
....
少年になれない大人の男が、
少年の青さを嘲笑う、
本当は俺も少年になりたいなと、
家から職場までの歩数はいつも同じで、
今日も新聞を読んだだけだ、
果たして私 ....
庭に張り出した大きな出窓のある亡父の書斎にて
毬栗頭の英次は家政婦の運んだカルピスを飲み、
しかし人類の英知はやがて信仰との境をなくすという
それじゃあ、近代主義者の信じるまっとうな学問はど ....
バスが停留所を見失って
行方不明になったことをニュースで知った夜
しばらく停留させてほしいと
誰かが私の家を訪れた
誰かと思ったらあなただった
あなたは風呂の小窓から
夜空を走るバスを指さ ....
チューシャは少女のようにはしゃいでいた。午後の陽射しが強いスジャータ村の大きな木の陰で、普段はサドゥなんかがルンギーとして愛用するオレンヂの布を大地に広 ....
夢のつづきは いつも
さむいものを 育てていた
ぼくらが たがいの
希望に なるのだと
むつびあった あの場所から
六月の香りの入った
お手紙
あなたから
お久しぶりです
から
始まって
麦わら帽子をかぶった
七月の夜に
なぜか さみしかった
その日の
星がひとつだけの夜に
かわい ....
夜はネンネコリン
お月さまのすべりだい
つるつるすべって夢の中
坊やは銀のお船にのって
夜の国へまいります
夜はネンネコリン
お星さまのガラス窓
きらきらひかって夢の中
坊やは銀の ....
ひとのくちからはきだされる弾丸
ことばに影はなく
銃身はいつまでもまっくろ
演技されつつ
ゆっくりと斃れるラジオフレーム
宙からの侵略
リビングで
百合がひらいて
そんなニ ....
身近なものに世界という名前を与える
だから私たちは世界を知っている
世界という名前を与えた私たちは
神である
*
おのおのが良いと思う形で祈り
....
その花には名前はなく
道の隅に ひっそりと咲いていた
それをみつけた きみは
その花に名前をつけた
その花は、あたらしい「いのち」を与え ....
一
どことなくうすぼけたひかりのてらす、砂浜だった。
ここには、風のふくけはいがない。うち寄せる波もない内海がひろがる。海は、あるいは死んでいるかの ....
なにかが しきりに
こぼれる
鈴のように
銀のように
ふるえる 天窓
夏が来る
とりどりの宝石が波うつような
きらめきとあざやかさを纏って夏が来る
いつもはただのフェイクとしか思えない
この生命にもすべての感情にも
夏だけは流し込んでくれる――本当だと思え ....
消えかける
蝋燭の火に
あわてる
誰も来ない日
菓子だけが
華やいでいる
もういいから
そう誰かに告げられたかのように
途切れている
数十年に一度 ....
レコォドの針がぐるぐると巡回する
たちまちこの部屋に横溢する
とめどない狂おしい優しい旋律
作者不明の名曲だ
長い瞬きの後で
果てしない音の海に
ダイヴする
息もできない
雨のよう ....
体に雨があたり続けると
冷えていく寒さに
体内に取り込めば力となる水の
私とは相容れない歩みを知る
宿り木のような両手の指を暖め
握りしめる手の甲を濡らす雨と
向かい合っている体内を巡 ....
雨をつなぐ
今日の空と明日の地を結ぶ
季節が駆け足で巡ろうとしているから
雨をつないで季節をとどめる
一粒一粒
雨をつなぐ
想いとは裏腹に
光の粒を散りばめた朝が訪れ
梅雨は明ける ....
最近どうにも足が疲れて疲れて仕方が無いので病院に行くと
一応疲れていますねと診断された
一応と言う言葉にむっとしたが
いやそれは最初から分かっているのですが
原因が分からんから調べて欲しいので ....
呪文を となえれば
砂の虹が くずれる
言葉の なきがらを
なきながら ふんで
風の道に とどまる
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