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わたしは猫であったかもしれない
黎明の月にひと声ニャーンと啼いて
死んでしまった猫であったかもしれない
わたしは何万年も前の骨であったかもしれない
アラスカの雪の底に眠る
まだ発見されて ....
ある日どういうわけか引力が真横になって
ぼくは壁に頬を擦りながら世の中の右側で暮らしはじめた
世の中の右側はページを捲る神経が発達していたので
それに重力がかかるのは不便であったけれどわくわ ....
またね
春風から一番遠いところで
皆でそうつぶやいたら
誰かの下唇に
名前の知らない花が咲いた
なあ、せっかくだからさ
もうしばらく
楽しいおしゃべりをしよう
空には50億年の嘘があって
それを雲が運んでゆくのです
遠い物語が砂漠を歩くとき
羽のあるものだけがそれを読むことができるのだ
私は知って
そして知らない
私は嘘を繰り返す
....
ぼくは声をあげたりする
うわあ
この星では
六十億の孤独がみんなと暮らしている
地球よ
ぼくの古里はここでいいのか
地球よ
この銀河で 水と空気と緑の孤独が
ぼくたちを ....
あなたは届いたり
届かなかったり
する
ふゆのなかでは
わたしはあなたにもぐり込んだり
息をとめたり とめなかったり
する
わたしは海のように
いくつもの約束を
忘れたり
....
痛みを痛みとして見つめながら
あなたは眼差しを地には与えず
自分だけの痛みだと言って、
誰かに分け与えることさえしなかった
花びらは凛として
項垂れること ....
ほと・ほと・と、日溜り温く
昼下がり ・ ・ ・
白い雲など浮かんでおりぬ
ぼんやり空を仰いでる
こんな時間に空を見る
無かった時を取り戻し
弥生の ....
山は風あり
海は凪
青い夜に恋をして
瑠璃色の海へ堕ちて行く
龍神の背に乗る人魚は
真珠の飛沫の泡残し
深く一呼吸して
静かに飛び去る
僕の中に封印した
旅する心が
....
おじさんはいつも何かにつまづいている
ずいぶん空が遠くなった
友達が少なくなったけど
仕事は増えた
良く知らないひとのことを気遣っている毎日
親しいひとのことはどんどん知らなくなって ....
いつまでもぼくは待ちつづけた
待ちつづけていると
いつしかぼくには重力が堆積して
不確かな形になっている
見上げると
空は鳥につかまって
ぼくの上を慌てながら広がっていく
ときど ....
すべり台から
マダアンナ
らいくあばあじんを
マダアンナ
すべらせる
すべらせる
(お手手洗ったの)
こだまする
こだまする
マダアンナ
夏のまっく ....
朝 あなたは やって来て
部屋の そこここは せせらぎ
時間は 急速に 速くなり
そうして あなたの声の他は 何も透らなくなり
僕の呼拍は 透きとおり 僕は何も 思わなくなり
愛が 部屋 ....
はじまりにいて 終わりにいて
ぼくたちはくり返しsexをした
着メロが枕元で鳴り続いた
夜の中ではおっぱいはふわふわして
不安定で
ぼくは必死に酸素を吸い続けた
かのじょは二酸化炭素を ....
海には
ばらまかれた空が広がる
雲はときどき
空を恋しがって飽和する
眩しいくらいに雨を降らせたなら
やがて雲は白い波になる
ふゆの海では
鳥は幾千もの残照と背中合わせで
お腹はい ....
ハニー ぼくは
ぼくを語ってもいいかい
ピーターラビットが
ぼくのハートをつかんでさ
地平線まで駈けていったころのことだよ
ハニー そのとき
ぼくはみんな好きだったのさ
B型の女の子 ....
静かなひかりありました
わたしなにも言いませんでした
歩いていると辿り着きました
足下に打ち寄せてくる全ての波の約束を聴いています
ずっと前のところにはずっと前のことや
或いはずっと ....
たあくんは
生えかけの歯が かゆくてかゆくて
何でも口に入れてもぐもぐしている
おっぱいも よく噛んで
痛がるカミさんの反応を見て
ケタケタと笑う
この年で女を泣かすのか。
空には幾世代もの飛翔した軌跡が
白く重なり
海には幾世代もの尾鰭の跡が
果てるともない波を繰り返している
そしてぼくらはときどき
幾世代もの記憶の上に立って
詩を書いていたりする
ち ....
その道は
街灯の小さな明るみの中に
白く浮かび上がっていた
様々な思いが通り過ぎていった
その白い舞台の上を
今日は
消え残る足跡がひとつ
闇の中に後ずさる
風が
粉雪と共に ....
朝 起きてくると
窓越しに
遅く咲いた百合の花があって、
君はガラス越しにそれを見ていた
こちらを振り向くこともなく
台所では
しじみが口をあけてことりと音をたてる
僕は煙草 ....
太陽が隠れ、雨が降っている。
駅から、歩いて帰る途中、
だれもいない、
公園による。
幼いころ、よく公園で待たされた。
雨が降っていても、
寒さで凍えながら、
靴の中が水で濡れても、 ....
先に子どもたちの声が消えた。流氷のひしめく冷たい海に放り出さ
れた私たちの生きようと叫ぶ声がむなしく響く。この海のなかでは
私たちは完全に無力であった。この冷たい氷の海のなかでは。
脱出を試 ....
空を
どこまでも飛んでみるということを
振り返った視線の、端のほうの夢の中
ほんの少しの香りで、漂っている
今、この辺りで
いつのまにか、梯子がなくなっている
あの木の ....
たあくんが生れてこのかた
ユキちゃんはめっきりむずかしくなりました
もう三歳 なんだけど まだ三歳
父さんとは手をつないで歩こうとしません
母さんにだっこをせがんでは
えんえん 泣いてい ....
その頃
ぼくらといえば
美しい霜のうえを
自転車で完璧な曲線を
描きながら
ふるえる独奏者としての
ふるえるりんごの夕陽のことばを
所有してました
複雑なぼくらのようなわたしたちの
....
*
文献によればビー玉沿線の原形が見いだされるのは乾永4年というから
はるか安土桃山時代まで遡る。むろん当時は鉄道の概念はなく線路など
というものは存在しないがビー玉を直やかにすべらせるた ....
ひがのぼり
ひがしずみ
またひがのぼり
そんなまいにちを
まいにちみているのに
どうしてぼくはそのとき
におびえてしまうんだろ
....
冬の木漏れ日の中で懐かしい歌を聴きました
懐かしくてももう泣けない自分がいました
それが寂しくてそっと瞳を閉じました
太陽が淡く輝いた冬の日のことです
太陽 ....
たろうを眺めるたびに
こそばゆくなる
こそばゆい
こそばゆい
こそばゆい
くうらんの何にも入っていないあそこから
押し寄せる
大群
真っ赤な
魚
のわたし
たろうを眺める ....
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