巨大な石版にきざまれた
柘榴石の星座がきしむ
西の方に5分ほど
かちりと音を立てて静止していた時が進む
一億光年の夜が流れ
廃棄物処理場に水たまりのような鏡
割れた月が赤々と燃えている ....
フセイン、昨晩おまえの夢を見た
おまえは壇上から民衆に向かって演説をしていた
それはおまえの国の言葉なので俺には聴こえなかった
サダム・フセイン、俺がおまえの夢を見ているとき
おまえは俺の ....
エムと出会ったのは、ちょうど海の標識が立つ四つ角を曲がった交差点だったと思っているのは記憶違いなのかもしれない。御影石が欲しいというので三つ拾ってあげたところまでは、覚えているのだけれども、その先は ....
卒業式
「ちょっとみんなでご飯食べて帰ろうよー」
と 近くにないので 高架下
信号が遠い 渡り切った
夜になるとワイン屋の スパゲティ屋に入る
昔、私を好きだと私が思っていた男の子が ....
シェイム
はずかしの国
強い力でこじ開けようと
国の決めたみんなの決めた民主主義の決めた
ふりをして決めた
シェイム
だからもっと恥ずかしそうに
ごめん ....
(あらあなた 見かけより ずっと吸うのね 春の夜)
彼女は胸から乳を搾り出さないのかな、と
思いながら向かいで飲んでいた女を見ていた
僕の隣 ....
ぼくらは電波に乗って。
つい揺れて悔いて後退るぼくの間違いも、変化する内側を訴えるきみの気まぐれも、あけすけで譲らない誰かの嘘も。電波に乗って、浮かんでは飛び交うそれらがもし、全て空気中にう ....
何故戦争をするのか
あたまがわるいからだ
つまり人間が、起ってほしくないことについてばかり考えているからだ
創造しなくなった
日和見は全員銃を持つ
日本男児はアジアの幼女をレイプ ....
(1)
僕は眩暈をおこし倒れゆく途中、眩暈の原因はこの部屋の絨毯の模様がどうにも見慣れない形に変わってしまったからだということに気づき、しばらく斜めになったまま考察を続けた。
(2 ....
夜
きれた煙草を買いにコンビニにいったら
店員である友人のBが
マルボロ新しいの入ったよ
とレジ打ちしながら眼の前に立つ
ぶす・でぶの大学生らしき女を ....
わたしの夜のとなりに
ことばがたくさん住んでいて
ときどきベランダで
お話をする
こどものかたちをしてる
一緒にトマトを食べたり
くっついてみたり
ゴミを片付けたり
たのしいね ....
陽が当たらないこの部屋には夜が堆積したまま、おはよう。
けして眩しくはないけれど、それは挨拶だ。
腕を下にしていたのでしびれた。下敷きが平たく硬いのは、しびれずに楽に生きていくための防 ....
三回書いて全部消した
ブラックコーヒーを持って
電車に乗りたいとおもう
ビビディバビディブー、唱えて
もたれて寝たふりしているだけ
ねえ、だまっているうちに
ぼくにたまった時間が熱を出 ....
赤いランドセルは女の子の特権よ
真っ赤な真っ赤なランドセル
その中に
金魚の群れを飼っている
小学校三年生の夏
真っ赤なランドセルをせおって歩く姿に
隣の家のえみりさんを ....
誰だろう?誰かに見られてる。おかしい。ゾクゾクする。
男だ、と思う。わたしは女だから、見ているのは、たぶん。
わたしは、うつくしくない。いわゆる美人さんではない。
わたしは男に見られることは少な ....
どこに潜んでいたのかと
思いあぐねるほどのひどい雨だ
駐車場までの短い距離に
傘を開くのも躊躇するほど
水は素直に低きを選ぶ
アスファルトの起伏は今や
世界を勝者と敗 ....
ニュー。ニュー。
新しくなることについて考える昼すこし前の柔らかい光だ。
上着のポケットにしまっていた石を垂直に投げる。加速度と重力。そう、加速度と重力がせめぎあうその瞬間の曇り空に、押し ....
こどもがえへへと笑う
かわいいね ぎゅー
なんてするけど
パパの好きな塩辛
手作りして
「お帰りなさい」とか
言うけど
ほんとは
わたしが
誰のものでもないように
....
雪の降る夜
暗い工場脇で
体を探りあったこと
覚えてる?
あなた息遣いが
荒かった
学校帰りの
暗がりで
キスをしたことも?
二人とも
熱くなったね
寒いのに
....
通勤電車でまいにち通りすぎる
田んぼの景色
あぜ道のとちゅうにちょこんとすわって
毎日欠かさずに
電車を見おくる親子の犬がいて
気になって気になって
もよりの駅で降りてみた
当てずっぽう ....
今日も良い天気
環状8号線から
ちょっと入ったところ
思ったよりも静かな
住宅地
不思議なデザインの
ブルーのマンション
窓からのぞく
子供の顔に
挨拶しようと
手を振 ....
ずっと泣いていたら
とても疲れて
座った場所から
動けなくなってしまった
世の中には
どんなにがんばっても
どうしようもないことが
あるのだと
知ったあの日
た ....
スライド、スライドしていく音階に、立ち止まるための目印はない。ギター、弦の上を滑ってゆくぼくらの、とめどないものを抑制する旅。そしてタブ、タブ譜を読むためのフレット、フレット。区切りをつけて、数を数え ....
階段を下って
いつもの場所へ出る
さあ一日の始まり
お水をコップ一杯
ごくごく
今日は雨を作ってると
上の階のひとが言うから
洗濯はやめておこう
おでかけしようか
傘を
持 ....
久しぶりに
電車に乗ったら
なんだか気になることが
たくさん
他の人が持っているものが
全然わからなくて
「それは何ですか」
と
聞きたくても
聞けないし
仕方ない ....
会いたい人に会えず
好きな人に好かれず
気違いだから居場所がないこと
気違いだから居場所があることの 勘定が出来ず
子供が転んだら すぐ泣くのをよく理解し
すぐ母親に 抱かれることを ....
とある日
父と母はSEXをする
うらぶれた
障子の影で
佳き日の御縁で
迎えられた若い女性は
しかし
戸籍に入れない
「ちゃんとした
跡継ぎが産めるかど ....
希望
キッズクラブのようなキスを
ドリフプレイのようなスカトロジーを
若く美しいイタコにキッキングして
彼女は裏声気味 鈍く吐き気を披露し
年寄りのそれはきっと高齢のリーダー格らのイタコ ....
気が遠くなるほど
恋をしてしまったとき
いや
言い換えよう
特定の
誰かに
欲情してしまったとき
わざと
自分を
隠す
何処にも
いないかのように
いないところから
....
どうしても
寂しい夜
浴びるように
飲む
打つ
買う
内容は
酒
キー
ネットショッピング
だったりする
それも買うのは
子供のおむつだったりする
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