武道館
山内緋呂子

卒業式

「ちょっとみんなでご飯食べて帰ろうよー」
と 近くにないので 高架下
信号が遠い 渡り切った
夜になるとワイン屋の スパゲティ屋に入る

昔、私を好きだと私が思っていた男の子が
「おっ、足許、本格的だね」
と 言ってくれた。
そうなんです。袴にブーツの方が歩きやすいけど、和が好きなんで、和が、
足袋と草履にしました。
先人さんはあれよね。袴にブーツなんて
いかしたこと考えるのね。
誰が考えたんだっけ
「はいからさんが通る」の人でしょ?
たまお?珠緒?
はかま満緒じゃない?
ほう。

「たばこ切らした。」という男子の前に
ミートソース ほかほか

私のスパはまだ来ないみたいだから
「熱いうちに喰え」と 出向

近くにたばこの自販機などない。
大体、このスパゲティ屋見つけるのにも
苦労したのに、そんなとこにお手軽ベンダーサービスなどないのだ。

信号遠い 信号遠い  渡り切れない

シーフードとほうれん草のスパはもう来たかな。

あら!
腰から横轢き

赤い鼻緒 ビニール草履 飛ぶ
てらてら

「人間最期は、食欲だからね」
飲み屋のおっさん

私は違う
私はそんなんじゃない






ホッキ







自由詩 武道館 Copyright 山内緋呂子 2004-04-21 12:02:09
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