回送
船田 仰
三回書いて全部消した
ブラックコーヒーを持って
電車に乗りたいとおもう
ビビディバビディブー、唱えて
もたれて寝たふりしているだけ
ねえ、だまっているうちに
ぼくにたまった時間が熱を出して
苦しくなってくるんだ
古いエレベーターにのるのも億劫になって
借りてたCDかえしに行くために
あの鍵だけ
見つけることを確約しなきゃ
ねえ
ぜんぶいつかのはなしだから
ぼくはきみからの電話でわらう
それから気をとりなおして
いつかじゃない時間の話をするんだ
そしてだんだん苦しくなってくるので
熱を出したように
咳き込んでガムをほうりあげる
シトラスミント、ブルーベリー、
寝たふりしたぼくを起こさないように
ねえ、ただ咳き込んでみるだけ
それだけのため
はなしをしてください
いたいなあ。
ほんま、いたいわ。