回送
船田 仰

三回書いて全部消した
ブラックコーヒーを持って
電車に乗りたいとおもう
ビビディバビディブー、唱えて
もたれて寝たふりしているだけ

ねえ、だまっているうちに
ぼくにたまった時間が熱を出して
苦しくなってくるんだ
古いエレベーターにのるのも億劫になって
借りてたCDかえしに行くために
あの鍵だけ
見つけることを確約しなきゃ
ねえ

ぜんぶいつかのはなしだから
ぼくはきみからの電話でわらう
それから気をとりなおして
いつかじゃない時間の話をするんだ
そしてだんだん苦しくなってくるので
熱を出したように
咳き込んでガムをほうりあげる
シトラスミント、ブルーベリー、
寝たふりしたぼくを起こさないように
ねえ、ただ咳き込んでみるだけ
それだけのため
はなしをしてください

いたいなあ。
ほんま、いたいわ。


自由詩 回送 Copyright 船田 仰 2004-04-17 19:26:28
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