八角形の小箱は
ブルーウォーターで満ちていて
覗き込めば
ぶちの鞠が回転している

それは
滑らかな哺乳類の群れだ
あるいは
みるく色の
貝類の
ひとかたまりに
溶けて


 ....
この季節になれば
川幅いっぱいに押し寄せる銀鱗
浮ぶ屋形船を押し退け
向う岸まで
命をかけ
届けようとするもの
人生の在り様
私の意思
立会川の岸辺には
あなたへ
手渡そうとした手 ....
なぜもっと
気づいてあげられなかったのだろう
この花は綺麗に咲いているのに
葉は傷ついている

なぜもっと
気づいてあげられなかったのだろう
あの空はとても青いのに
空気は汚れている
 ....
いいやもう
いいやもうって
思います
僕の言葉は
風に呑まれる

だってさあ
だってさあって
いうけれど
風が吹いたら
それでさよなら

いいやもう
いい ....
 世界中では雨が降っている
 誰も天気予報を必要としない
 毎日人々は傘を持って外出している
 飛行機なんてない世界だから誰も雲の上に出たことがない
 雲の上には神様の国が存在していると信じら ....
平日、日がな部屋に篭り、息が詰まりそうであった。 
暗い部屋の雨戸の隙間から射す一条の光に呼ばれて、
ベッドから身を起こし、外へ出る。 


( 日を浴びて、空を仰いで、息を吸い込む ) 
 ....
冬の星座を
天体望遠鏡で観察してみた
丸いレンズの中には
大きな歯磨き粉が写った
どうやら粒塩が入っているらしい
プカプカ浮いている
歯磨きはどこにも見当たらない
キャップを取ったまま
 ....
あたしは何もない女だから

あなたが枯れてしまわないように ここで祈るだけ

あたしは何もない女だから

あなたが消えてしまわないように ここでただ 笑顔を作ってる

あたしは何もない ....
如月の冬晴れの日に
暖かな日差しに誘われて
弥生の風が勇み足

まだだよ
まだだよ

如月の必死な様をよそに
卯月までもが気が急いて
弥生の肩越しに覗いてる

ま ....
風を動かしながら作ってみました バレンタイン
伝書鳩も今日だけは
ハートのチョコを配達します



サメですがあなたを食べたりしませんて
彼は頬白、僕は甚兵衛



カメレオン
実はほんのり悲しいの
わたし ....
画布一面に
描かれた椿の
色彩の深みは
凍えた空を思わせて
ひとすじの風にさえ
枝葉のさざめきが
聞こえてきそうであった
重なりあう緑葉の中に
たった一輪きりでも
咲き誇る花は
見 ....
へらへら笑って煙草吸ってりゃ
明日も御天道さんは昇るのだと
安心しきってるような顔を見せないでくれ

既に恋愛感情は消えてなくなって
そもそも最初からそんな気持ちは無いんだと
安心しきった ....
 身体が勝手に動いてキーボードを叩くんだ
 何かを書きたいという欲望
 体外に放出して動き出せ
 僕は冷たい氷の上で生きている
 氷河が爆発して砕け散っても
 僕は別に驚かない
 この氷河 ....
もう居ない人の事を考える



君は


交差点の向こう側


人込みの中ひとり


振り返って立ってる



悲しそうでもなく


笑ってるわけでもなく

 ....
風に吹かれて 緑が揺れる
春は君への 小さな便り
届きませんか この並木道
ここから一度 始め直すよ


ふわふわ綿毛 小道に降りて
忙しそうに くるくる回る


風に吹かれて 木 ....
なんてこった
そんな何気ない顔でも
あんた
生きてるんだね

あんたが笑っても
泣いても
たとえ急に怒ったって

世界は痛くも痒くもない
分かりやすく言ってやろうか ....
遠くへ、じりりりと
八条口が大きく広がって
宇宙のノドちんこを官能的に触るように
水に溶けた塩のような関係性の匂いを嗅ぎ分けて
グローバリズムが歩いているけれど、
立ち止まる方法を知らない文 ....
町はずれの図書館で
無言の空間に酔いしれて
鉛筆の音が心地よい

もうぬるくなった{注お茶=いえもん}
少し暗いライト
冷たい本
窓を眺めて
生まれる雲を見届ける

メルヘンチック ....
首都高は10kmの渋滞です
この町では思うように動けない
気を紛らわそうとラジオを捻った
今週末の天気予報

最近2箇所の天気を気にしている
それだけ僕等は離れて暮らしている
たった一週 ....
わたしは毎朝目覚めると、
あなたの前で尿をする。
下半身を突き出し、
あなたがそうしていたように、
尿をする。
わたしの尿は、
黄色かったり透明であったりす ....
水は自由だった
形はなく
その場所がその形だった
自らの意志で
動くことができなかったが
絶えずすべてが動いているので
別に苦ではなかった

暑くなれば
空に浮くこともできた
のん ....
                     2007/02/10
空部屋を求めて
新百合ヶ丘駅前に着いた

仲介手数料0.5ヶ月分
敷金1ヶ月、礼金なし
1ヶ月分の家賃は
任意と書いてある ....
 朝起きると同時に自動販売機に向かう
 どんなに寒くともアイスの缶コーヒーを買う
 朝食はろくに摂らない
 とりあえず精神薬を口に放り込む
   
 摩擦の多き日が続き
 僕の思考は混乱
 ....
郵便受けに葉書を取りに行くと
ワニが立っていて
小包は腹の中にあると言うので
両手で口を大きく開いて
上半身を口の中に入れて
ようやく取り出すことができた
小包を開けると
小さな電卓が出 ....
笑って泣いて喜んで怒って

そんなキドウアイラクが楽しかったりする

進め進めどこまでも地平線も飛び越えて

誰にもツバサがあるんだよ

落ち込んでる顔よりも

笑顔の方 ....
伊勢の南島町
漁師の友達の両親
おばさんは嫁いでから
一度も休みがない

その息子 親友 純 日本人 世界中を回って
ハワイにたどり着いた波乗り くらげに襲われて
 ....
久しぶりの母からのメールは
「もうおとなりのうちの庭に梅が咲いたよ」だった
慣れぬメールをポツポツとうつ母の姿が浮かぶ
娘が梅の花に興味がないのは知っているはずなのに
伝えずにいられなかったの ....
悲しくなって遠吠えすると
風に乗って
色んな場所から返事を貰った

風が生まれるならそれは掌からだ
水面に翳すと波紋が囁き 
耳を澄ませばラピスラズリが唄う
冷たい指先で声を拾って
廃 ....
ミランダ やさしい亜麻色の髪
青い瞳で微笑みかける
ボッティチェリの絵から抜け出た天使
裸足で草原を歩くのが似合う


ミランダ 白鳥の細い首筋
もうすぐ居なくなると告げた
はかなげな ....
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