たとえば少年の溜息を
たとえば少女の独白を
空は拾いあげるでしょう
空にはみんなの星がある
たとえば背広の焼酎を
たとえば情婦の香水を
空は拾いあげるでしょう
空には ....
ねぇ、アリス
貴女が居なくなっても
この世界は続くと思っているでしょう
ここは
たまたま落ちた夢の国
だから
たまたまなんて
二度と起きたりしないのよ
ねぇ、アリ ....
まっさらなノートを買った
でも
それだけでは
所有にならない
光のようなシャツを買った
でも
それだけでは
所有にならない
汚さなければならない
涙が出るほどに
渾身の力で ....
誰かに
みせつけるように
差し出した
蒼白い手首に残る
ためらい傷一筋
取れかかった瘡蓋
赤い傷口に
鈍く光る刃先
何故に
ためらったのか
死の際で垣間見た
希望と言う名のま ....
わすれられたぼくらのものは
いつのまにかつくったぼくらのものですらなくなって
どこかこのひろいせかいにすてられる。
そしてぼくらがほんとうにわすれたころに
それをゴミダメでみつける。
ほんと ....
うちあけることは、むつかしい
しろながすくじらが
{ルビ吼=ほ}えるとき
わたしは
ちいさく「え」と鳴く
しろつめくさが
幸せを茂らせるとき
わたしは
亡霊とかけ落ちする
....
水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏
砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜
8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
その時 私は恋をしていた
好きな彼が眼の前にいて
その無邪気な笑顔は 私の胸を締めつける
彼の打ち明け話とは 苦痛極まりないもので
そうね、彼女は女同士でも信頼できる
などと私に言わせた ....
落ちる
離れる
消える
無くなる
寂しい
寂しい
僕は一人に
なったような気がしてる
足音
足跡
辿った
君のこと
どこへ
....
嘘つきな君と
愛想笑いばかりの僕
二つを掛け合わせると何が生まれるのだろう?
友達は少ないけど親友のいる君と
友達は多いけど親友のいない僕
なんで僕達は昼休み二人で屋上にいるの ....
鉄のようなキンキンの朝には
チョークを引いてやるんだ
真っ赤なセルスイッチを押せば
エンジンに真っ赤な魂がきらめく
躍動するバルブとピストンは
こっそり胸の奥に秘めてるぜ
僕は ....
さるすべりすべり落ちるあの
寝姿の
視線に匂う
密約の
触感の
柔肌
(とは使い古された)
僅かな湿り気の
伴う
触れる
瞬間の
うなじの
過敏な
さるすべりすべり落 ....
学生服のセーターは そっと息をかけるほど 白く染まるそんな気がした
身も心も白いまま 私は15を迎えたあの日 赤い蝶がまいおりて
私のドレスを大きく濡らした 君の指はふるえたまんま
....
かげふみ かげふみ
かげ いつつ
よにんきりしか いないのに
かぞえてみると
かげ いつつ
あのこが かえってきたのかな
はしっていくかげ おいかけて
や ....
ダレにでも冗談を言える僕が
君にだけ言えない。
ダレにでも囁ける甘い言葉が
君にだけは言えない。
ダレとでもキス出来る僕が
君にだけ出来ない。
君の隣に腰掛ける事も、
手 ....
きみに いいたい
すごく いいたい
すぐに いいたい
とても いいたい
きみに あいたい
はやく あいたい
ずっと はなして
ずっと みてたい
つかれ とんでく
すごく ....
1
真っ青に透き徹る海が恋しい
真っ白に焼けた砂浜が恋しい。
湿気の多いべたべたする嫌な日
何でも有り余る肥大した無慈悲。
何故か連続して襲い来る不幸
大地は割れ火を吹く山 ....
鉛のようなキス をする
恋人の背中に
手をまわすと
その かいがら骨は
堅く いびつで
かなしくもいさましい
ゆっくりと
おもくあつい寝息に満たされてゆく
部屋で
布団にねそべり ....
君の人生を色にたとえたら
何色
僕は何気なく聞いた
君は
オレンジ色って笑って言ったね
君らしい答えで
君らしい笑顔だったよ
バラ色ってほど
いいことば ....
これは僕の若かりしころの実話です。当時はただ「運命」を感じた、だけでしたが、
最近電車の中で同僚の女の子に話したらボロボロ泣かれてしまい、困惑しました。
「そんなに悲しいことなのか」と不思議 ....
その本を手に取るたびに
同じページばかり開いていたから
今では机に置くだけで
パラパラと そこへたどり着く
私の心の傾きが
そのまま しおりになっている
真っ白な画用紙の
その真ん中に
僕は
しま
と書いた
画用紙の海で遭難した船乗りが
泳ぎ疲れないように
ある日、画用紙の海で遭難した僕は
後悔することになる
....
海のうねりのあの彼方
青空は遠のいて行く
不透明な愛別離苦
風も無い時の{ルビ泡沫=うたかた}
浮び上がる島の姿
眩しい二人の淪落
光る緑の不整脈
そこに酔い痴れてくたくた
愛 ....
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