いま
あの日、に立っている
右手をのばし
空の高さを測るきみ
手招く左手は
薄の穂の間に
見え隠れして
黄昏の
目で追う背中には
金色の翼があった
喧嘩しても
すぐに忘れ ....
幸運の女神は前髪しかないって
どんな髪型だ
女性として
いかがなものか
というのも今
詩のしっぽつかみ損ねた
また
行っちゃった
詩って
あの、その、あれなあれ、だから
タ ....
生きている限り湧き上がってくる
もう駄目だと諦めかけた思いを
励ますかのように
五体のひとつひとつが
出口を求めようとさざめきだすのを知覚し
もうひとつの確かな意思
本能だとか呼ば ....
良い国は波が攫ったあの砂が積もってできるどこか遠くに
クレパスで描いたお城に住んでいるあの日の私あのときの夢
ヒーローと悪役だけだと思ってた世の中全部白と黒だと
花の名も虫の名も全部 ....
藍色のなかを
冷えてゆく町
この色のなかに
おまえたちのカルテが
ある
形なきものから
藍色のなかを
冷えてゆく町
この色のなかに
おまえ ....
廃屋でナイフの肌を重ね合う禁じられたあの遊びをしようよ
抱きとめた夜の重みに喘いでる君の肋骨君の肋骨
Tシャツを着替えるように毎日を無造作にいきて沢山失って
名前 ....
ポケットに小さな星を隠して
君に会いに来たんだ
少しだけおっきな夢
いっしょに追いかけたいから
手をつないだまま歩いてね
君の手はちょっと細いけど
私の宝物なんだよ
指輪をあ ....
雪に閉ざされた街と
鉛に封じられた空が
防風林の向こうで
混じりあって、深藍に
レールギャップを鉄輪が踏む音
ポイントを焼く篝火の色
私は泊まる宿も決めず
真っ白な駅 ....
ひらひらと散った 夏
インディゴブルーに染まる、前に
秋へ化けた
通り雨が隠した
暗い雲に気を取られてしまった
春
もう二度と出会えないかもしれない ....
ああ、
ほら、
もう、
お前が静かに歩かないから
雑誌連峰
映画岳と
音楽山が
崩落しちゃったじゃないか
捨て猫に飼われている
私は 捨て猫に飼われている
飼われているから『捨て人』ではない
飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
八月はしづかに
葉先からくれないに燃え
白い節くれだった骨になる
そのつつましさの中に
芽吹こうとする強い意志を隠しもっている
漂流する鳥たちは
わずかの間のよすがを求め
自らの骨のゆめ ....
ちょっとだけ
前向きな自分
ちょっとだけ
頑張ってる自分
そんな自分を
好きと思える自分
ちいさなしあわせ
きみが眠っている間に、
きみをゆるめる。
きみは包帯に巻かれていて、
包帯はとてもきつく巻かれていて、
ぼくはいつもゆるめたくなる。
自分がきらいで、
自分 ....
うれしかったこと
悲しかったこと
楽しかったこと
辛かったこと
今日の箱を
棚の奥にしまい込んでくれる
夜の暗闇
どこに置いたかなんて
明日になれば
きっと
....
指切りをした後の指撫でてやる細いその身にゃ重たい約束
パチンパチン音立てて飛ぶ白い月「私」であったはずの爪たち
幼子のぬくい手引いて歩いてく明るい方へ明るい方へ
喉ふさぐ飴煮詰まった ....
息をひそめて
(葉も揺らさぬように)
焚き火が揺れる
煙の中でも煙草を吸う君は
跡形もない言葉のままで
髪先を星座に投げる
傷跡だけを残すために
遠くの峰でわき上がる
季節 ....
雑踏のあちこちで発生する
ポップな着メロ
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろとカラフルな
想いをつかまえる
まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけたみたいな
絵文字やコトバが
....
ニコニコと笑う君も 好きだけど
口とがらせて怒る君も 好きなんだよ
怒った顔も可愛いから
ついつい怒らせちゃう
僕を信じてる君も 好きだけど
僕を疑ってる君も 好きなんだよ
安 ....
雨音が
逝く夏を囁くと
水に包まれた九月
通り過ぎた喧騒は
もう暫くやって来ないだろう
踏みしめた熱い砂や
翡翠いろに泡立つ波も
日ごと冷まされて
さみ ....
気づかないうちに僕は透明になっている
形がぐにゃりと歪んで気づいたら誰かの心配そうな顔を見る
そんな毎日
いつからかあやふやになってきた
僕は本当にこの場所にたっているのか
ここでこうして君 ....
夏の午後、ペディキュア剥がしふと思う 君のジャケット 散歩道の冬
黒い髪、寄せるシーツの波に巻く 君との絆 二人の孤独
旅だとか
なんだとか
の前で
ぼくは無性にくすぐったくなる
ここは星がきれいだ
ただ、それだけでよかった
くちにする言葉なんて
くだらないことばかりで
ハンドルを切り損ねた ....
あなたはわたしのことを
とりあえず丸呑みにしてくれていた
易く消化できる部分は
笑いとともに吐き出した
易く消化できない部分は
嗚咽とともに吐き出した
おかげで
易々と呑み込むことが ....
三十一の文字では足りぬ想いなら千と連ねどなお余りあり
三十一の文字では足りぬ我が恋は億と重ねど君に届かず
三十一の文字では足りぬ恋ならば口をつぐみてただ手を伸ばさん
....
「いつも側にいるよ」と 君は言ってくれるけれど
不安は 消えることなくつきまとうんだ
突然 君が 交通事故に巻き込まれたり
細い躰が 大きな風に吹き飛ばされちゃうんじゃないかって
心配 ....
残暑 ひとしずく
ゆるゆると溶かす
慣れた絵筆が
パレットの上で色を作る
頬も胸も
灯の色にいろづけて
夕焼けに
どこへも行きたくなくて
どこにも帰りたくなくて
バイクの君の背 ....
線香花火よりもはやく落ちるナホのナミダも効かない「あいつ」は、
知らない水着の跡「誰と。」とは訊かれず裸にされる太陽の下。
シー ....
見送る後ろ姿のせつなさは
一瞬で泡となった
困り顔
つたない「すいません」
バスに乗り遅れたことを
早鐘打たせながら
感謝する
この人に乗り遅れてはいけないと
粟立たせながら
ココロ ....
積乱雲を夕刻に照らし
今日の終わりの貌
南南東に流れてゆく
身代わりの月は
時々かすみ
雲よりも遠くで
私を笑っている
またたく稲妻が呼ぶ
....
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