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ひとがひとり亡くなっているんですよ!

不謹慎なの判ってはいるんだけど
鑑識のひとが部屋に出入りしていたりするのに
向かいの高級マンションに住む奥様達はこちらの様子を窺うでもなく
普段どおり ....
空き部屋になって久しい一階奥の角部屋
いっこうに入居の気配感じられなくて
郵便受けはチラシとかで溢れている

ポスティングするのが仕事なんだろうけど
声をかけたとしても臆すること無く
ほん ....
私のおなかの上で赤鬼みたいな怖い顔をして
額の汗を拭おうともせず
力強さこそが総てと容赦ない恥骨の痛みに涙を流す




さきほどまでの赤鬼が嘘のような寝顔
横になって見つめれば不思 ....
あなたによく似たひとだった

人違いと戸惑うわたしの顔を覗き込み
どうかしたのと気遣ってくれた

これを落としたひとをずっと探しているのと
あなたの落しものを目の前に差し出した

その ....
9月だってば
9月になったんだってば

それで何かが変わるってわけじゃないけど
夏の記憶には「さよなら」したし
もう後悔なんてしないと決めたのだから

秋だってば
秋になったんだってば ....
傘はどうしたの?
由紀さんに言われはじめて気づいた

昨日買ったばかりの雨傘
ガーリーとは思いつつも華やかなレースに一目惚れしたんだよね

教室に置き忘れたのじゃ無いだけは確かなんだけど
 ....
苦手ってわけじゃないんだけど
それでもやっぱし
う〜ん
苦手ってことなのかな


毎年この時期に行われるんだよね
以前は建物の裏口に横付けされた検診車のなかで行われていたんだけど
この ....
お茶を挽く

この歳になってそんなことばの意味を知る

四畳半にも満たない小さな部屋
気まぐれなエアコンの吐き出す乾いた暖気が
枕元に畳んだ洗いざらしのタオルへ靡く

恋人にしてあげて ....
何気ない気遣いが嬉しくて
立ち去るあなたの背中を見つめてしまう

父とは違う
兄とも違う

これが初恋ってことなのかな

山吹色に姿を変えた銀杏並木が
来る春のときめきに思い巡らすよ ....
叱るつもりが
感情に身を任せ怒っている
自分の醜い姿に気づく

ひとは誰でも
誰かを叱ったり怒ったり出来ないはずなのに

自らの思いを通そうとでもするのか
声を荒げてみたり
ときは手 ....
今月なのは間違い無いのだけど
確か二十日頃だったよね

金木犀の甘い香りは
あのひとの痩せた背中を映し出してくれるようで

ひとたび心離れてしまうと
あれほどに固く結ばれていた思いまで
 ....
(一)

「ぴーちゃん、ぴーちゃん
トイレってどこなのぉ」

河原の石をひっくり返しては
何やら探していた
まーちゃんが突然立ち上がったと思ったら
おいらの元へ駆け寄ってきた

こ ....
ねえねえと肩を揺すっても
寝たふりしてたはずの
あいつは
いつの間にか深い眠りに落ちていて

久しぶりに触れ合いたかったのに
わたしのこころは
ちょびっと傷ついてしまった

それでも ....
永遠に交わらぬはずの者同士が
交わろうとする



水と油
そんな感じで



高温にまで熱せられた油は
邪険にも寄せる思いを弾き飛ばして
ふつふつと
行き場の無い怒りに震え ....
* 1

愛無しには生きられない
わたしは本気でそう思っていた


* 2

あの水着もそうなんだけど
これもなんだよね

目新しさは常に外側からやってくる
そんな時代になった ....
(1)

あなたにはじめて出逢ったのは
この廃屋が未だ駅舎として機能していた頃のこと
夏草の浸食に怯える赤錆びた鉄路と
剥がれかけた青森ねぶた祭りのポスターが一枚

この駅を訪れるひとと ....
天涯孤独だからさ…
それは、あなたの口ぐせ

帰るべき家があって
待っていてくれるひともいる

それなのにどうしてそんなことを言うのだろう

こころの空白を満たそうと
終わりの無い旅 ....
世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる

支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け

次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える

支え続ければ ....
長い間待ち望んでいた瞬間が訪れる
受付の看護士さんに案内され
病院らしい匂いのする待合室の長椅子に
わたしはひとりで腰掛けていた

手術自体はあっと言う間ですから

こころにメスを入れる ....
誰かの哀しみを拾い上げる
冷たい小糠雨に濡れ
誰かの哀しみは
つぶらな瞳でわたしを見上げたように思えて
この胸に優しく抱きかかえた

歩道橋下の暗がりで拾い上げた
誰かの哀しみは
手の ....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先

あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
「ねえ、良いだろ?」

何が良いんだかと思いつつ
とりあえず
あなたの左腕にしがみついてみる

押し付けた胸のふくらみに気づいたらしく
慌てふためく様子が可笑しくて

かまととだとか ....
ひとは指折り数える

その日の訪れを確かなものにしようと
指を折り
心に刻み込む
自らの身体に刻み込む

いつの日か死は必ず訪れることを知っている
それでも
死に往く日まで知ろうとす ....
紫色のくちびるを震わせ
熱いコーヒーで暖を取るわたしに背を向けて
あなたはストーブに薪をくべている

見覚えのあるチェック柄の毛布
あなたの匂いを胸一杯に吸い込んでみた

冬の嵐の去った ....
どうしよう、スタートまであと何分も無いよ
周りを見渡せば皆速そうな人ばかりだし
私がここにいるのって何だか場違いに思えてきた

友だちに誘われはじめてはみたけれど
誘った張本人はとっくの昔に ....
いくら落ち目のわたしだからって
何でこんな仕事しなきゃいけないのかな
数人のテレビクルーを引き連れて
どれだけ歩いてきたんだろう

雲の上を歩かされるなんて思ってもみなかった

富士山の ....
わんと鳴いたから
「ぼち」

わたしのこと
ほんとは誰も知らないはずなのに
「おはよう」
だなんて声かけて
頭をなでなでしたりする

とげぬき地蔵じゃないんだってば

雪が降って ....
ねこって可愛い
飼いねこは飼いねこらしく
ノラねこはノラねこらしい顔しているよ
やっぱし育ちなのかな
ひとに媚びるのうまい飼いねこがいて
いじらしいほどノラなねこがいる
そんなねこって
 ....
りんごを食べたら
なつかしい故郷の味がした

と言ってはみたものの
この街で生まれ
この街で育ったから
故郷らしい故郷なんてどこにも無いんだけど

でも、不思議なんだよね
ひとくちか ....
都会に住みはじめ一番変わったのは
靴が汚れなくなったこと
母に駅まで長靴持ってきてと頼んだのは
実家に帰った際の笑い話しとなったし
でこぼこ道に足をとられることもなくなった

色とりどりに ....
Rin.さんの恋月 ぴのさんおすすめリスト(113)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
お花茶屋のひと- 恋月 ぴ ...自由詩19+*10-5-24
届かないひと- 恋月 ぴ ...自由詩34+*10-5-10
さくら坂のひと- 恋月 ぴ ...自由詩33*10-2-8
流れるひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*09-9-15
めぐるひと- 恋月 ぴ ...自由詩21*09-8-31
はねるひと- 恋月 ぴ ...自由詩15+*09-6-23
モモなひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*09-6-8
飾り窓のひと- 恋月 ぴ ...自由詩17*09-2-1
はげみ- 恋月 ぴ ...自由詩19*08-11-8
いたみ- 恋月 ぴ ...自由詩36*08-10-19
十月のひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-10-13
渡り損ねたひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-9-19
考えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩25*08-8-29
乾いたひと- 恋月 ぴ ...自由詩26+*08-8-22
iなひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*08-7-17
無人駅のひと- 恋月 ぴ ...自由詩26*08-6-29
支えられるひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-6-1
支えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-5-25
待合室のひと- 恋月 ぴ ...自由詩36*08-5-3
拾い続けるひと- 恋月 ぴ ...自由詩30*08-3-15
足りないひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-3-5
断わりきれないひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-2-27
数えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-2-17
拾われたひと- 恋月 ぴ ...自由詩26*08-2-8
走るひと- 恋月 ぴ ...自由詩16*08-2-3
雲の上のひと- 恋月 ぴ ...自由詩18*08-1-16
ぽちたま- 恋月 ぴ ...自由詩21+*07-12-16
ねこのはなし- 恋月 ぴ ...自由詩30*07-12-3
りんごの詩- 恋月 ぴ ...自由詩31*07-11-28
ドアの向う側- 恋月 ぴ ...自由詩27*07-11-16

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