テストの開始のチャイムが鳴った
ぼくは集中して
問題に取り掛かった

気合が入る
これでぼくの進路が決まるのだ
このテストはぼくにとって
大きな闘い

ぼくは強かった
どんどんと問 ....
いつの頃からそうなのか
わからないけれど
物心がついた時から
ぼくの家には屋根がない

どうしてなのと
親に聞いたら
そういうものだと諭された

友達の家にも
遊びに行くお店にも
 ....
わたしが遅めの初潮を迎えたとき
母がお祝いにとお赤飯を炊いてくれた
(今の子もそんなお祝いしてもらうのかな
膨らみ始めた胸の先が痛かったりして
ちょっとだけ…おとなになった気がした
それから ....
空に連なる白い花々が
青い大河に咲き誇り
そっと揺れはじめ
新しい季節が
空から舞い降りてくる

ふうと風が吹くたびに
花はなびき
ふと手に届くのかと想う

我に返れば
その飾ら ....
おのれの呼吸が
一つの音であるということ
それは
あまりにも気づき難くて
ともすれば
日々の暮らしの意味さえも忘れてしまう


月の満ち欠けは
暦の通りに
全く正しく空に映るの ....
ああ旅はわれと列車の脈拍をクレシェンドして空へみちびく


山走る車窓をよぎる飛魚のキラリ跳ねるような木漏れ日


つり革のとなりでうかぶたんぽぽの綿毛もうみをめざしているの?


 ....
傲慢で欲張りな男がいた
金貸しをしているその男は
期限を延ばすことは絶対にしなかった
金が返って来なければ
代わりの品を取り上げた
女、子供の時もあった
男の借金の為に首を括った者もあった ....
机の上に三冊の本を並べる。 

一冊目を開くとそこは、
林の中の結核療養所。 
若いふたりは窓辺に佇み、 
夜闇に舞う粉雪をみつめていた。 

二冊目の本を開くとそこは、
森の中のらい ....
今日一日の食事を得るために
精を出して働くことは
意味のあること

今日一日の家族を養うために
無理をして働くことも
意味のあること

それらは生きてゆくための
目的なのだから

 ....
お酒を飲んだのがまずかった
初めて会った男に処女を奪われてしまった

「きれいだね」と言い
男は私を抱く

タイムマシンに乗ってしまったみたい

目を閉じると
お母さんのおなかの中に ....
Gのベクトルを探してきて
今すぐに
わたしは ここで うたをうたっている

Fのサイレン拾ってきて
今すぐに
わたしは ここで うたをうたっている


Aのワルツ踊ってみせて
 ....
一.

戦争を俺は知らないんだと はじめて思い知ったのは
キプロス島に ある朝突然逃げ帰った妻が いつか話した
占領の話 地下室の話 息を殺して
あいつが真似た マシンガンの ....
何の間違いか
朝にこの世に出てしまった
しかもよりよって
大都会の大きな駅の改札口にだ

どういう原理でなのかは
こっちにいる科学者たちでも
解明できていない

ともあれ
普段は生 ....
せっくすの意味を知ったのは、
煙草を覚えた日だった。
せっくすの女が吸っていたのを、
もらってはじめて吸った。
だけどはじめてせっくすしたのは、
その日じゃな ....
空が大きいこの町で
小さな命が生きている
一つ一つは小さいけれど
空に負けないくらい純粋で
大きな意味を持っている

空が大きいこの町で
小さな命が笑っている
一つ一つは小さいけれど
 ....
わたしが生まれ育った郷里では
要らぬものを裏山に投げた
村外れを流れる川に流した
囀る野鳥の気配に誘われて
ひとり裏山を彷徨えば
要らぬものは朽ちて土となり
夕餉の支度でも始めたのか
潜 ....
黄昏が
哀しみの手をひいて
波打ち際へと運ぶ

きらきらと
波間に揺れるものを
幾度つかまえようと
泡と消えていくそれは
知るはずのない「永遠」

時計の針を止めても
季節は巡り ....
夜になってから急に 
庭の倉庫に首を突っ込み 
懐かしい教科書を次から次へと処分して 
家の中に戻ったら 
腕中足中蚊に刺されていた 

それを見た母ちゃんは、言った。 
「あんたはつよ ....
人が集まるコンビニに
どこからともなく一匹の
野良犬がやってくる
ドアの横に礼儀正しく
来客の邪魔にならないように
座り込む

空を見上げる野良犬の
その眼はどこか悲しげで
世の中の ....
切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって

ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび

もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれてる ....
理想というものは
一人一人にあるもので
それぞれが素敵なことを想い
それはとても美しい

理想というものは
一人一人が違うから
誰かが不満を言い始めたら
それぞれがわがままを言い出し
 ....
一.

 俺の知らない赤で
 雲が光の中で
 死んでゆくんだ
 今も

 おまえの知らない青で
 波が砂の上で
 壊れてゆくよ
 ほら

 見ろよ
 カモメの親子が今
 俺 ....
そらには意地がある
意地があるので果てしない
ぼくは意地を見上げている
骨を精一杯反らせて

そらには意地の他にもいろいろある
事情は言えないけれど
複雑な家庭に育ったのだ
青くなるの ....
仕事から家に帰宅して
「ただいま」
と言ったら
「おかえり」
と昨日の自分が出てきた

相手の自分はいたって冷静
ものすごく驚いている自分だが
自分が落ち着いているので
自分も平静さ ....
かつてお前はあんなに
力強く 熱く燃える目をしていたのに
風のように自由で その歌声は若々しく
どこまでも駆けていけたのに
お前の炎はかくも色褪せ
かきならす竪琴は銀のささやき
お前は{ル ....
すべての事実を見たとしても
見ているようで何も見ていない

それは単なる感覚器官の一つが
脳に伝達したという事実に過ぎない

すべてのことを理解したとしても
理解しているようで何も理解し ....
水が割れるのです

いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです


うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です


紫色の ....
月明かりだけで暗い森を分け入って
辿りついた小さな泉

濁りのない水は鏡の様に
僕の顔を優しく映す
清らかな水は月光を反射して
柔らかくきらきらと煌めく

光の中から小さく愛らしい妖精 ....
うんと強いウイスキーを頂戴。
赤いマルボロを灰皿に擦りながら女は言った
ハイヒールに収まった小さな足
指先に輝くネイルのスパンコール

私、恋愛には興味ないのよ。
赤くなった顔で女は言った ....
額の汗を無造作に拭うあいつより
きれいに畳んだハンカチで汗を拭う
そんな男のひとに憧れてしまう
えっと…そんなひとなら
細い指先に挟んだボールペンを
くるくる器用に回したりして
わたしのこ ....
Rin.さんのおすすめリスト(1711)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
試験中は誰もが哲学者- ぽえむ君自由詩6*06-8-31
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ノクターンには逆らえない- 千波 一 ...自由詩19*06-8-30
Like_a_rolling_stone…Go!_Go!- まほし短歌14*06-8-29
地獄行きの男- ajisai自由詩3*06-8-29
「閉じられた本の中」_- 服部 剛自由詩11*06-8-29
生きてゆくために無駄なもの- ぽえむ君自由詩10*06-8-29
大人になった日- 壺内モモ ...自由詩6*06-8-29
金糸雀のうた- 藤原有絵自由詩5*06-8-29
白樺とキャラバンと夏の予定と- 水在らあ ...自由詩44*06-8-28
朝に出た幽霊- ぽえむ君自由詩10*06-8-28
「_せっくす。_」- PULL.自由詩20*06-8-28
一つ一つは小さいけれど- ぽえむ君自由詩14*06-8-28
見えない力- 恋月 ぴ ...自由詩28*06-8-28
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歩く花- 服部 剛自由詩15*06-8-27
空を見上げる野良犬は- ぽえむ君自由詩7*06-8-27
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血の匂い- 水在らあ ...自由詩34*06-8-26
事情- tonpekep自由詩10*06-8-25
扉を開けたら昨日の自分がいた- ぽえむ君自由詩11*06-8-25
オルフェの夏- 石瀬琳々自由詩12*06-8-25
見ているようで見ていない- ぽえむ君自由詩6*06-8-24
十六夜- 千波 一 ...自由詩19*06-8-24
穢れなきもの- ajisai自由詩8*06-8-24
最後の夏- 零弌自由詩2*06-8-23
ハンカチ王子はお好き?- 恋月 ぴ ...自由詩29*06-8-23

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