ゼリービーンズ
渡 ひろこ

雑踏のあちこちで発生する
ポップな着メロ
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろとカラフルな
想いをつかまえる


まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけたみたいな
絵文字やコトバが
小窓を飾る


かぎられたキャパシティ
ほんとうに伝えたいことは
きっと両手に抱えきれないほど
たくさんで


小窓を彩る可愛さだけでは
届かないもどかしさ


確かめたい心のざわめき
瞳の奥の光のゆらぎ


親指でしか語れない
真実は
まやかしの
ゼリービーンズの中に
うずもれる


街路樹の落ち葉にまぎれて
こぼれていく
着信のひとひら


ゼリービーンズの残骸が
湿りけをおびた秋風に
蹴散らされ
街角に消えてゆく



自由詩 ゼリービーンズ Copyright 渡 ひろこ 2007-09-05 20:41:47
notebook Home 戻る