すべてのおすすめ
さあ先着順でございます。
論理的に言えば、早くしないと失くなります。
せっかく理屈から昇華したばかりの
使い捨ての理念だってそうです。
やっとそれらしさを具現したばかりの
あの渇ききった文明 ....
部屋の中は蒸し暑い
狭いベランダに出て
物干し竿と手すりを利用し
布を張り
テーブルと椅子を出して
小さいおうちができました
レモンの鉢植え
ホウセンカ
ハナスベリヒユ
あと、分 ....
いもうとは
もうすっかり大人になって
今ではもう三人も子どもがいる
少女だったいもうとは
母になって
まるでロボットのように
家事をこなし続けている
リビングの隅の
古くさいカセッ ....
君がチョコの包み紙で折った鶴が
私の部屋にいて
羽を休めている
君に置いてきぼりにされて
これからどこに飛んでゆこうかと考えている
触れて離れて
覚醒の夜風は君を連れ去る
....
庭先のチューリップに
午后のお茶を
通り雨が 注いでゆく
わたしは
ふたりで おそろいにしようと 云っていた
チューリップの形の ピンクと水色の マグカップを想い出している
砺波の チ ....
りんりん、と
風鈴が鳴る
目蓋の裏に
広がる風景
日本家屋の
優しい縁側
そうめんに
氷を浮かべて
酢の入った
ところてんは
食欲を誘う
かき氷
甘い匂いと ....
あなたを打たせて取りたい
雨の降るデイゲームで
三振はいらないから
たったひとつの直球で
あなたを打たせて取りたい
できれば一回表の先頭打者がいい
雨でそれっきり
試合が終わって ....
水温は体を刺していくので、子供たちは明るく冷めて唇の色を変える
心配などないなんて嘘だけれど子供こそこの水温に耐えるのだと
平泳ぎのストロークは長く自由形を越して空をとんでいく
ばた足しかできな ....
目の前で
ひらりと舞い上がって
足跡は空高く飛んでいった
あのひとの足跡も
ひらりと舞い上がった
慌てて両手でつかまえて
背中に隠したけれど私はすべてを知った
行き ....
スーパーマーケットの入口で
マンゴウを手にした瞬間、
子宮が微かに痙攣したのを
見逃すことができなかった
雨の、せいかもしれない
外からは背すじを正すような
水しぶきが響いている
....
{引用=
しうしう、と
沈黙する。 アシッドに。
並んでいる 夜が逃げる、
山羊の、惰性と 六月。
女の乳房を噛む弦、
GとFを繰り返す
挑発 ....
左右されることのない
どんな青とも
向き合えるような雲
その雲はやがて
上下されることのない
ようにもなり
強く弱く笑ったまま
飛んでいく
そんな夢になりたかった
そう長 ....
秋のりんご園では
赤に染まったりんごが
元気にりんりん実っていて
枝は垂れ下がり
重たい実
それに丁度よい枝
葉は光をつかもうと手を伸ばした
あのままの形
その向こうに広がる
....
掃き清められた玄関先に打ち水しませんか?
天井にファンをつけても
南国特有の怠惰な湿った雰囲気は味わえない
そう、
空調で管理された夏が
置き去りにしてしまった夏もある
蝉時雨 ....
【おとなのための童話】
あなたは、スキマは好きですか。たとえば、大切な人とのスキマはどうですか。
あるところに ひとくみの 恋人どうしがおりました。
ふたりは おたがいの間に生 ....
お前の母さんだよと恐竜が言う
地下室の扉はひんやりしている
地下室の天井から縄が一本降りている
恐竜が肩を抱き、母さんに会いに行こうと言う
恐竜の皮膚はざらざらしている
....
某は 老人ホームに住む 認知症の老女である
よく虚空を見つめて笑うが その先になにがあるかは まだ教えたくない
某には 主人が居る
他の家族は 来たことが無い
某には 主人しか居ない
....
足す
僕の部屋に君を足す
僕の心に君を足す
和
気持ちが和む
いつまでも二人平和に暮らせますようにと願う
引く
気持ちが引いていく
....
雨音は冷やかな旋律を奏で
五線譜に無数に付いた蕾は
一瞬、水晶となり地表に還る
傘は持たないのだと
わらって言い切るきみの肩は
今頃震えていまいか
そう告げればまた
きみはわらって
....
{ルビ赤煉瓦=あかれんが}の橋を渡る
傘を差した婦人がうっすらと
遠ざかる面影映る
Cafeの窓
四角いテーブルの前には
文学館で偶然会った詩友が
詩について ....
かいだんを
果てまで上ることにした
上にのぼる程に
ところどころこわれたヶ所があって
下をのぞき込んだら
いっぱいなみだが落ちた
高さには差があるけれど
ひとはそれぞれ
頂を所有し ....
詩 って なんだろうね?
君がぼくに訊ねる
ぼくは 脱いだばかりの
クツ下のにおいを無心に嗅いでいて
君の問いに答えられない
君の目とぼくの目とが ゆっくり重なる
たとえば 早朝の ....
今日の風は西から湿り気と
憂鬱の温度を運んで
まだ頑ななガクアジサイの毬に
青、を少しずつ与える
日増しに色濃いぼんぼりを灯して
夏空の予感を語るのは
滲む青と翠と
傘の冷た ....
手の震えがひどい日は良く眠れない
プラスチック製の消臭スプレーを握ると
少し安定して
それでも眠れない時は
若者向けの深夜放送を疲れるまで見て
やっと僅かばかりの睡眠を得る
昼間会いに行っ ....
お前の腹が黒く染まってる
お口はきれい事
俺を利用できると思ってる
俺は怒らないと思ってなめてる
その言葉の裏にひそむトゲ
この胸にきしんで刺さる
痛い
怒るのは簡 ....
夕暮れ色の飛行船、
たくさん空に浮かんでいたけれど
空と一緒の色だったので
誰にも気付かれないままでした。
*
毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
....
久しぶりに口笛を吹いてみたら口が笛になっていた
何度言葉を発してもフィーフィーとしか音が出なかった
周りの皆は大層大袈裟に哀しんでくれていたが
涙が出ている者は一人も居ないようだった
哀しんで ....
闇の中に光を見いだせるのか
そのしなやかな旋律の調べは
木々のざわめきを語り
小川のせせらぎを歌う
繊細な指先から放たれる色彩
鼓膜を通して描 ....
取り返しのつかないことを
バラバラにすると
最後は
光が残った
次に光を
バラバラにすると
結局は
取り返しのつかないことが残った
ああそういうことか
大きく頷いてみた
....
{引用=
きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で}
きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかっ ....
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