すべてのおすすめ
わたしのなかの毒を 冷たい指先から
触れるものにすべてなすりつけた
その先にあるのは無機質な 温度で 少なくとも
モノであるぶんには ずいぶんあった
かぞくで暮らしているのに ひとりで ....
冬だ
風が頬に当たるとピリリと痛み
後に唇までピリッと割れて痛む
それが冬だ
外壁をピカピカしたライトで飾るお家は
電気代など気にしなくて良いお家だよと
独り言を言いながら肉まんで暖を取る ....
なにもいらない
きみが
そこにいれば
、と
宇宙にさまよい出た
あなたに
話しかける 初冬
桜 散り 素裸に
ミルキーブルーの空
月がでている
寂しさがポイントを求めている
誰にも解りようのない
このノホホンの国で
血を流すこともなく
地雷にとばされることもなく
ポイントを求めている
・ ....
不自由なペンが
真っ白い紙の上を暴れるとき
あなたは
見たこともない景色を見るだろう
インクを調整しやすい
それだけのひと
わたしは
それだけのひとになった
利かないものは ....
さよならの中に余っている
わずかな約束の匂いは落ちていく
雨はバチバチと乱反射して
奥歯の痛みがじんわり酸い
外界のこだまは身体より明日へ
ずっと探していたのに
もう通り過ぎる ....
『詩を書いてるんだ』
そう言って彼は私に詩を見せた『家に帰ってじっくり読むね』と言ったものの、感想が送れない
内側を見せてくれたはずが、というかだからこそ、簡単に返事ができずにいる
水族館が好きだった
おおきな魚が好きだった
わたしはまだちいさくて
背伸びして水槽に額をくっつけた
ガラスは冷たかった
わたしの目を奪う
彼の名前をわたしは知らなかった
ピラルクーが ....
ぶつけたいけど
外側のリングは光ることに疲れて、きえてしまった。
何か言いたくて
思いはぐしゃぐしゃに
胸ばかりドンドンして
眠れなくなる
湿ったバラードにはなりたくない
そんな一心 ....
正しい答えを選ばなければ
君は名前を失うだろう
詩を書こうなんていうのだから
さぞかし自信があるんだろう?
ここは平らなマムシの背骨で
掃き清められた黒い山脈
水の流れる音ばかりが
....
わたしのいない
裏庭に
あなたはたたずみ
目をふせている
どうしようもなく
空は青く
植えた梅が
白く 一輪、
いのりは光によみがえり
幽かにささやく
くちびるは繰り返す
け ....
一度きりあった
あの年の冬日和の空を
見上げた
雪深い底では私が眠っていた
春を待ちながら
かたい殻でおおった種子だった。
銀世界の予感の中心で
熱く流動する硝子のように夢を見ていた。
....
たわむれに
花の音
風の色
君のまなざし
この胸に滲むよ
からみあう
あやとりのように
指と指
結界して
たわむれに ....
乱視の月を
綺麗に見てみたいから
眼鏡をかけて
見上げた蒼い夜空
望遠鏡でさらに探る
月って
こういうものなんだ
なんだか
そこまでしてはいけない気がして
いつも乱視のままでいいやっ ....
透き通った青の天井見つめて、
寒空の下
薄いボロボロの服を着て、
その子は寝ている。
大きく目を見開いてその子は眠っている。
チェマダンの往来の真ん中で、
一人のコッチョビが眠 ....
ガモラーゼがやってきた
予言された通りやってきた
上弦の月夜霧が晴れたらやってきた
ガモラーゼがやってきた
足音が聞こえ私は飛び起きた
窓から顔を出すとガモラーゼはすぐそこだった
ニキ ....
フレデリカ、日々は
青い円筒のかたちをしている
耳栓をきつくしめて
きみのための水泳をつづける
硬質なつめたい水面にはじかれるのはよわいこころだ、よわいこころだときみが ....
mustの集団ヒステリーが
さびしい冬には 堪えるから
こたつ があったかい
西も東も今も昔も
全部忘れたいなあ
閉めきった六畳一間に身を潜めて
ほどよい温さに
とろんと 分からなくなっ ....
あなたがあたしの
ほっぺたかくちびるを
だまってさわるのは合図
あなたがあたしの
ふくらみやへこみを
さすさすするのは合図
あなたがあたしの
顔のとても近くで
ねたふりをするの ....
きれいなお化粧を落として
むらさき色の涙が
純白のはなびらを呪うように
ぽつぽつと流れていく
「檸檬をかじったり
桃を剥いたりするような
みずみずしさはだめなの
くちびるにハチミ ....
もっと話を聞かせてくれませんか
そうしたら、
あたしは、言葉のあいまに置かれた
なだらかな読点【、】に背をもたせ、
気まぐれに口をつぐむあなたの 数知れぬ句点【。】の
小さなその ....
ここには点灯した
叫びと蛍が浮遊しているから
指をちぎる
さわりませんように
あなたにこの文字を見られないように
舌を噛んだまま
呼ぶ
から
そうですよね、
身を破り散りたいほど ....
風になって
笛の音階をたどる
わた雲を飛ばしたり
しゃぼん玉を吹いたり
ストローは麦わら
吸いこめば体の芯が暖色に染まる
祖母のジュース
渋柿も老いた手の魔術によって
とろとろに熟成さ ....
石
石の
私を
知っている
この道中を 転がるねむりにつくまで
一瞬の銀河を
青いトンボ玉の影は透けて
石と添い寝をする。こんにちは、
樹木の芽の
吹き出る
空気が澄み
口を ....
あまりにもどこも真っ白な
いちめんの雪
道のない道をあなたとふたりで歩いた
あめゆじゅとてちてけんじゃ…
あなたは呪文のようにつぶやきながら
私がすくった雪のかたまりを口に入れた
もしもミ ....
妻が ショートステイで病院に行って三日目
風呂上がりにひとり ビールをのみながら
幼なじみの山に沈もうとしている夕陽を
パンジーやビオラやパキラやテーブルヤシたちと一緒に眺めている
窓 ....
夏のそらばかりが 身をせめる
南風の吠ゆる 島の岬に
母のかたみの 赤い櫛で
髪を梳く
罪を乞うでなく
罰をあがなう 身にもあらず
まばゆく うれしそうに
紺碧色に待つ 海 ....
その後のこの期
夢のなかで
私はまだ
逃げも隠れも
している
この期に
およんで
い ....
いつだって
哀しみからもれてくるだろう
一輪のやわらぎを
あたえたくて
それがどんなものか言えなくて
わたしのくちびるは
ことばをなくしていても
温度はあって
空から
ひかりがこ ....
討論番組風で
保守的で知性と安定感のあるキャスターの男女が
「ではここでVTRをご覧ください」
大学生ぐらいの恋人同士が
こたつに向かい合い座っているようで
しかし実はコタツの天板に見えたの ....
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