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一万匹の野良猫たち―。私はそれを
誰もいない地下トンネルのなかで見た。
小さい火花がパチッ、と弾けるのを
「―死ぬまで身体をこすり付け合うのさ。」
イギリス人の学者の亡霊が囁いた。
まった ....
昨日まで司法書士じゃなかった
から バズーカの砲口が黄色く見えない
同じ毛モジャのバスタオルをかぶせられても
胸が張らないけど
空気圧でブルブルと 振るえてる自分の頬が
どんどん擦れるよ ....
もう二本の指はたらりと垂れ下がっていて
それでも狂気は青々と垂れ流されている
よって、
手元には一本のペンと
鳩は羽をばたつかせるであろう
明日は晴れだ
あらゆる所在なら此処にある ....
水底は、くぼませたぼくの手の平と同じ形
あるいは蜃気楼かもしれないそこに
フラミンゴはいない。一匹も。
もう、すでに?
ぼくの手の平には羽根がある。
悲しみや憎しみは引き伸ばされ
やがてhorizonとなり
緩和された振りをして張り付いていた
線の上は殺意であった
線の下は深く、愛であった
二度と巡ることのないよう
horizo ....
ホームに慣れすぎた鳩
繋いだ手は確かにふたりだけど
人間でいえばひとりぶんだ
音に成ることを知らず逝かれた言葉は
喉の奥で熱くなったのち
換気扇から抜けていった
せめて、と思い私は
吸い ....
見え透いたウソと灰白色のビル
冬の空の黒さとそのシガレットはどんな味がしましたか?
チョコはやっぱりビターだと思った
ふたつめからみっつめの星をカウントすればひとつめからふたつめへは
忘れるこ ....
月が空ける
晴れは降りつづけることを止めない
通りに人が生え始める
頭痛は相変わらず頭痛のままだ
地球揺籃期はこのまま終わる素振りさえ見せない
オレ、 ....
見える?
あの一等星
私はここにいる
マフラーは優しく私を愛撫したし
たくさんの人たちの祈りは闇夜に染み込むよにしてよく似合った
言葉は研ぎ澄まされてやがて空になるという迷信は、未だ ....
いつか
笑い飛ばせる日のために
一枚の部屋に絵を描いている
暖かい一日の始まりと終わり
そこに溶けていく人たちのように
降り積もる行き止まりに
立ちすくむ人を見ている
その背 ....
それら
捨てなきゃいけない
ときがある
大事にして
自分を
上手に騙して
どうして
こんなところに
わたしの足が
わからないんだ
振り返っちゃいけない
もう泣くな ....
どっちに進めばいいか分からないからって
いつまでも泣いてたって
結局笑ってる奴らと同じように年を食うんだ
ただ笑ってるのが許せないなら
自分の幸せの形探せばいい
泣いてなんかいないでさ
....
過去は更新され
現在は蓄積されてゆき
記憶に残るのは
ただあなただけの笑い声
ただわたしだけの溜息
薬缶はストープの上で
いつまでもかちかちとnaっている
ストーブの灯は足されな ....
(伸ばされていたのは僕らではなく、日の光だよ)
そう、
つぶやいていたのは誰の横顔だっただろう
同じ服装の顔と顔とが集まっていく、丸顔の時計の下は
いつも降り積もるばかりだった
きょうし ....
幹さん、
どうでもいいですけど
高円寺のキャバクラで詩人っていう名刺配りまくるのはやめて下さいよ。
大将二号店で2本目のつくねをほおばりながらキムがつっけんどんに言い放った
どうでもいいけどキ ....
わたしの生きた中で
いちばん会わなければよかったと思うひともあなたで
わたしの生きる中で
いちばん会えてよかったひとはあなたで ....
俺、台所で素うどん
このダシがね、またなんとも
粉末なんだが結構乙ですよ
こないだなんかはちょっと濃いめに作ったりしてね
塩分だけで生きてるわけじゃないから辛いのは良くないのよね
蝿に語る俺論
うどん ....
降りるんだ
地上へ
見せかけじゃなく
水面下へ
沈むなら羽田沖
沈めるだけ
沈んで
10月は過ぎ
11月は過ぎ
手には
しなびた無花果
怒りが必要だ
チダマ ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた
「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
空が飛んでいる
空が飛んでいるので全ての羽が浮上する
見つめることはいつだって透きとおる
見下ろせば ものの在りかはかなしい
重力の堆積が歴史で出来ているなら
ぼくらの言葉は足跡のように ....
そこにあるものを
なにも無いところから
持ってくるのは
大変なことだ
救いがあるとしたら
何回でも何回でも
繰り返し探しまわり
なにもないことを
認識することだ
なにも無 ....
手すり
よく冷えているので
天からの雪
形のままに
地面
よく冷えているので
やがては雪
透き通った氷の柱に
どこに
人語を介する
なにが
人語を解する
中谷ダイア ....
22歳の誕生日から3日経ち
私は生理になった
さあ、とお腹の中の月時計が私に言う
いつか生まれてくる赤ちゃんのために
お布団を新しいのにかえましょうね
初潮を迎えてから
ち ....
その日
チカテツが「おかわり」と言ったので
駅員さんはバケツいっぱいの鬱憤をチカテツに与えた
そうやって今日が特別だってことを体に教える
チカテツは震えながらそれを
お腹いっぱい食べた
....
一
昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた
「 おいしいかい?
結婚してみて、どうよ・・・? 」
と買ってきたコンビ ....
おらはやらないかんことがあるけん先に帰るで
気にするこたないが
先に帰るばあよえ
待たんでええわえ
もう帰ってこんかもしれんし
また会いとなったら来るけん
心配すなや
(あたまのなかで)
お前が工 ....
眠らない詩人は、そこにいる、誰もが眠っている間に
手にしていたスプレー缶を空にした。
彼、彼女が去った後、無数に立ち並ぶ
壁という壁は痙攣していた。
何故って、シンナーの匂いのせいじゃない。
....
一段と冷え込む夜こそは
君のその名に相応しい
張りつめた空気
静かに降り注ぐ光に
映し出される{ルビ現実=オモテ}
打ち放った声
遙か彼方に吸い込まれ
暗く広がる{ルビ現実=ウラ ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった
呑んだくれた ....
シュレーディンガーの仔猫たちは
母を捜して彷徨っていた、
小雪ふる池のほとり、
量子の石榴をもとめる彼女は、
仔猫たちをみつけるたび貪った、
死ね、
さもなくば生きろ。
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