すべてのおすすめ
やはり雨は
雨を招んでしまった
風の無能
鏡の前の
左脚の羽化
鳥が降り
見えなくなる
くりかえし降り
陰を ふくらませる
鏡の前で倍になり
曇 ....
いつから眠っていたのだろう
喉が渇いて目が覚めた
タイマーの切れた扇風機が
気難しそうに押し黙っている
枕にしていた右腕に
畳の跡と焼けつく痺れ
汗ばんだシャツの裾を振る
庭木の蔭か ....
わたしはよくつまづいてしまうから
玄関にある靴は
どれもこれもつま先がはげていたりする
つま先のはげた靴
可愛い靴なのに残念
そのくせして
きっちゃんを待っている時は
つま先 ....
すずめたちがやって来て
シーツに吹きだまる夜を食べていく
身体があんまりかるいのに
心ばかり重たくてやりようがない
びしょびしょにつかれるまで身体をつかいあって
腕もあがらないで笑っ ....
アメリカにはバニラスカイって空があるらしい。
姪と散歩していたら遭遇した。
「あんなにおいしそうな空(絶句)」
というのでスターバックスでバニラクリームフラペチーノを食べた。
家に帰って妻 ....
NEKOも夢をみるのかしら?
幼いころからの 疑問
死ぬまでに解きたい 謎
腹這いになって本を読んでいると
いつの間にか 背中にのって まるまっている
夜、寝るころを ....
夜の闇があるからお星様は輝けるのよ、
誰かがつぶやいた
それなら、わたしたち障碍者がいるから
健常者の輝ける世の中なのであろう、
そう捉えた
決して解ることのないこの世界
わたした ....
無能と言われ慣れ
居場所など無いと言われ慣れた
アルバイトは首になり
とうとう愛する者など現れない
俺の王国がなくなってしまった
人達が二つに割れるのを見た
そしてその両方が俺を追い出した ....
塾なんて無かった頃
塾なんて行く人もいなかった頃
赤い鐘が鳴っても誰も帰らない
誰も誰も
年上のあたしとY君はいつも考えてる
どうやればみんなが連れてくる
三才や幼稚園 ....
太平洋戦争のあと
海底に眠り続ける
たくさんの機雷と
ともに朽ち果てた
駆逐艦は大海のひとかけらとなって
ゆったりと深く沈んでいる
真夜中の月は
もはや永遠に
届かない光となっている
....
皮膚はあると明言することが難しい
ほら、例えば口はただの洞穴で、洞穴はあって、それは口で、でもその空間には何もない、みたいに、皮膚の中身も洞穴で、その洞穴のことを皮膚と呼んでいるのかもって
思 ....
アミマは十三歳の少女
人口百人足らずの
山奥の村に住んでいる
学校には行かず
というか学校はなく
日中は家の仕事を手伝ったり
弟や妹の面倒を見て過ごす
楽しみといえば
時折ラマの背に乗 ....
昼過ぎに起きて洗濯物を廻す
ベランダに出てみればまるで春みたいにいい天気じゃないか
家にいるのはもったいない
ネットで息子の耳鼻科を検索する
下敷きを無くしたらしいから買いに行ってやらなけ ....
カンカン照りの夏の日に
黒いペンキが捲れてた
露出した鉄の赤錆を
ぼんやり見つめる
ころがり落ちた
階段の下から
目覚ましが
遠く鳴る
リリリ
リン
リ
すでに
取り返しが ....
「ハイジのおでこはアールデコ」
塾に行く子供たち 電車を待ち
丸い おせなで ゲームする
一番線に 白ヤギが紛れ込んでいますご注意ください
満員電車の中で みんな気付きません
二番線に ....
白いタイルに
赤いハイヒール
君はそれを眺めて
気持ち悪いね、と笑う
靄に伸びる拳銃を
差し出されて
殺してしまった花を
覚えている人はいない
君は僕を睨んだ
嘔吐した ....
黒ブチの
仔猫の彼女がいなくなって一週間
去勢手術を受けるために入院をし
退院した翌日に
ベランダの3階から飛び降りて以来
姿を消した仔猫
キッチンのコンロのある
隅っこ ....
遅番の勤務が終わると、すっかり夜の真ん中だ
人も車も絶えた県道
遠くまで並んだ青信号
夜取り残した原色の電光看板
この店の窓はいつも結露でいっぱいだ
入り口を入って、半島型のカウンターを ....
いつもの帰り道
自転車で
がたんごとん
振動が
おなかにひびく
おかしいな
からだも
だるくって
微熱もあるよ
おかしいな
まるで
おなかのなかが
空洞みたい
い ....
僕さ
左心房がなくて
血が流れなくて
目からダダ漏れなんだ
涙が出るほど
不完全な君は素敵さ
笑う姿より
泣いてる姿が好きだ
赤い涙を絵に描いたのは
流れる涙を飲み干 ....
出逢い 別れ 過ち
取り戻せぬ決断 巻き戻せぬ選択
嘆くことが取り柄のような鳥たち
羽ばたくことを忘れて 陽光が照り返す水面を見つめる
車窓から零れていく
美しさを堪え ....
炊飯ジャーのアラームが鳴る
私は手を洗う
冷蔵庫から卵を取り出し
賞味期限を確認
茶碗のふちとかちあわせ
割れない程度にヒビを入れる
握りつぶしてしまわぬように
卵を割り茶碗の中へ
菜 ....
朝には鳥で
夜には魚
難しい少女のように
表情が変わるのだ
泣き顔は泣き笑いに
(そこから歴史)
笑顔は笑い泣きに
(そこから歌詞)
可能性は不可能性に
(そこから川が)
....
虫と花を行き来する羽
雪に重なることなく降りつづき
ひとりの食卓に積もりゆく
線の笑みに埋もれる部屋
まばたきのはざまの火と光
冬からあふれる冬の息
五人の ....
それは鉛の重力で
垂直に私を引っ張るので
テグスに結び付けられた浮きのように
私は
水面に立っている
もうふわふわも
ぐらぐらもしない
磁針のように空を指し
己を標として生きるのだ ....
薄い雲が空を覆う秋。
少女のそれが頭を覆う秋。
イヤホンの内側から耳を攻めてくる。
猫よりも愛らしい声が聞こえたからつい詰め寄る。
風に背中を押され勇気をもらい対価を渡す。
山は染ま ....
おはよう、と世界に挨拶をする
夜を朝が塗り替えている隙に
おはよう、と
返事が無いのは忙しいから
コンクリートを蹴り出す
未明の刹那
口角を歪ませる
少年は裸足のまま
ぶち撒けた
そ ....
夜の公園を歩く二人は
茂みのむこうに一匹の
アリクイがうろついているのを見つけた
なぜ、こんなところに
動物園から抜け出したのか
それともどこかで飼っていたのか
あるいは皆が知らないだけで ....
さよならもうここに残されたいかなるものも認識しない
目に見えるのは常に更地だった
至る所に巡らされた有刺鉄線を触るので
手のひらはいつも傷ついていた
傷が膿むなどという事は
考えつきもし ....
蝿よ
そんなに酒が飲みたかったのか
その小さな体で
グラスの焼酎を
飲めるとでも思ったのか
かつて君が人間だった頃のように
蝿よ
君はもう人間ではなかった
そんなこ ....
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