夜へ 白へ
木立 悟






曇の上の雨
陽が照らす鏡の背
朝の径に降るかけら
午後の径をすぎるひとひら


空の海が
黝く干いてゆく
まばたきのなかの無数の月
夜が 流れ込んでくる


戸口から戸口へ
影が影を届け
やがてひとつひとつが小さな
冷たいかがやきとなってゆく


淡い光の円が重なり
再び雪が来ることを告げ
黄色が見えない鳥は歩き
霧の径に消えてゆく


冷えてゆく音 転がる音
互いを突つき合う音が降り
窓の内は騒がしく静かに
粉の波に満たされてゆく


こぼれるものが
こぼれつづけるものにこぼれ
大きな流れを変えていき
とどまるものも とどまらぬものも
しずくの底の星をめぐる



















自由詩 夜へ 白へ Copyright 木立 悟 2016-03-11 10:11:49
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