ロンドン橋ならば落っこちない?
もっぷ

とにかく雨が酷いし午前一時五十分 眠ると
かそんな気持ちになんてとてもなれない す
ぐそこの中川が氾濫する氾濫する レベル4
だと携帯は鳴りやまない(気がするほど怖い)
そんな夏の終わりのこと わたしは思い出し
ていた米国のこと 父の転勤で初めて行った
外国 そこで知ったこと わたし=ジャップ

三月生まれは四月に、九月始まりの国でもう
一度小学三年のクラスに席を与えられ 知ら
なくても話せなくても自分の名前くらいは書
けたからわたしは不思議だった わたしの大
文字のAから始まる語が特別に目立つ歌を毎
朝こどもも先生も胸に手をあて歌うのだもち
ろんわたしも歌った胸に手をあて謳ったのだ

投石を受けた衝撃だった理由が解らなかった
ただがっこうからかえるとちゅうで石があっ
ちこっちからとんできたじゃっぷとくりかえ
しいわれながらさいわいおおきなけがはしな
かったけれどこわかったこわかったこわかっ
た怖かったいつも怖いお母さんと同じくらい
にかあるいはもっと怖い現存を初めて知った

とにかく…いや、雨脚は少し優しくなってき
ている もう眠ろうかな… こういう時が特
に一人暮らしには応える しかも何年住もう
と新入りは新入り、よそ者のままだったから
生まれたのは
産まれたのは日赤です、渋谷の広尾の
そこのベッドですだから
故郷ふるさとも身寄りも無いわたしには
東京しかないんです
東京しかわからないし
東京にしか結局馴染めない
この国では、と限定して言っています
ほんとうはわたしは西に逃げたい
人種の坩堝ロンドンで とても親しい友人が
心底案じてくれています 会話は英語だけど
厳しい現実もある程度は だけど怖いのよ!



自由詩 ロンドン橋ならば落っこちない? Copyright もっぷ 2015-12-04 15:54:08
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