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ことばに小さなドリルで穴を開けていく。覗くとことばの裏側が見えるので試しにやってみて欲しい。小学生や中学生の夏休みの自主課題に合っているかもしれない。ことばを選ぶのが難しかったら、分厚い辞 ....
宙に 浮かんだまま 漂っている
意識
が
ふらふら
ふわふわ
流れ続ける時のなか
痛みながら呻きながら
肉と繋がり
引き留められ
わたしの在り処を
探してい ....
朝を折りたたみ
昼を折りたたみ
犬を折りたたみ
猫を折りたたみ
自宅を折りたたみ
通りを折りたたみ
横断歩道を折りたたみ
バイパスを折りたたみ
街を折りたたみ
都市を折りたたみ
飛 ....
太陽がまだ昇りきらない
鈍い光の中
近所の大きな公園を散歩する
芝生は朝露に濡れて
紫陽花はしとやかに
私はひもを引っ張るように
快楽と安寧を手繰り寄せる
公園にあるものはすべて ....
雪は音を吸い
空間は静寂する
踏まれた雪は含んでいた音を漏らし
ぐもっ ぐもっ ぐもっ
と音をたてる
雪は彩度を吸い
空は鈍色になる
彩度を吸った雪は重くなり
空から落ち
地を白 ....
地球のどこか遠くから 一瞬で
青空を飛び 星空を越え
風を切り 雲の中を通り
やがて銅線や 光ファイバーにのり
やってくる
HLSの 神秘的な宝石たちは
スクリプトで集められ 美 ....
灰色の街に
今日もじゃぶじゃぶ降りしきる
情報洪水の雨達
駅のホームに立つ人々は
小さな液晶画面
の上に
人さし指を滑らせる
ひとり…ふたり…と
人がロボット化してゆく様を
....
ウジ虫を高い所に置くと
簡単に落ちて来る
ニラレバ炒めの香りにやられて
簡単に落ちて来る
トレーナーのミッキーに
ウジ虫を鍛えさせた
ウジ虫の多種類の筋肉を
広く短く鍛えさせた
ヒキガ ....
無数にドライバーを突き刺され
美しきあなたの肉体よ
鋼鉄の逞しき肉体よ
それが端から崩されていく
何百人もの工員があなたの上を這って
いやらしく群がっては蠢いて
そしてみずみずしい肉体を剥 ....
繰り返される日々の中で
身も心もすり減ってゆく
紫陽花が咲く坂道を駆け下りる
雨色の風が頬を撫でる
ここまで生きてきた
どこまで行くのか
わからぬまま
歩く
蛍火はなつかしく揺 ....
ガラス窓の向こうで
風が吹いている
木々の梢は風になびき
空を掃いて 葉が{ルビ細々=こまごま}と翻る
くろく空裂く鳥の群れか
とおい湖の 波間の影かの ごとく
音は聞こえない
あ ....
傾斜を下り刺し殺された命たち
多くの者は海の最果てで
多くの者は自明な住宅で
この土地で地を這い工事していると
命たちが呼吸に紛れ込んでくる
もはや死んだ命たちは生活の粒子
我々の ....
火の消えたタバコを自分の左手に擦り付けた
それがせめてもの断罪だった
罪と知らず犯す罪は
知らずの内に他人の罪になった
償うことも
学ぶこともせず大人になった
誰にも知られず犯す罪 ....
両手を広げてみる
手の平じゃない
腕を
肩を張って
手を肩の高さまで上げて
腕を水平に真っ直ぐに伸ばして
手の平は地面に向けて
身体全体で十の字になって
真っ直ぐに立ってみる
特に目 ....
日射しにぬるむ木蔭に焼かれた
横たわるしろい肌
くるぶしを舐める犬の舌のざらつき
渇いていく唾液とこぼれる光は
すこやかにまざるばかりで手放しかたを忘れながら
あたまをなぜてやる
季節 ....
とっくに終わったよと
あきれ顔で南の国に言われそうだが
待ちに待った開花だ
長かった冬に別れを告げる合図だ
こんにちは
思い出を咲かせる
友よ
そとのあかるさは
風のように部屋を訪れる
異国の布の隙間からのエトランゼ
誘うように歌いながら
もう春のワルツでなく
初夏、その一歩だけ手前の
ひと時だけの静けさへの{ルビ招待状=いざ ....
さて今日も花が咲き
往来はあざやかな灰色
卵を割る指に思いが絡まって
( )
シャツを洗い シーツを洗い くつ下を洗い
はがれ落ちる自意識をかき集めてくり返し洗い
....
脇目も振らずに走ってきたよ
余所見をしている余裕はなかった
家と会社を往復するだけの毎日
ケースに入れたままのギター
若者の音楽を受け付けなくなって
大好きな歌も歌えなくなっていた
....
実は二十七歳とか三十前とかに死ぬんだと思ってたんだ
別に悪魔と契約した訳でも無いけれど
気付けばおめおめと生き延びてる事に気付いたんだ
別にそれが恥の多い生涯でも無いけど
さっさと和了って死に ....
内なる外が押し寄せて来る
外なる内が押し寄せて来る
誰もいない、繋がりはない
白い空間奥まる深夜
圧迫され窒息する
深みへ奈落へ落ちてゆく
(揺れ震える肉の魂)
ぬらりと赤い舌に呑 ....
音楽は子供組が舐める風邪シロップみたいなものなんだって
遠い昔にいた偉い人がそう言ったんだって
いつかのあなたがぶっきらぼうに教えてくれた
わたしは中古の楽器を担ぐあなたについてまわ ....
大きな箱だった
膝を抱えてすっぽり隠れられるほど
そんな立方体を展開図にして
悲しみの正体や理由
いちいち解説してくれるけど
「まったくなぐさめにならない」 そう言うと
《なぐさ ....
水音のなかに
時間が並ぶ
どこを切っても
倒れゆくもの
耳元の螺子
洞の夢
すぎるかたちの声たちが
すれちがうたびに語りあう
勝者も無く花冠は増え
言 ....
そうや、おらんかったね
自分以外の人がいる居間は暖かかった
冷えたこたつの中で丸く、眠るその影に小さく蹴りを入れても
明日もそうだろうね、言い訳することもないよ
灯油を乗せた車の音楽が ....
照るもる
本懐セルカ試合
もうてんの
ぱっついちのちの
本懐セルカ試合
らーめん
チャーハン
餃子の安穏
経て経て
のいちのやりとり
それがにちにち
じゅうねん
にじゅうねん
....
懐で古銭をじゃりじゃりさせながら
暗い大通りを歩いていく
多くの脇道が横に伸びていて
かつてここを一緒に歩いた人が
上から見ると「馬」の字になっている
と教えてくれた町
何百年も前に大火の ....
月見草
銀に揺れている
透明な水流になびき
引き寄せられ
傷んだ身体
俺は引きずっていく
引きずられていく
寒風吹き荒ぶなか
青、蒼、碧
陽光余りに眩しいこの真昼
俺の ....
外に臼がほしてありました
もうすぐもちつきだからです
家族はそれぞれに白い息をはいて
うったり
うたれたり
白くて柔らかいもちを
家族の手でまるめて
少しいびつなそれは
部屋に飾ら ....
彼が世界を美しいと思えるようになるのに二十年かかった。
冬の風呂の暖かさを知るのに、夏の風の心地よさを知るのに、
青空の透明さを知るのに、草原の輝きを知るのに、二十年かかった。
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