つつまれる
soft_machine


まゆとまゆを繋いだたおやかな峰に
みえるいくつかの不均衡な螺旋機構
きみとあなたの感情とことばの辺縁に
ひそむ約束の不特定で不埒な内省模様は
燃えつきそうなとおい炎のような

自前の足の裏に世界をかんじるか
ぼくとわたしの契約にきざす精神離間か
はねが萎えたちょうちょもあとすこし遊べる庭で
きみは誰に知られるともなく
はみ出た腸の発光する内壁にひろがる

眠りと肉化したドアをノックによってやぶられる/恐ろしいのは地上げか取り立てか電気か水道か瓦斯の供給停止勧告か入国管理の訪問群/こいつを寝床と一体化して確保/幾条も幾条もあまだれが窓に颯々と風が林に無口な星が真空に無慈悲な時がこころに流れるさまを観察し/ねがい無数の斬近線をさかのぼるルート発見したなら手足をばたつかせ侵入のこころみを逸る/宿酔いでさらに船酔いしたような/無重量の不快に着底するどこまで沈みこむべきか/DJが絶叫したネカマは妊娠報告しちゃ駄目絶対/変色したおしりの皮膚をめくってなめしてかさねてしきつめた保存良好な東屋から/泥靴でホップステップクラッシュ/拷問技術学校卒で夏は低体温という箱男の聖地あこがれ安部公房の墓地

こうして朝をむかえる夢は
驢馬にのせられた身重の王女が
かつて口に運んだ料理にむけたみせかけの笑顔だ
ここはいまだ孤独につつみこまれる
おとこでなければ仕事もできない道化も
電波に操られひとり火星をはしるラジコンカーも
みな孤独につつまれる
老夫が飽くことなく投稿する恋人募集広告
絶海にあてどなくただよう瓶詰め救難文
何度か息をふきかえしそうな尸のようだ
牡丹式ボタンがちぎれ散りなべる
エヴァンスのソロのようで
もえつきた炎のような
みんな
孤独につつまれる







自由詩 つつまれる Copyright soft_machine 2016-08-24 20:02:09
notebook Home 戻る