雨が降る日曜日の午後
雨宿りをした金木犀の木の下で
電線に連なって揺れる雫を見ていた
耐えるように震えながら
世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
君はその小 ....
来年
生活が楽になったら
猫を養子にしよう
そしたらもう少し
らしいままに居られる気がするよ
十万円貯金箱開けたら
新しい自転車も買ってあげる
今年でさよなら
さよなら ....
きみといくなら奈良
ぼくとなら恐くない鹿
奈良の鹿
奈良ならではの鹿
奈良でしか見れない鹿
柵越しに鹿
見てることしか
できなかったならなおさら
触 ....
満天の星の下で
優雅に飛び交う蛍たち
手のひらに降りてきた光
そっと抱きしめる
静と動!
遠と近!
悠久と一瞬!
異質の小さな光たちは
それでも絶妙のコラボレーションで
....
どす黒く熟れたチェリーを
貴方の骨ばった指先が摘む
おそらく果実は
その柔らかな唇で潰され
尖らせた舌先で弄ばれて
種を抜かれて咀嚼されるのだろう
貴方に取り入れられてゆく
チェリー ....
ごらんよ。あれはスイカズラだよ。
雪の下でいまも青い あの葉は
あれはスイカズラだよ。
忍冬とも言うんだよ。あれはスイカズラ
雪の下でも青い葉だよ
あれはスイカズラだよ。
夏の初め ....
わたしの恋人は
痩せていて
あまり食べないの
お酒と
煙草と
お刺身が好き
映画と
音楽と
こどもと
カメが好き
たぶん
わたしのことも好き
窓ガラスに笑う月
ことばを司る神経が
いかれちまったんだ
きれい としか
ぼくは言わない
それでいい と
母親は笑った
やがて、それはゆっくりと始まる
誰も気付かない視点の高さ
から、夜は上昇していく
もう僕らは沈み込んでいる歩幅
もがくよりも深く落ち着いたリズム
呼吸はあちこちで燻っていて
平面に広げ ....
ぼくはずっとロバと一緒にくらしていました
その子は優しい目をしていて
いつもぼくのおなかに鼻をくっつけて眠るのでした
ぼくらは仲良しでした
ぼくがさびしいときロバは
....
その日 二人の間にあったのは
「愛」ではなく
「コーヒー」だった
しかしすでに冷めきっているという点では同じだ
彼が口付けたのは
「私」ではなく
「コーヒーカップ」だった
どんな味か ....
ばかやろう!。あほたれぃ!。
てめえがいなくなるはつらい。
てめえがいなくなるはつらいんだよ!。
だけどこいつは、てめえが考えて、てめえが決めたこと。
ばかやろう!。わかったよ ....
綺麗な声に目が覚めた
立ち上がって海岸線を歩く
波音と風音の穏やかに響く砂浜に
僕は桜貝を見つけた
手に取るとひんやりと冷たくて
薄桃色が微かに温かかった
温めるためか 温まるためか
そ ....
かかしの手に 鳥が一羽
つかもうとも、よけようともせず
ただ風に吹かれるかかし
おお!そうか・・・
おまえも私なのだな
かかしは鳥が止まっていることに興味がない
かかしは鳥に笑いか ....
「寒い」
と君は呟く
君に街外れで告白したのは
怖かったから
君はそんなふうに
すぐ
逃げるから
「寒い」
と君は呟く
僕はその頃
埠頭で潮風の匂いを嗅いでいた
....
わたしの皮膚は薄いから
毛細血管が透けてしまう
血管人間
欠陥..
理科室の
あの人形が
かわいそうに思えてきた
だれか
服を着せてやってくれ
色白の人は
とくだね ....
がらがらと開ける
明け方の雨戸に
ひょいと跳んできたら
ちょっとだけにらめっこ
あしどりかるく
自分のおまんまを
きちんと自分で稼ぎ出す
この勤勉な同居人は
何を食べたかもぐも ....
おまえに綺麗な紙のきものを着せたったら
紙人形のように可愛いやろなあ
そんなこと言うてはったおじいちゃん
いつのまにか
紙のおじいちゃんになってしもて
あれは風のつよい日やった
....
夜店行くと いつも買ってた
友達と みずあめがついた二本の割り箸くるくるまわして
透明な みずあめが空気をふくんで真っ白に変わる
しろぉーくなったら もぅ一本貰える
もぅ一本欲しくて
....
平成十七年五月十七日
半歌仙連歌「木漏れ日まるく」の巻
於 RT会議室A
表
発句 夏木立木漏れ日まるくなりにけり
脇 手足伸ばして歩く歓び
第三 園児らの帽子ばか ....
地面の琥珀色のステンドグラスの中に
ジュラ紀の蚊が閉じこめられていてあなたに助けを求めている
クリック500回で救えますよ!
でも助けたいのはプテラノドンであなたじゃありません
蚊を潰 ....
その子にはちゃんとした名前があるのですが
いつも汚い服を着ているしそばによるとなんだかくさいので
先生のほかは名前を呼んでくれません。
いじわるな子は「ばいきん」と呼びます。
わりとや ....
朝は静かに浮上してゆくのでした
三葉虫の化石に太陽が反射したとき
そっと手を触れるときは胸が痛くなるのです
痛いところにわたしがいっぱい死んでいる
朝を埋葬していく
繰り返しわたしの中に ....
空の割れた日は
なんでもない午後の水面が
微風にそっとゆらいだくらいの
静かな頃で
お気に入りの帽子を
どこかに置き忘れてしまった
隙間から、パリンと
音を聞いたのは私だけかもしれない
....
中学生の君はいつもの帰り道を少しだけ変更して河原の砂利道を歩く
忘れていた土の感触を君は思いだす
そして君はコンクリートの斜面に友人たちの姿をみつける
君達は通学鞄を枕にして斜面に寢転び、あるい ....
君がいなくなった世界は とても堪え難い
けれど僕がいなくなった世界で
君が泣いている世界は もっと堪え難い
だからいつも僕は
僕がいなくなった世界のための準備をしよう
....
誰にも語られない詩がある
たったひとりに生み出され
たった一つの世界の扉があった
観客は
入るのも
出るのも
ひとりだった
ひとりのものだった
ただ
あまりにも
いつも ....
うん。
そうだ例えばね。
歳の離れた少女に、尊敬の念を感じたり。
歳の離れた、おっさんの人生を心配したり。
また。
そうかと思えば。
歳の離れた青年のケツを、思いっ ....
春先に剪定したあと
ほったらかして積んであった槙の枝に
定家葛がまとわりついて
白い花を咲かせている
もう死んでいるのよその枝は
もう緑を吹くことはないのよその芽は
この鮮やかに青 ....
焦燥・20.9%
享楽・18.7%
惰性・16.2%
意地・12.5%
凹み・9.7%
探索・6.4&
自己嫌悪・5.9%
自己愛・5.9%
使命感・3.7%
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