ことり ことり
音がしますね
なんの音でしょう
ことり ことりこ
不思議な音です
誰がこの音を出しているのですか
ことりこ ことり
では、ことりさん、と呼びま ....
少女のユメは、こんな天気の良い日にピクニックに行くこと。
前の日の夜に仕込んだライ麦入りの食パンで作ったサンドイッチと。
朝に入れたミルクたっぷりのエスプレッソを持って。
....
欠けたピースは
故障していて
だから
覗ける
希望があった
白い帽子被って
裏切りのない
五月の
風には
灰色の影には
欠けたピースは
....
スプーンで
粉っぽいくせに
白いお砂糖と
むりやり
無理矢理だよ
ぐるぐるってさ
なんとなく
計算なしに
ぐるぐるってさ
ねえ
私たちに似てるかも
なんてこと
なかったのにさ
....
・
眼を閉じるとそこは
金木犀の香る秋のベンチで
横には
もう何度も思い出しているから
びりびりの紙のようになってしまった
いつかの君が
黙って座って煙草をすっている
周囲がいやに ....
鼻の下を長くしている
おっさんが
ジロジロこっちを見る
私はおいしくないよと目で言う
その目をおっさんが見る
キモイと小さくもらしたら
おっさんがピクピク動いた
よく見る ....
近づく夏の気配に
風は
荘厳なパイプオルガンで
真実の歌をうたう
季節の波間へ
消えかけながらも
風は
光 いざないながら
真実の歌をうたう
いつも
笑顔でいたいと
そう決めたなら
決して泣かないように
そのかわり
一度決めたなら
最期まで笑いぬけ
すべてのことを包み込んで
心のうちにしまいこんで
簡単にあきらめる ....
「卵」という文字が
何故か哀しく歪んだ
誰かの顔に見える
「卵」という文字が
何故か背中合わせに俯く
ふたりの人に見える
「卵」という文字が
何故かずっと倒れずに ....
・
わたしの好きなひとの眼の中には
いつでも空がひろがっている
外が雨でも嵐でも
すこんと晴れた青空の眼だ
することが何もない
曇った日曜日なんかには
一日中好きな人の眼を見ている
そ ....
駱駝は人手に渡してしまった。
少しの水と、一日分の糧と引き替えに。
だから二人の娘は手をつないで歩いた、
月下の沙漠は、
はろばろと二人の前に広がっていた。
邪恋の娘ども、と囃し立てられ ....
残ってきたのは茶色になってぐちゃちゃになってどうしようもなく汚くて目も向けられない
インディペンド
「そんなの冗談だろ」
「そんなの嘘だろ、いい加減にして」
口と口のサーカス
火もふく
....
きょう
たんぽぽとはるじおんを食べた
すこしだけ耳が伸びて
神様の声をきいた
あしたは
すみれとばらの花を食べる
すこしまた耳が伸びたら
まだ聞いたことのない
あなたの声が聞け ....
「ダックス!」
といきなりいわれた
ソファーでひっくり返って
ノビている姿が
ペットショップで見かけた
ミニチュア・ダックスにそっくりだという
あんなふうにやわらかい腹をムキダシで
無垢 ....
{引用=
くまちゃん
雪が降ったからね、うさぎを作ったんだ。ダイクマからの帰り道、雪が降って、ねぇ。積ったらいいのにーってはしゃいだら僕、冗談じゃない!ってみんなに怒られてさ。くまちゃんは雪の多い ....
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に
*
やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても ....
雨が笑うのは
春になった証拠
ぱらぱらと
声を出して笑っている
庭で笑い声がする
覗いてみると花の蕾が
くすくすと
声を出して笑っている
小鳥が跳ねている
風の音に合 ....
穏やかな日々というものがある
一日一日に
棘があり沼地があるのは
ほんとうは知っている
ひとびとは
うまく避けながら果実を探して
今日の美食を味わう
それでも僕は
虹の掛か ....
風のなかで風を探して
気が付けばもう
誰も居ない
原っぱでひとり
終わることのない
鬼ごっこをつづけていた
少年はいつしか
風によく似た季節に
連れ去られ
四月になれば
アネモネと ....
夜風がゆるく吹いていた
さくらが銀河のようだった
カップルが一組
川向こうのベンチに座っていた
僕たちはすこし道に迷ったようだ
たまに肘があたる
あてどない人生が
....
080328
グライダーのように
空中ブランコのように
限りある人生を
ぶらぶらふらふらしていると
フラスコの悪魔に喰われてしまいます
化学 ....
赤い鉄筋の橋をわたり
360度くるりとまわる
軸足がずれてよろけても
雨上がりの空は青い
駅前のカフェで
正面に座る人を見つめた
睫毛の長さと
指の節の太さ
あと首筋の香り
....
きみが少し元気なときに
庭に植えた白梅に
真珠の粒がころころと
それは春の序章とも言える
きみが好きだった春の 前髪が見えて
それはきみの季節とも言えるが
メディアから塗りつけられる春 ....
いくつもの読点で、あなたを区切って
体内へと運ぶ
元のカタチを、思いだすこともできないくらいに
細切れに、咀嚼していく
小指の爪から、過日の砂が落ちて
潮の匂いがした
....
鳥になりたいと思った
そしたら
鳥になった
はばたくと
風はいちまいの紙だった
会いたい人がいる
その街だけが
記憶のかたちをした白地図
飛ぶ。
風には声もあ ....
線が、みえました
線が、みえていました
「ここからはいらないでね」
そう
いつでも
めにみえないかなしみ、というやつは
そこら
ここらに
ころがっています
....
なくした言葉がいくつかあって
それを、また
見つけだすのにあたふたなんかして
正しい言葉
わからないんだ
ぼくは
言葉は無力だと知っていて
それで ....
眠れない夜に
眠ってしまった店を想う
焼き魚が食いたくて
冷蔵庫の灯をまさぐるが
プラスチックしか見つからない
ジュースを転がす
傷んだ腹がないている
鍋焼きうどん食おうにも
....
電車の好きな少年だった
窓のそとを
いつも景色を走らせていた
乗客はいなかった
やがて彼は
景色のなかを走った
走りつづけた
いくつかの景色をつなぐと
電車にな ....
噴水のそばでは
アビリティーが無効になります
仕事の話はやめましょう
大声で電話しながら歩いている人
あなたの内側を掃除したい
2004年11月23日制作の上記「噴水の話」から、昨 ....
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