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{ルビ鳴家=やなり}という言葉よりさきに
ラップ音という言葉を覚えてしまった。
部屋の片隅なにもないところで
ごく局部的に温度が上昇または下降し
はっきりと物質化したエクトプラズムがあらわれ
 ....
たかが女の髪ひとすぢ と
スウィフトは(そういえばドジソン先生も)
書いておられましたが

粉砕され漂白された木質繊維にさえ
人の思いこめられるものな ....
駱駝は人手に渡してしまった。
少しの水と、一日分の糧と引き替えに。
だから二人の娘は手をつないで歩いた、
月下の沙漠は、
はろばろと二人の前に広がっていた。

邪恋の娘ども、と囃し立てられ ....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}


夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
焚き火の火を見つめながら
煙草を吸っているから
涙もくしゃみも煙のせいにできる

焚き付けの新聞紙にはテロのニュース
世の中のもめごとみんな燃やしてすっきり
なんてわけにはいかないけど
 ....
赤らんでゆくトマト、
緑に染まってゆくピーマン。
畑のトマトはトマトくさい、
畑のピーマンはピーマンくさい。
八百屋で買ったピーマンを台所で切る、
ピーマンの匂いがしない。
当たり前かもし ....
一日に一回
空は夕焼けに染まる。
晴れていたなら、だけど。もちろん。

夕暮れてゆく世界は私の手の中にあって
私は一杯のコーヒーを飲み干すみたいに
簡単に
それを飲み干す。

でも確 ....
東の空はうすあかい
あちらには街があって駅があって
こんな夜更けにも
時折は貨物列車や寝台列車が通り過ぎ
その音がここまで響いてくるのは
雨が近いからだろう

ぼんやりした常夜灯の光の下 ....
がらがらと開ける
明け方の雨戸に
ひょいと跳んできたら
ちょっとだけにらめっこ

あしどりかるく
自分のおまんまを
きちんと自分で稼ぎ出す
この勤勉な同居人は

何を食べたかもぐも ....
その子にはちゃんとした名前があるのですが
いつも汚い服を着ているしそばによるとなんだかくさいので
先生のほかは名前を呼んでくれません。
いじわるな子は「ばいきん」と呼びます。
わりとや ....
春先に剪定したあと
ほったらかして積んであった槙の枝に
定家葛がまとわりついて
白い花を咲かせている

もう死んでいるのよその枝は
もう緑を吹くことはないのよその芽は

この鮮やかに青 ....
初夏の夜、首が痛くなるほどに
高い空を見上げて、
あれがかんむり座だよと、
いつかそう教えたのに、

あなたは忘れてしまった。
七つの星でできた王冠を、
あっさりと投げて捨て ....
強風の夜
窓の向こうで大きな音がした
恐怖に叫んだかもしれないが
身動きしたかもしれないが
記憶にはない



 まだ幼い少年が
 フルフェイスヘルメットの男に殴られている
 やわ ....
フランケンシュタインの怪物を俺は覚えている。
俺は子どもの時から頭が冴えていて、
誰よりも記憶力がよかった。
だから俺は超難関の試験をいくつもクリアし、
極秘の指令を受けて宇宙に飛び立つ人間と ....
動き続ける列車から飛び降りて
でも立ち止まってしまう
鉄が匂うレール脇に
赤いペンキ様の液体が飛び散っている

動き続ける列車は
だけどあんまりにもノロマでトロマで
しかもあんまりにもた ....
夜更けにひとり目覚めていたり
残業のあと酒くさい終電にすわっていたり
まだ朝も暗い道を急ぎ歩いていたり
あるいは騒がしいファーストフードショップで
ふとお喋りがとぎれたり

そんなとき
 ....
嘲るならあしたにして
いま気分がのらないから
ずきずきする虫歯の穴
鬱陶しいバルクメール
うんざりする哲学バカ
みんな消してさっぱりして
きれいな空むなしい空
そうできたらなんでもする
 ....
機械に変わり果てた
冷たく硬い手足
なくした血の臭いを
求めて這い続ける
わたしはヒトでしょうか
あなたはヒトでしょうか
紅茶を淹れてみます
ヘドロを吐いてみます
すっきりしないままに ....
星を数え歩けば
南にほらカラス座
大都会の空では
道しるべにならない
小さすぎる星たち
六と四のリズムは
かるくかるくはかなく
星屑よりちいさく
きらきらきらさらりと
流れて去るうた ....
よごれっちまったかなしみなんて
そんなもんまだ書くつもりかい
でっちあげなよでたらめ書けよ
あんたはあんたを信じなさいよ
それができなきゃあたしは知らん
勝手にやんな好きに嘆きな
あたしゃ ....
仰向けば重たげに垂れる舌
首に添い肩に寄る手と脚と
なまぐさい銀色の銃弾と
夢でしか抱き得ない赤ん坊
空のいろ雨のいろ土のいろ
変えられず消せもせず創り得ず
肉体の放電を止めぬまま
楔打 ....
コーヒーのカップに浮いた
泡よりももっと無意味に
絞り出す絵の具のチューブ
盲目のミミズの闇に
こぼれちるルミノールの青
洗っても洗ってもなお
ひかりちるルミノールの青
舐めとればほのか ....
最近「顔」について考えるようになった。『ゴシックハート』(高原英理)を読んだつながりで『へルター・スケルター』を読み返したくなり、さらに映画『顔のない目』のビデオも鑑賞しなおしてしまい、もののついでに .... 白々しい嘘はおやめなさい、
白けた空気が漂うじゃないの、
白旗掲げて何をおっしゃる、
白羽の矢が立ったらどうすんの、
白髪だらけの頭ゆらして、
白河夜舟で眠ってる、
白黒はっき ....
コーヒーを飲み過ぎたのでねむれません
ねむれないので詩をかいてみます
詩をかいてみたので目から鼻水がでました
ティッシュを買いにゆかなくちゃとおもいます
でもどこにもゆかれません
そとは暴風 ....
闇黒こそは好ましい色だ
そこに何があるかわかりはしないから
闇黒ある限り
人は何かを想像し続ける

などという警句もどきを
てのひらで丸めてみる
睦月
この部屋は明るい
パソコンの画 ....
私は大腿骨である
私は頸骨である
私は肩胛骨であり鎖骨であり肋骨であり
胸骨であり恥骨である

私は横紋筋と平滑筋である
私は繊維質の束である

私は気嚢であり胃腸であり  ....
指のあいだからこぼれてゆく、
アルファベット、
ひらがな、
漢字、
カタカナ、
見覚えはあるけれど読めない象形文字、
もしかしたらヒエログリフ、
言葉になる以前のかけらたち、
さりりと ....
血が出るまで掻きむしるかさかさの肌は
乾燥した高地のミイラより無様だ
ミイラになっても美女は美女
みずみずしくてもブスはブス
こたつに半身潜り込んで
少しずつ消滅してゆくなら
どんなにかい ....
みつべえさんの「そろもん」シリーズについて、書きたい。このシリーズは、「噴水の話」からはじまり現時点で「王の話」まで、30作品以上が投稿されている。すべての作品にリンクを貼るのはめんどいので、みつべえ ....
ベンジャミンさんの佐々宝砂さんおすすめリスト(31)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鳴家- 佐々宝砂自由詩908-7-18
たかが私の- 佐々宝砂自由詩508-6-24
影さやかな月のもと- 佐々宝砂自由詩16*08-4-18
鏡を割りたくなるわけ- 佐々宝砂自由詩15*05-7-16
優しくなれると思ったこともあった- 佐々宝砂自由詩1605-7-13
畑の匂い- 佐々宝砂自由詩705-6-17
PRESS_ENTER■- 佐々宝砂自由詩11*05-6-13
夜の散歩- 佐々宝砂自由詩605-6-5
ハエトリグモ(百蟲譜48)- 佐々宝砂自由詩7*05-5-19
ばいちゃん- 佐々宝砂自由詩505-5-17
定家葛- 佐々宝砂自由詩3*05-5-16
かんむり座- 佐々宝砂自由詩2805-5-3
北窓開く- 佐々宝砂自由詩305-4-15
(1960—1993)- 佐々宝砂自由詩6+05-1-22
夏になったら- 佐々宝砂自由詩205-1-11
目覚めよと呼ぶ声ではなく- 佐々宝砂自由詩405-1-10
六六の唄- 佐々宝砂未詩・独白1*05-1-10
四六の唄- 佐々宝砂未詩・独白3*05-1-10
六四の唄- 佐々宝砂未詩・独白3*05-1-10
七七の唄- 佐々宝砂未詩・独白9*05-1-8
五五の唄- 佐々宝砂未詩・独白3*05-1-8
五七の唄- 佐々宝砂未詩・独白3*05-1-8
朝から_どうでもいい話- 佐々宝砂散文(批評 ...6*05-1-6
紋切り型- 佐々宝砂自由詩105-1-5
目から鼻水がでる夜には- 佐々宝砂自由詩205-1-5
精神は夜に飛ぶ- 佐々宝砂自由詩305-1-5
言うまでもないこと- 佐々宝砂自由詩1005-1-4
涸れ井戸スコープ- 佐々宝砂自由詩705-1-3
がり_かりり- 佐々宝砂自由詩7*05-1-3
【批評祭参加作品】おーい、そろもん!- 佐々宝砂散文(批評 ...604-12-19

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