夏が透ける雨の隙間

渇いた紫陽花が

雨を、乞う



 
 
 
知り合いに似た形の雲が
空に浮かんでいて
その人の名前は
とうに忘れてしまった

ミシン目で切り取られた海が
安売りされている商店街を抜けると
賑やかな駅前に出る

駅前 ....
いく筋かの細い雲が頭上を
走っていた
左側は昼で
右側は夜で
右側に扉があった
開けた途端
音も無く壁は崩れ
かつては覚えていた季節の
断片が
足元に転がって
いた

誰がどこ ....
足元が覚束ない
上からも下からも
鋭く冷えた光が照り
つけ
涙があまりにも直線的に流れてくる
その必要はないのに
空気はとてもきれいだ

何も犠牲にする必要はない
薄暗い天井が
安 ....
あなたが生きている間に空が晴れるといい
人々は曇り空に気球を打ち上げた
言葉を傘にせずとも歩いていけるように
藤は支えが欲しかった
己が生きて行くための

桜は藤を必要としなかった
だが支える力は持っていた

今では一本の木のように
鬱蒼と密にからみ合うが

異なる性を持つもの同士
時を違 ....
おとなになれなかったこどもは
おとなロボットに乗った
大きくて頑丈 パワーがあって
こどもには持てない武器をたくさん搭載していた
こうしておとなロボットは戦場へ出て行った
いったい誰がおとな ....
俺はとうとう人間の果て
人間の意味するところの一番端っこで
ようやく意味の体系にぶら下がっている
人間たちよ
そのまなざしをやめるんだ
しぐさをやめるんだ
表情をやめるんだ
 ....
偶然だと信じて疑わない
まぬけな横顔
寝息をたてるあなたの頬を
指でなでる
地の底まで貶めるために
ひと夏のあいだ張っていた罠に
まんまとかかって
バカ丸出しで
イビキをかいて
 ....
目的地はない
ただ衝動だけ

カッ飛んでいったGTーR
追うボクのコルベット

真夏の入道雲

気持ちいいもの
心揺さぶるもの

ただそれだけ
小さな小さな金魚鉢に入れられ
酸素を与えられて
エサはまだかと待ち
ガラスを叩かれては怯える

わたしから見えるモノクロの世界は
恐怖以外のなにものでもない

それでもわたしは
ひら ....
雨上がりのそら
草原に敷かれた鉄路
長大な貨車を曳く機関車が
ゆっくりと風景をよこぎってゆく

産業革命をささえた心臓が
風景のなかで鼓動している

そんないまではめったに在り得ないシ ....
アメリカにはバニラスカイって空があるらしい。
姪と散歩していたら遭遇した。
「あんなにおいしそうな空(絶句)」
というのでスターバックスでバニラクリームフラペチーノを食べた。

家に帰って妻 ....
君は猫舌だから
猫語しか話せない
だから大抵話が通じず
そのせいでこれまでも
ずいぶん痛い目にあってきた
けれどどうだろう
それでも頑として
猫語を話すことをやめなかったら
次第に話の ....
零をさがした朝に目が覚めると
太陽がたったひとり寂しそうで
誰もがこどくを噛みしめ針の痛さに怯える
ことばの痛みを恐れる
決して優しいことではないけれど
幼い頃何も知らずに踏みつ ....
さあ 嘘で塗り潰した世界を僕に見せてよ
真夜中に漕いだ船が向かうは 銀河の果て
なんちゃって本当は ただの湖で 鳥たちが羽ばたいた
幻想を装うかのように夏の雪が降る

夏の雪が降る

桜 ....
  
ファミリーレストランで食事をしていると
同じ形をしたファミリーがやって来て
西の方角から順番に着座した
 
ブラザーはシスターに
シスターはマザーに
マザーはファーザーに
それぞ ....
僕にみずみずしいコップ一杯の朝をくれないか
活力に満ちた生みたての卵のような生命を

天のフックから吊るされたマリオネットのように
きょういちにちを微笑んで過ごしたいから
おはよう



僕のベットの隣に君がいる
肉と皮を蒸発させた君がいる
地上に置いていった骨だけの君がいる

ろうそくの炎が揺らめいている
数本の線香のか細い煙が揺らめいている
僕の ....
大して疲れもしないルーチンワークをこなし
予定の無い土曜日は寝て終わり
憂鬱な日曜日には雨が降る
そんな感じで連休を浪費していく

ぼんやりと眺めるバラエティー
あれ、この番組ついこないだ ....
白いシーツをかぶり
君をおどかしたいな

君の怯える顔が
僕は好きだから

ねえ、知ってた?

この世は全部
空っぽなんだよ

君が愛する草花たちも
みんな幽霊なんだ
それが ....
弾丸に撃ちぬかれる

触れたものはすべて幻
熱情も
安らぎも
痛みさえも

何度目か数えるのはとっくの昔に止めた
ただそっぽを向いて
最初から分かっていたと嘯く

しみったれた未 ....
 
 
味噌汁の中をラクダが泳ぐ
どんなに泳いでも
沖などあるわけがないのに

僕はボートに乗って
ひたすら豆腐を網ですくう
今晩の味噌汁の
具にするために

いつまでこんなこと ....
波がたち
風がたおれる
うつくしい季節
わたしは
いない

ざあざあもえる緑
ここちよく冷えた夜
青じろい街灯の影
わたしはいない

不安
安寧
焦燥
安堵

わたしは ....
僕は脇役になるのが好きだ
目立つのは嫌だけど
一人ぼっちじゃない
   声帯を枯渇してしまった
卒寿のおひとりさまは羨望する

 梅雨入りまえのそよとの風が
庭木の梢をそっと愛撫するのを

      新緑っていぃなぁ
  おまえには話相手があって
 ....
揺るがないものが揺らぐ
仕方のないこと
ありのままを見ているつもりで
水鏡に映った姿を見ているから
冷やかな風にさざなみ
優しい陽射しに微笑み
自らの夢を重ね映して

時を凍らせた写真 ....
わたしたちは
結ばれた みじかい紐のように
そこに置かれていた

女たちが 色々な名前をよびながら
入ってきて
そして 出ていった

わたしたちはほんとうに望んでいた
だれかが、 ....
子等眠るさとわの森にほの白い卯の花かおりホトトギス鳴く   驚くに値しない
  あなたの指のなかに
  古い町がひとつ埋まっていようが


  青い部屋でわたしは 静かなチーズを齧る
  散らばっていた 丸い 悲しみの粒を
  一列に ....
ガトさんのおすすめリスト(1246)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
乞う- 殿上 童自由詩16*15-6-15
駅前- たもつ自由詩615-6-14
その先は無くてもいい- noman自由詩215-6-14
安心しすぎた夜- noman自由詩115-6-6
年中無休梅雨- 水宮うみ自由詩2*15-6-3
藤と桜- ただのみ ...自由詩17+*15-6-2
おとなロボット- ただのみ ...自由詩23*15-5-30
人間の果て- 葉leaf自由詩215-5-30
ひと夏- アンテ自由詩115-5-29
tramps_like_us- じぇいぞ ...自由詩215-5-27
金魚とわたし- じまさん自由詩415-5-27
ロコモティブ- 梅昆布茶自由詩1215-5-27
バニラスカイ- じぇいぞ ...自由詩3+15-5-26
猫舌- やまうち ...自由詩2*15-5-26
自我像/十七歳- かんな自由詩8*15-5-26
頭の中の靄、表現すべく綴る即興の詩- ねこ歩き自由詩315-5-25
ファミリーレストラン- たもつ自由詩815-5-25
朝のマリオネット- 梅昆布茶自由詩1415-5-25
平成27年5月13日早朝- ……とあ ...自由詩16*15-5-25
月曜日「来たよ」- たいら自由詩115-5-25
オバケ- やまうち ...自由詩115-5-25
喪失- kotoha自由詩215-5-24
味噌汁- たもつ自由詩715-5-24
いないわたし- はるな自由詩615-5-23
脇役- リィ自由詩4*15-5-23
丘肌の淋巴腺②- 信天翁自由詩415-5-23
みずにゆらぐ- ただのみ ...自由詩21*15-5-23
屑篭- はるな自由詩615-5-23
初夏になりました- 星野つば ...短歌515-5-23
並べる- 草野春心自由詩16*15-5-23

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