霧のつぶが
ここらに留まっている
セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている
秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも
....
すべて消えてなくなればいい
想いも 愛も
淋しさも悲しみも
ここにいたという軌跡さえ
波にさらわれてしまえばいい
a dream
誰にも知られずに
消えて行く私の言葉たち
....
三日月の夜にだけ零れ落ちる
月の雫を浴びた花のことを
この地では月花と呼ぶ
その花を煎じて作られた秘薬は
古くから健康長寿の源として
月夜の民に親しまれてきた
真面目に働き旅人にも ....
知らない人だらけの教室の中で
周りの会話に耳を傾けていた
誰か話し掛けてこないかな
友達ができたらいいな
一人きりで弁当を食べながら
周りの会話に耳を傾けていた
誰か話し掛けて ....
何処にも届かなくていい
誰にも関わらなくて
何の問いもないが
ただ在ることを想う
ダーウィニズムがもたらした
革命にしたがおうとおもう
忙しい自分は本当なのだろうか
ぼくはい ....
剃刀みたいな言葉にも愛情は宿るのだと信じていた。切っ先のひかりを盲目的に見つめて、この体がふたつに切り落とされる瞬間、左右どちらの器にあたしは棲んでいたのだろう。解を得ないまま伏せるまつげのすきま、き ....
赤い線が
皮膚の上に浮かび上がる
今朝
バラのとげが作った傷が
今
わたしのからだの中の
赤いこびとたちが
あたふたと
いっせいに傷をめざして
走っていることだろう
猫を飼 ....
走り始めは正しく人の言う通り則り
既に敷かれたレールの上をただ進ませていただけ
枝を増やし続け 実現できた妄想と構想
十秒間目を離した綾取りなら網目が複雑化
毒を吐かないのは 時間( ....
僕に関係の無い人が笑っている
僕に関係の無い人が泣いている
僕に関係の無い人が風に揺れている
僕も少し風に揺れながら口を開けて
あの日のことを思い出そうとしている
あの日、が何のことなの ....
まぶしいのは
ずっと目を閉じていたから
そこは優しい闇に似た架空世界で
行こうとさえ思えば深海にも
宇宙にも
過去にだって行けた
あのスカートはどこにしまっただろう
青い水玉模様
....
ドーナツを選ぶのが難しくて
私の背中に行列が出来る
ハズレのくじを引くような気分で
ショーケースに指紋を残して
次の人は美味しいのに当たるよ
全ては好みの問題だけど
デパートの屋上 ....
いつもの二階への階段をのぼっていたら
いつしか階段が森になっていた
のぼってゆけばゆくほど
森が深まる
樹々が茂り
鳥の声も聞こえてくる
のぼってものぼっても
いつもの二階にはなぜかいっ ....
金曜日のためか 広場の一角で
子どもたちは ボウルを蹴って
騒いでいる
だが もぅ・・・・・
卒寿の俺さまには
そのまねは できっこない
救 ....
to belong to
ということばのひびきはあこがれだ
(父のキングス・イングリッシュはほんとうにうつくしい)
遠い、遠い
名も知らぬ
国を想うように
to belong toをく ....
小さな箱に小さなケーキ二つ
一人で食べたよ
あなたがいないから
テレビには聖夜の飾り
みんな笑顔で聴いている
クリスマスの歌
幸せを運ぶよ、クリスマスの夜
淋しい人、僕は一人
哀し ....
空気を伝う言葉の影
盲目の力点は
硬直した体を伝い
脳の延髄をも締め付ける
空気に色はなかったが
硬度は確かにあった
そこでは発する声が震えもするし
伸び伸びと勢いづくこともあった
....
私は錆びてそして燃える。
灰の中に埋もれた指輪のトパーズはまだ、青いままか?
空から夏が降ってくる。
公園の写真を川に流し
波乱を飲み頭に尽くして
夕日の中から影を取り出す
山の踊り 蝶の渇き
鳴らす座り方を立たせる
焼きたての咳を我慢し
通り道を夜にするさるすべり
支えるものが支え ....
海に行きたいと思った
また、冬に身を投じ、雪まみれにならなければならない
その前に、できるだけ平坦で、広大な場所に行きたかった
もともと、すべての生き物は海からはじまった
コンビニで食 ....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように
まともなあんたは
ひびわれた ....
泥酔したいな。
一瞬たりとも正気でいたくない
虚ろでいたい
ぽやぽやしてさ。
何も考えたくないの。
なぁんて
やらないけどね
思うだけだよ
本気でだけど
感情が入り混じって危険になったら
ただ早足でバッティングセンターに行く
やる気のない店員のタバコふかしながらされた挨拶も
今は見えていない
コインを入れて
120Kmで30球 ....
ことばが寒さから抜け出し
たいようを追いかける夜に
睡眠剤をウイスキーで呑む
景色はしろく記憶だけ鮮明で
墨汁で色濃く書いた文字さえ
どこか儚い冬のきろくになる
突然の ....
シルバーカーと一緒にね
まだ51歳なのに色気ないけど
それがすっぴんのわたし
シルバーカーと一緒にね
会いに行くよ
冥土の土産に
もう、余生だよね
ナイフとフォーク使えなくて ....
雪は拭い去らない
覆い隠すだけ
日ごとに捲る
白紙のページ
忘却は灰ではなく
深みに沈むこと
どこか届かない
タイムカプセル
書き変えても
消去しても
記録を改ざんしても
....
おまえではない
おまえではない
絵の具を燃やす手
土に火の絵を描きつづける手
隠れていた猫も虫も去り
原はどこまでも静かになる
鳥も鳥を話さなくなり
常緑樹のなか ....
きょうもたくさん、頭を下げました
ありがとうございます、あ、すいません、すいません
「雇用期間の定めあり、平成30年3月31日まで」
条件により更新あり
条件により・・・
ねえ、あなた、 ....
鶴橋の町で五〇年 湯を炊いてきた
百草湯の源田のおやじが 今年亡くなった
あれは夏の午後
「湯を炊く」と言い残して赤十字病院で息を引きとった
おやじは享年七七歳
銭湯が寂れる中 おやじは ....
朝が黒い
青黒いし
青灰色の
朝が白い
シン・ゴジラを1.7倍速で観ていた
多くのひとが早口で喋ることが
正しいかは別にして災いを遠ざける
朝が黒い
....
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