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雨の吐息に八重咲きの桜しばたいて
落ちたしずくを掻き抱き夢見心地で逝く蟻の
  複眼の曼陀羅
    太陽を入れた万華鏡

黒曜石は夜に溶けながら半球を渡る

うす闇からうす紅
八重に ....
愛は真っすぐ丘を登って行った
蹄の跡を頂に置き去りにして
光は渦巻いている
春の風がむき出しの土を{ルビ弄=まさぐ}っている

あの日太陽を塗りつぶしたのは誰だったか
わたしの心臓を突き刺 ....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
雪は拭い去らない
覆い隠すだけ
日ごとに捲る
白紙のページ

忘却は灰ではなく
深みに沈むこと
どこか届かない
タイムカプセル

書き変えても
消去しても
記録を改ざんしても
 ....
伝えようとした
なんども 白い指先が

――風のすべり台
    すばやくくぐって

  冷やかさ 
    保てず

      触れるや否や
   潤みほどけ

数えきれな ....
音楽が辺りを小刻みに震わせる時
からだが先に踊り出す人
静かなうねり 心地よい慣性
グラスの中のブランデーのように
心は 甘く揺らめいて


音楽が辺りを小刻みに震わせる時
暗い片隅に ....
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人であると知る
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人ではないと知る
ある日
同じひとりの人が

そんなふり幅で
弦も響いて
からっぽだから余計に ....
キーボードの上で
テントウムシが{ルビ触覚=おぐし}を直している
ENTERの右の
7HOMEと8←との間
溝にハマった姿勢だが
寛いでいるようにしか見えない

{引用=どこから とか
 ....
白い蝶 光の眩暈
追って追われて
追われて逃げて
見えない糸が絡んだように
もつれてはなれ
はなれてもつれ
火照った空気に乗っかって
この夏の向こうへ


恋と憎しみは良く似ている ....
{ルビ理由=わけ}もなくかなしい時がある
理由はあっても 不明なのだ

本当は 
居場所の見当はついている

古い古い付き合いの 理由を
引っ張って来て 座らせて

またも千日手を繰 ....
      祈りと願いに摩耗した
己の偶像が神秘の面持ちを失くす頃
始めて冬の野へ迷い出た子猫は瞳を糸屑にして
柔らかくたわみながら落下する鳥を追った
薄く濁った空をゆっくりと
    螺旋 ....
朝早く
家族が眠っている間に雪かきをする
でないと外出も時間も困難になるから

白く美しい雪
儚く消える雪
だが降り過ぎるとまったく始末に負えない

気温が下がり切らないと雪は酷く重く ....
あなたを見るために
光を媒体にした
あなたを聴くために
空気を媒体にした


媒体なしにあなたを知りたくて
肌と肌を重ねてみた
そうして慰めを得ながら
無限の孤独を思い知る


 ....
雪は降る歌いながら雨よりも静かに

雪は新たなページをめくる
見慣れた場所へ胸いっぱいの息で踏み出すために

冬晴れの鋭さに青く影を曳いて
ぬくもりを一層 切ないほどに




 ....
日差しは入り江を満たす穏やかな波のよう
ちいさな冬も丸くなった午後の和毛のぬくもりに
鉢植えの場所を移しながら
――古い音楽が悪ふざけ
週日開きっぱなしのトランクをむやみに閉め隅へ蹴る
―― ....
さようならアメリカ
たぶんぼくはアメリカが好きだった
ジーンズが好きだった
コーラが好きだった
ポテトチップスも好きだった
さようならアメリカ
自由と平等と人種差別の国よ
民主的で覇権的 ....
あなたの微笑み
落ち葉を踏みしだく音のよう

深まるほどに
冷たくなって

高くポプラの梢を揺らす風
渡らなかった深くない川のせせらぎ

なにかが去って往く
色鮮やかな痛みを灯して ....
腰のまがった老人はめったに見なくなった
まがった腰で
ヨッコラショと 
風呂敷をしょった爺ちゃん婆ちゃんは
わたしが子供のころの爺ちゃん婆ちゃんだ
農村や漁村では今だって
腰のまがった老人 ....
カーテンの向こう暑くなると告げて
にわかに泣きだすそら

すぐに澄み
そこなしの青の静けさへ
置き忘れられた幾筋かの羽毛は
朝へと生まれ落ちた夢たちの骸
季節の手妻は継目も見せず
ゆ ....
山のむこうゆっくりと橙は灰
日暮れて暗く やさぐれて
苦楽の果てに捨てられた
途方に暮れてホウホウ鳴いて
ケルトの老婆アイヌの老婆
とろとろ炙る枯れた掌に
あまいこどものあたまのいたみ
 ....
雨が降るのは拒めないが
雨降りに何をするかは選ぶことができる
濡れたくなければ家から出ないことだ
出かけるのなら傘を差せばいい
傘がなければ濡れるしかないが
傘を差しても多少は濡れる
濡れ ....
行倒れの男のように
靴が片方 ぽっかり見上げている
我慢しきれず漏らしてしまう
重苦しい空はぽつりぽつり
悲哀をくすぐりながら
見定めていたはずの世界を沈め
アトランティス   
瓶の蓋 ....
今朝あなたの手紙の上
木漏れ日が踊りました
強い日差しは濃い影を生み
風のなすまま掻き乱されて
静止なんてありえたでしょうか
いつも新鮮で
動揺は隠せなかった
なのに
身じろぎもせず
 ....
冷たい灌木の素足を芝草が覆う
うぶ毛のようなスギナの森
露に閉じ込められて朝の光が震えていた

「友よ お飲みなさい
こっちは先に頂いています もうすっかり
辺り一面へ溶けだして ほら太陽 ....
白樺の若葉は濡れてなお淡く
陰りの中に揺れ
畑の麦はより深く  
滲むように息づいた
日差しにかすむものたちが
雨の日には薄められず
沁みて とおる
焦げついた所まで
土の匂い 
湿 ....
もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だ ....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって

とかなんとか言ってみても

こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
測れない
計れない
量れない
ものをはかろうと
脳は身をよじるが
生まれたのは不肖の子ばかり
どれ一つ それ一つでは
役に立たないものたちを
手妻よろしくこき使い
広げてきた
安心 ....
あなたの瞳は
地球ほど小さい
渦巻く星の雲浮かべ
光に濡れる黒い華

――めぐすり ひとしずく

恩恵とは湧き上る涙
乾いた世界に満ちて溢れるもの 

柔らかく羽ばたいた
ひとつ ....
秋と冬の境目の
限りなく冬に寄り添う秋だから
ならべてみたくもなる
あったかいものをしこたまに
{ルビ炬燵=こたつ} 湯たんぽ 綿入れ{ルビ袢纏=はんてん}
焼き芋 甘酒 鍋料理
{ルビ熱 ....
ガトさんのただのみきやさんおすすめリスト(48)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
八重に愚かに- ただのみ ...自由詩4*20-5-17
術もなく- ただのみ ...自由詩10*20-5-3
迷路- ただのみ ...自由詩13*17-12-2
日々すこやか- ただのみ ...自由詩9*17-11-25
嘘の種- ただのみ ...自由詩14*17-11-15
音楽が辺りを- ただのみ ...自由詩12*17-9-23
ふり幅- ただのみ ...自由詩11*17-9-13
真夏の夜の夢の手前- ただのみ ...自由詩13*17-8-12
去来蝶- ただのみ ...自由詩13*17-8-2
かなしい- ただのみ ...自由詩18*17-1-21
冬という病- ただのみ ...自由詩21*16-12-31
たぶんクリスマス- ただのみ ...自由詩12*16-12-24
黒点- ただのみ ...自由詩17*16-12-10
雪は- ただのみ ...自由詩10*16-12-7
鈍色の匙- ただのみ ...自由詩16*16-11-23
さよならアメリカ- ただのみ ...自由詩19*16-11-9
センチメンタル- ただのみ ...自由詩7*16-10-29
爺婆に捧ぐ- ただのみ ...自由詩15*16-10-12
くすねた財宝- ただのみ ...自由詩9*16-9-7
夜火- ただのみ ...自由詩8*16-8-27
雨が降るのは拒めないが- ただのみ ...自由詩10*16-6-18
ホロウ- ただのみ ...自由詩12*16-6-8
紙のドア- ただのみ ...自由詩11*16-6-1
不法投棄地帯- ただのみ ...自由詩13*16-5-25
雨/みどり- ただのみ ...自由詩11*16-5-7
風談義- ただのみ ...自由詩13*16-4-23
青春時代- ただのみ ...自由詩17*16-4-13
ブルーライトに照らされて- ただのみ ...自由詩11*16-4-2
めぐすり- ただのみ ...自由詩18*15-12-9
扉の隙間から- ただのみ ...自由詩21*15-11-21

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