{引用=
青い水面に溶けこんでいる。陶酔。逆さまになったふたりの不定形。ぼくらの身体はまるで揺らめく塔のように、どこまでもながく伸びてゆくように、そのうねりをいつまでも繰りかえしてゆく。それは途方も ....
一番恐ろしいのは、己の弱さ。
そいつが囁く、言い訳という名の誘惑。

夜半過ぎ、映らないテレビに自らを写して、
滲む爪先を凝視した。
奇妙な雨音だけに耳を傾け、
ただ、逃避した。

そ ....
言葉を整え、形作る事が
己を彫琢する事だと信じていた。

出来上がったのは塗抹な断片だったにも関わらず。

今もこうしてゴタゴタと塗りたくって、
できたのが俺だ。
昔は書きたい事がそこにあって、
それを自由に描けた。
無限に広がる妄想は、
僕を彼処にも此処にも存在させた。

今は違う。
現在地は社会が暗に示した箱だ。
描くこと、その欲求すら失われた ....
濃紺のとおいとおい沖
そこだけ白く光る帆
透いた筏の上に
栞が挟まっている
厚い無地の記憶に
プレスされた 絵はわたし
どんなにのぞんでも
やさしい明け方の帯は
沖へと踊らされる

 ....
ざらついた眠りが頭をすっぽりと覆う
この世界を風呂敷に包んで
どこか別の星に広げたなら
こぼれるように もう 花は叫ばないだろうか
流れる血は 灰色ではないのだろうか
キャンディはいったい誰 ....
改札口の側で
あなたの身体を見つけた
暫く見なかっただけなのに
こんな所にあったのだ、と思うと
何だか懐かしく感じられた
せっかくなので両腕を掴んで
家まで引き摺って帰ることにした ....
孤独を渡る夜の鳥よ
虚しい私のこころを
一緒に連れていってはくれまいか
白く羽撃く翼も
闇夜の中ではくぐもって
うっすら夜に溶け込むよう

ひとのたましいは
死んだらどこに行くのか
 ....
幸せは此処には無い。
何時も過去と未来に点在するだけ。

傍らにあるのは空き缶、吸殻、コンドーム。
それと誰かの笑い声。
朝方少し仕事をし、あとは何もせずに過ごした
背徳感が骨や肉に浸透していたけれど
床から出ることはなかった
何もしないことにした一日は重金属となって
言葉も発せず、でも聞き耳を立てている
でも ....
さんざん探し回ったあげく
本当の自分は見つからなかった
旅立ったはいいけれど
いまだに一度も帰ったことがない

途方もなく時間を費やして
創ろうとしていたモノは何だったのか
やみくも ....
平日の遊園地は
あなたの名前なのに
石鹸の金魚は泡になった

トウキビのような匂い
私小説ばかり書いている友人が
家に遊びに来たことがある
余白はどうしているのか聞くと
その問 ....
そっと踏みいる、それへの入り口。プールサイドの縁に紺いろの靴下を濡らす。夏の制服姿の少女が夏の制服姿のまま水色のプールの中へと入ってゆく。やがて肩の上から頭のてっぺんまでをも水色の水鏡へとゆっくりと沈 .... ただ声を聞いただけ
水を抜かれた池に
透明な水が流れ込んでくる
いなくなったと思ってた
鯉がスイと漂う

ただ声を聞いただけ
木目のお化けが
味のある木目に見える
ずっと続くと思って ....
三叉路の交差点改良が終わり
夏はまだ蒸し暑かった
誰かの投げた石が
東西に流れる二級河川の水面に
小さな波紋を描く
あっ、魚
勘違いした人が指を差して
本当だ
と、隣の人が相槌 ....
         歌ってきた

     きみを見つめてきた

  そして 鹿の角を数えて 折ってきた

 銀の器に流そうじゃないか

あれは黄金の鏡よ 

 指さして き ....
草の根と息吹と
あなた、忘れていったね
飛行船の落とし物みたいに

剝がしたり叩いたり
転んだりしながら過ごした毎日を
何と呼べば良かったのだろう
丁寧だったり雑だったり
胡麻 ....
「君の名は。」

 
 {ルビ秋=アキ}といふ選手の名知りボディビル


「バック・トゥ・ザ・フューチャー」


 どん兵衛に五分待たされ秋愁ひ


「羊たちの沈黙」


 ....
書きとめられることのなかった言葉は
綿毛のように目の前をただよい
掴もうとする指の間をすり抜け
風に流され消えていった

明け方に見た夢を思い出そうと
目を瞑っても白く掠れていくイメージ
 ....
確実に変わりつつある意識は
見ちゃいけないものを見てしまったようだ
社会からはみ出す
去年と今年ではまるで変わった
今年と来年ももっと変わるんだろう

カレンダーに予定を入れる度に失ってい ....
 ハロウィン 七句


ハロウィンのドアに小さなノックかな

ハロウィンにヤクザの白いお菓子かな

「おいでやす。」ハロウィンに言ふ京女将

ハロウィンや和菓子を貰ふ京都の子

 ....
人間の始まりの前まで遡れば
この血を継いできたものは
世界中の人と同じ
私たちは地球人家族
誰もが誰をも愛せたら
人が人を殺さずに済むのに

どこかで戦争が起こる度
太古の先祖が
悲 ....
朝 未だ朝食は食べていない
アメリカンスピリットに
ペットボトルのラテを摂って
暖房 を点けた
今年初の暖房を

午前四時に起きている
四時に起きて瞑想している
毎日が愉しい
 ....
仏教の座禅から
興味はマインドフルネス瞑想に向かい
時間があり過ぎるゆえか
興味はヨガの瞑想に向かいつつある

呼吸とは何だろう?
僕は永らく口呼吸だった
鼻という呼吸器官がありつつ
 ....
命令には従う
自分の気持ちは地蔵に預け
斬るべきものを斬り
証拠の首を狩る

仕えることしか知らない
狭い世界の中で
死なないように
家を守ることだけ考えた

返り血を浴びては
 ....
片足に秋の小蝶の影淋し

野良猫の影のか細く冬隣

基次郎レモンをひとつ置く書棚

さつま芋ご飯をつまむ{ルビ新=さら}の{ルビ箸=はし}

金柑を中心に秘めお饅頭

ふた口で終は ....
あたたかい紅茶のなかで
みのむしが
みのを手放しておよいでいくのを
追いかけることもせずに
ながめていた
満月の映る淵で
きみは大人になることだろう

何者かになりたかった

何か ....
ごみ箱にポンと紙くづ冬隣

秋蝶の影消え風の軽くなる

つぶやけば淋し野菊といふ語感

うつむけば青空の色{ルビ牽牛花=けんぎうくわ}

それぞれに名の美しく秋の草

団栗のひと粒 ....
試験管に血が流れ込む
僕の一部が閉じ込められる
流れた血の意味は
あらゆる尺度から分析され
結果を見るまでは
不安が僕を緊縛する
生きることに無頓着な筈が
執着して食い込む不安の言いなり ....
夕陽に照らされて
猫が光を纏っている

「きれいな虎模様ね」

呼び止めた気まぐれな人間の女の顔を
じろり、と見つめる
その虎猫の瞳に刃が灯る

体つきはほっそりとしていて
子猫が ....
ガトさんのおすすめリスト(1288)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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語彙耽溺- 泡沫の僕自由詩125-10-16
_- 泡沫の僕自由詩225-10-15
なくした栞- 唐草フウ自由詩13*25-10-15
処刑前- ただのみ ...自由詩7*25-10-15
デーゲーム- たもつ自由詩12*25-10-15
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余白- たもつ自由詩10*25-10-11
ししゅん- 本田憲嵩自由詩1625-10-8
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背中- たもつ自由詩12*25-10-7
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虎猫- そらの珊 ...自由詩8*24-10-21

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