まだまだ生きろと言われる
みんななにも知らないくせに
向けられた刃物
目には見えぬ言葉のナイフ
摘み上げられ乗せされた天秤
もういいでしょう、もういいでしょう
突然に漆黒の闇が襲ってき ....
優しければいいってもんじゃないけど
時には優しいほうがいい
風はほとんどが冷たいものだから
家のなかはふんわり
優しいほうがいいよ
言葉ってつかわないと
固くなるから
おもったこ ....
詩人と娼婦が恋をした。
詩人は娼婦を
身請けする金を持たなかったので
詩を書いた。
娼婦は感動を
伝える頭と言葉を持たなかったので
体を捧げた。
硬いベッドの上
二人は一つ ....
昨晩の雨は雪へと変わり
昼過ぎには太陽にバトンを渡す。
帰宅した父を囲み
静かに語らう母と娘たち。
その手は何かを決意し
何かを覚悟するかのように
しっかりと握 ....
生きててごめんなさい
安易に
そんなこと想ってごめんなさい
あやまってすまして
ごめんなさい
あやまるなんてなんでもない
傷なんてついてないんです
生きているから
生きてい ....
動物の名前を書いていると
人がやってきて
他人事みたいにほめてくれる
交差点のあちらこちらでは
初夏が観測され始め
立入禁止の札もまた
ゆっくりと音をたてている
このまま一 ....
駅前ターミナルに到着しようとしていた
路上に杖をついた高齢の紳士が
窓のすぐ下に見えた
彼の進む先には確かにバス乗り場があるが
そこが人の歩くべき路でないことに
既に気付いたのか
ほんの少 ....
母の日に送る一方的な便り
必ず返事を返してくれた
受話器の向こうで あれこれ心配してくれた
そのありがたさに気付かない
チョット面倒になり
すぐに受話器を置こうとしていた ....
ながれる息はチューブを駆け巡る
空が季節の階下を滑り墜ちる度に
遠く、
、近く、
と、眼窩をさまよう信号の波
放物線と消えた夜の足音
ひそやかな星の輝き
死なせて ....
うらやまし
その日暮らしの
小鳥等は
かすむ春日を
歌って暮らす
春になると
淋しい木々の先に
白木蓮の{ルビ灯=あかり}が点る
ほんのりと明るい白い花は
どんよりした心を照らしてくれるようで
ほっと心が温かくなる
こんなふうに心が晴れない日は特 ....
灰色の道の上に
ひとつの疑問が落ちていた
ずいぶん昔 この胸に生まれ
しなやかに若木のように育ち
そして出て行った
いつか答えを見つけるのだと
朝の光が包む白い道を
振り向くこともしない ....
花は好きです
酸っぱくてもレモンは好きだ
固くても林檎は好きだ
果物は感じがいいから好きだ
花を食べるあの果物の香りが好きなのです
だから果物の香らない人は嫌いだ
....
長い黒、スペースシップでこんにちは
あるいは、こんばんは
ときに、おひさしぶりね
そして、おはようございます
上手く折れない
紙飛行機が
放り込んだ屑籠の
縁から顔を覗かせている
拾い上げて
半開きの窓に向けて
今一度、飛ばしてみるが
盲の鳥のように
あさっての方向へ ....
十六で嫁入りした祖母は
まだ娘だったから
近所の子供達と鞠を突いて遊んでいた
すると 嫁入りした女はもう
そんな遊びをしてはいけないと
誰かの叱る声が聴こえて来たという
春の夜 ....
ラジオから
音楽が流れている
朝の光が窓から差し込んで
世界がうんと美しく見える
女らしさや、男らしさが
ちりぢりばらばらに散らばって
混ざり合ったその向こうの
いや何にも混ざり ....
ふと足を止めるとき
ふりかえるとき
百日紅が見えるでしょう
そしたら
笑って帰って来なさい
泣いて帰って来なさい
喜んで帰って来なさい
怒って帰って来なさい
花を抱 ....
電話を待っている
便利になったものだ
子機を取りにいかなくても
いつも電話はかたわらにある
包み込むような
文学的文章を書く人は
どんな声をしているのだろう
そう思いなが ....
夏の日に日差しを避けて、
冬の日に日差しを求める。
そんな感じでしょうか、
あなたの目に映る、軽薄な姿は。
17の夏、あの子と
ブラブラ、ブラブラしてた
大学受験も考えなきゃならんしさ
そろそろ、真面目になんないと
ああ、わかってるよ、わかってる
何もかもに集中できず
机に向かえば脱力し ....
秒針を刻むソレを止めた午前零時
頭痛がする程の静寂が支配した部屋
このまま全てが止まればいいのに
{引用=私の時だけ止まればいいのに。}
夢に逃げることもできなくて
現実 ....
今日も君は泣いた
昨日も君は泣いた
その前も前もずっと
綺麗な瞳に溜め込む
悲しみと哀しみと悲哀
映る絶望は絶えることもなく
君を苦しめるものから守りたい
君に痛みを与え ....
さようなら 風
ごきげんよう いのち
あなたのすきとおったあつみ
やぶれるようにさきなさい
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