地下室への階段を降りてゆくと
探していた言葉があった
それは難しい言葉なんかではなくて
なんてことはない言葉だった
くだらないなぞなぞの答えのような
拍子抜けするようなやつ
でも 昔は仲良 ....
ラムネ工場で作られたビー玉にあの夏の日が閉じ込められてる
初恋を{ルビ啄=ついば}む小鳥に{ルビ啄=ついば}まれたとこがいつまでたっても甘い
遠くまでちいさな泡がのぼるからおそらく ....
一.
剥がれおちる夕方から
くるぶしをなでたぬるい夜が
道順どおりにすすめなくて
わらっちゃうねいつも
欲望のはなし
二.
情熱と渇望とスカートと臨場感と ....
優しさで出来てる星がひとつくらいあってもいいね。行けないけれど。
ふわふわでほんわかしててすべすべですうすうしながらしゅわしゅわなあさ
クローバー見渡すぼくらの遠くに町のような ....
答えにたどり着く気がして
川沿いをひたすら歩く
午後九時
一瞬雲の切れ間に輝いた二等星
願うことから始まる絶望が
いつでもおいでと笑っている
仲間は裏切者だった
でもそれでいいじ ....
永久にひとりになることはできないくしゃみで粉々になる体
あれは人工でも本物のひかりなんでもあるのあなたの街には
爪を切りそろえるあと1日生きる昨日も今日も懲りずに契って
後付けの解釈 ....
15年前の私こんにちは。
ありがとう、まじめに創作活動してくれて。
大分、あなたの気持ち悪い詩から遠ざかっていたせいか、
あなたのその、気持ち悪い詩が書けなくなってしまいました。
....
星屑のそれこそ屑だらけの海を泳いで
ようやく海から這い出たような
じんわり、と、重い。
私を裏返してでてきたものを
両手でかき集めて
ひとつひとつ灯の光に透かして見てみると
とてもきれいで ....
通りすがり
とある中学校のフェンス越し
昨日からの雨で校庭は
ぬかるんだり
小さな川が流れたり
片隅に植えられた
紫陽花の葉っぱの上では
雨粒たちが
青瑪瑙の勾玉みたいに
一 ....
過ごす時間に一つ一つ、ふせんを挟んで名前をつけて、たまに見返さないと思い出せない記憶の塊、あなたは、わたしのことを愛せていたのかなわたしは、あなたのことを愛していたのかな 教えてくれるかな、証明の数式 ....
私は語れない
立派な悲しみでないから
物語にならない幸せ
幸せにつなげられない景色
毎日繰り返し使い古した
囁きが増えてざわめきになり意味は消える
現実と夢では
リセットされるだけあ ....
膝に雨の破片をもらう
廃工場に夜の闇がきしむ
朝陽に朝帰りのおかしさ
さっさとお祈り終わらせて人ごみをぬける
朝の待合室で笑えない話きいてる
奴隷あつかいうけていると同僚が笑う夕暮
酔った ....
6/1
古いカメラのように瞬きをすると
紫陽花から滴る雨粒が
カリッ、と網膜に光の線を引く
6/2
すれ違う人の柔軟剤の香りにときめいて
振り返ると、彼女の背中に
斑点だらけの黒ずん ....
ハードディスクに録っといたテレビ番組を観ながらストロングゼロでも呑むかって夜に
なんか今観るのはもったいないかなとか
思って
....
動画サイトで演歌に涙する
私だ
昭和が好きなのは
昭和に産まれて育ったからだ
妻も私も共に
両親は他界した
けれど
夫婦は実家の墓参を
もう長い事していない
その事に ....
梅雨にぽつんと挟まれた晴れの日には、
いつも同じ日を思い出す
きっと色々な光を浴びた記憶たちが、
今朝の紅茶のように綺麗に溶けて、
同じ日と、定義しているだけだけど
心はもう何もかも ....
詩には背骨があって
鱗もヒレもある
爪があり
獰猛で
毒を持っていて
もちろん捕まえようとすると
こちらに牙を剥く
当然
今の時代
そんな面倒は
抜 ....
最寄り駅へと向かう人波の中
今朝も私を追い越してゆく
その自転車の後部席に
ちょこんと座っているのは
いつもの男の子
漕ぎ手のお母さんが
左右のペダルを踏むたびに
ちいさな男の子の
頭 ....
好きにとどかなかった恋
今年は咲かない紫陽花
傘の下で雨宿りする雨
見えないテレパシー
あなたにとって何度目の夏?
市営プールに沈んで降水確率100%と笑う私 ....
お人形遊びの
楽しさを知らない
綺麗な服に着せ替えて
髪を梳かして
それから?
あんまり虚しくて
人形にドロップキックさせたら
あの子とはもう遊ばないって言われた
....
もしもし元気?
それは受話器のように咲いている
遠く離れた人を思いながら
言いたいことが
あふれてくるけれど
線路はもうすぐ
遮断機が降りるから
叫んでも壊れないで
君にはねられた
....
思い出は
ぼんやりした
景色の中にあるよ
夏の夕暮れの
田舎の電車とか
色あせた自動販売機とか
誰かの白いシャツとか
それはどんな記念日よりも
心に残って消えない
....
三つ編みの先で書いた夢が
君に触れたら叶う気がした
ひと筆の間で宇宙が揺れて
頬に咲く花を見つけるよ
君の言葉が何度も聞こえた
幸せになりたいだなんて
透明な欲望が受粉をして
私の心に笑 ....
スカートをはいてからおかしくなってしまった
縁側から外宇宙へ向かう道は
あの子の膝にあたまをのせるだけだったのに
まちがいだらけだって言葉に足がすくんだわたしに
日傘が少し傾いた
入り切 ....
もしインターネットに出会ってなかったら
詩を書いてなかった
と
私はそう思う
私はけして詩を愛してなんかいないと思う
ただ強く自分にこだわっていたいだけ
私は有名と呼ばれる詩人の有 ....
星の形のいるかがいるようなところに住みたいってきみは言ってたね。そういうことを聞くたびにげぼでちゃう、と思っていた。きみが何か得体の知れないきみ特有のユーモアをもってしておそらくは希求した果てに選びと ....
隙間を見つけたので
懐かしくキーボードを手繰り寄せる
またいっそう愚かになってしまっているけれど
私の指は、
私の指のままだった
冴え渡る赤信号のしずけさ
誰もいない青さの中にたたずむ
くやしさ敷きつめて眠れぬ夜となる
さびしんぼうの月あかりがそよいでいる
子供じみた言い訳で日が暮れてくる
たばこ眠れぬ夜を灰にするひと ....
言葉には
口から出る言葉と
思いや考えを文字に託す言葉
以外に
口には出せず
口には出さず
日記にも残せない
残したくない
言葉を持っている
人は生きているあいだに
死 ....
夫が食器を洗ってくれている音がする
それを背中で聴いているのが好きだ
時々、夫は「よーしゃ」「うぉーし(ゅ)」と言う
それは私の心を思いきり健やかに笑わせてくれる
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