お気に入りのコンバース
とうとう底が抜けちゃったな
くるぶしがぬるりとつめたくて
出来たての靴擦れを二月の風が撫でて過ぎる
お気に入りのスニーカー
ぼろぼろになっても一緒に歩いて行きたかった ....
また体の向こうがわで文字が跳ねている。戻っておいで、戻っておいでって思いながら見つめていると溶けて行ってしまう。さきに起きた娘が炭酸水をのみながら、まだ眠ってていーんだよ、と言う。やさしい。朝から .... どうして
こんなに平穏なのか
冥土へと導く と信じられたホトトギスも
いまは五月の鳥

森を抜け
砂の砦みたいな監的哨跡にのぼって
海のまえに出ると
もう詩に出会った気がした

壁 ....
長い信号に引っ掛かった
本当に長くて
五十メートルくらいはあった
長いものには巻かれろ
という言葉があるけれど
何かを巻くほどの
柔軟性はなさそうだし
それならばいっそのこと
 ....
光の中で見えるものを見て
闇の中だけで見えるものを見て
いまそのどちらでもない
薄暗がりだからこそ見えるものを
見ている君の瞳が
葡萄のように熟れてゆく
すっかり変わってしまった

十年前とも
二十年前とも

百年前とは
何も変わっていないかも
どうやらひとつの
物語を生きるらしい

月、日、星
月、日、星

二度と会えないこ ....
ところで
説明のつく恋などないのだと
言ったところで理解しない
あなたのかわいい肌から放たれる熱をまにうけながら
生まれ変わったら 工場になろう
と思う
頑健な 灰色の
工場にな ....
鞄の中には
ひと握りの青空と
昨日捕まえた飛行機
微かなその羽音
生きていく毎日の走り書きは
遺言のように積み上がって
夏、という言葉だけが
いつまでも
うまく書けなかった
 ....
名前を削除したから
夏が終わったんだね

君に借りていた記憶も返せないまま
静かな夜中の改札口
後悔を嘔吐する
虫たちだけに聞かせた
僕の呪詛は
たぶん『好き』って感情から生まれた
 ....
 どうして先生なんかに

 進路相談しなきゃいけないの?



 自分の好きに生きていくのに

 だれかの許可がいるみたい



 つまらないから

 夕焼けの空ばかり ....
丸めたアルミホイル胸に抱き温もりだと思っている  
 明日は単元テストがあるから

 警報でないかなって

 雨乞いしてる

 夜



 ぼんやり頬杖つきながら

 化学のノートに詩を書いて

 一行空けたり

 ....
きょうび 灰に花に 煙に霞に
忙しくて
あなたの影ができない
光さんざ降る 窓の外にも
薄暗いお家にも
心の 海原にも 大地にも

忘れないで 忘れて 忘れないで
あなたの声が
不快 ....
冬を編む音が聴こえてくると
祈りが近い
夕暮れが愛おしい
(行かないで)
熊ノ森のはずれにあった
馴染みの毛糸屋は
廃業してしまったらしい
けれど
絶望するにはまだ早い

めぐりめ ....
  忘れたものだけ
  見ることができた


  床に張った
  埃 夕日の格子型
  蛇口に残る 唇のような水
  言うことができた
  言い尽くしたことだけを


  ....
あなたは静かに家をつくりはじめる
静かに 何年もかけて

あまりにも美しくそれは成されたので
家ではなく 森や 額縁や ひとかたまりの風に見えた

静かに何年も何年も
何年も何年 ....
さようなら
さようなら
みんな簡単に手を振るけど
この夏は
一度きりの夏

君も
甘夏色の帽子を振って
家路につくんだね
インスタント闇屋さん
カップのなかで
泣き虫が笑っている
探し続けなきゃいけないものを
かんたんに手に入れようとしたことは
はっきりと罪だったと思うよ

カードは言う、
失う、だが ....
秒針が力なく明日を告げる、残骸だらけの街を抜けていくと海があるはずだ
けれどもあなたは空気の抜けた風船、口づけても口づけてもすうすうと抜けていく
今日のために買った靴を捨て 鞄を捨て 指輪を捨 ....
この日は
水の中
何もないことを
愛していると
言いたくても
息は吐けず

氷のように笑った
骨だけになるまで胸中を支えた
輝きを放つ
わたしの目玉

川縁で白く
太陽を受け ....
明日はなにをしようかな

そうだ、
生きよう

誰でもなくていい
幸せでなくたって

季節の風が吹いている
部屋の中に集落ができた
小さな集落だった
本家、という男の人が話にきて
畑で採れた作物を
いくつかくれた
学校が無くて困っている
というので、近所の小中学校と
市役所の場所を教え ....
みじかい夜が始まったとき
どうすればいいかはわかっていた
どんな夢を見て
どこへ行けばいいかも
その先でかならず
あなたを失うことも
始まれば終わるしかない額の花
箱庭や不在ばかりが生って夕
切り落とす音朝顔の青に似て
行き先のないまま咲くの月下美人

ダチュラダチュラダチュラダチュラ寂しい日
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
速度0から
バスがゆっくりと動き出す。
時間は命だ。
そんなのは嘘だ。

ただ、私は時給0円で待っている。
家につくのを。

景色が展開する
街が離れる。
ごちゃついたものが
夜 ....
浅すぎて溺れられないソーダ水
溶けてゆく足元に夢 匂う飴
別れぎわ 裸足になって踏む花火
めだまのすきま
おなかのすきま
あしのすきま

かんじてる
かんじてる

みずのこと

けいさんしてる
けいさんしてる

みらいのこと

きょと きょと きょと

 ....
もうどこへも逃げてゆけない言葉たちが
{ルビ凝=こご}る五月闇
夏の色が濃くなるごとに重くなってゆく空

その空の重みに耐えかねて
虚ろになる意識
否 虚ろを装う意識

綴るご ....
日が昇っては沈むように
うつろう
私は
早く死ななければならないのですが
また手が塞がっているふりをするのでしょう
水宮うみさんのおすすめリスト(1486)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
スニーカー- 46U自由詩10*24-2-20
メモ- はるな散文(批評 ...524-2-19
離島- 形代 律自由詩1024-2-18
信号待ち- たもつ自由詩5*24-2-17
obscure- 塔野夏子自由詩5*24-2-15
ものがたり- やまうち ...自由詩324-2-11
排熱- はるな自由詩524-2-9
走り書き- たもつ自由詩624-2-3
苦虫- トビラ自由詩5*24-1-13
進路相談- おやすみ自由詩423-12-15
_- 長束静樹短歌323-12-13
降水確率10%- おやすみ自由詩323-12-12
念う- 印あかり自由詩523-12-10
もこもこ- そらの珊 ...自由詩10*23-11-17
果物籠- 草野春心自由詩1123-11-14
- はるな自由詩1723-9-8
甘夏(再掲)- 渡辺亘自由詩3+23-8-10
かんたんな闇- はるな自由詩523-7-14
風船- はるな自由詩523-7-10
千歳の光- 野澤 尚 ...自由詩123-7-9
明るい日- やまうち ...自由詩5*23-7-9
集落- たもつ自由詩23*23-7-9
- はるな自由詩523-7-7
ダチュラ- はるな俳句323-7-7
あじさい- 塔野夏子自由詩12*23-7-5
ただの呼吸- asagohan自由詩223-7-4
花火- はるな川柳323-7-4
カニキュレーター- 日朗歩野自由詩1*23-6-1
五月闇- 塔野夏子自由詩7*23-6-1
五行歌- 自由詩223-5-14

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50